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フルモデルチェンジでパワーユニットから一新!したエボリューションX【ランサーエボリューションChronicleダイジェスト(15:最終回)】

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フルモデルチェンジでパワーユニットから一新!したエボリューションX【ランサーエボリューションChronicleダイジェスト(15:最終回)】

モーターマガジンムック「ランサーエボリューションChronicle」が現在モーターマガジン社より発売中だ。ハイパワー4WD車の代表として多くのファンから支持されてきたランサーエボリューション。その変遷を詳細に解説した内容が好評を博している。ここでは、連載最終回としてベース車がギャランフォルティスになり、パワーユニット、シャシともに一新したエボリューションXについて解説しよう。

ランサーセディアからギャランフォルティスをベースにしてフルモデルチェンジ
2007年10月に登場したランサーエボリューションXは、それまでのランサーエボリューションとは一線を画す新世代の高性能4WDセダンとして登場した。その進化はこれまでのランサーエボリューションの歴史と、三菱自動車の強いこだわりを示している。パワーユニットは、2L直4DOHC MIVECターボという点では4G63型と同じだが、MIVECの採用が4G63型では吸気側のみだったところを4B11型では吸排気の両方に採用された。これでより最適なバルブタイミングで燃焼を安定させることが可能になり、全回転域での出力向上を実現した。

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ターボチャージャーはチタンアルミ合金製タービンホイールとアルミ合金製コンプレッサーホイールを組み合わせた。コンプレッサーホイール形状の最適化により過給レスポンスを向上し、低中速域のトルクを強化している。後方排気レイアウトの採用も特筆すべき点で、エキゾーストマニホールドを車体後方側に配置することで排気効率の改善に貢献するだけでなく、エンジン搭載位置を低くすることが可能になり、低重心化を実現した。また後方排気によるターボチャージャーの熱こもり対策としてボンネットフードにNACAダクトを設け、走行中の冷却に加え停車時の熱気排出にも配慮している。

重量バランスも考えられた。エボリューションXもFFベースであるためフロントが重くなる対策としてバッテリーをトランク後方へ移設し、前後バランスの改善が図られた。これは副次的なことだが、エンジンルームのスペース確保にも繋がり、吸排気パイプの取り回しが容易になるなどのメリットも生まれた。

トランスミッションもエボリューションXの大きな注目点だ。GSRにはクラッチペダルの操作が不要で俊敏な変速を可能とする新開発の6速自動マニュアルトランスミッション)ツインクラッチSST「スポーツシフト・トランスミッション」が設定された。これはゲトラグ社と三菱自動車の共同開発によるもので、エボリューションX用に最適化したのは三菱自動車によってだ。

油圧によってクラッチ操作とシフトチェンジが行われるプログラムセッティングは一般道はもちろんニュルブルクリンクなどでも行われた。操作性においては、いわゆるAT感覚で運転できるオートシフト「Normal」とマニュアルでシフト操作ができるマニュアルシフトが設定されている。モード選択についてはシフトレバー脇のスイッチで変速タイミングやアクセルレスポンスが異なる「Normal」「Sport」「S-Sport」の3モードが選択可能だ。特にオートシフトモードの「S-Sport」ではレブリミットぎりぎりでのシフトアップやブレーキングと同時に適切なギアへの素早いシフトダウンなどプロドライバーが行うような走りを誰もが安全に楽しむことができる。

純粋なモータースポーツユーザー向けにはの5速MTも設定された。これはモータースポーツベースであるRSに設定され、ラリーのダート競技だけでなく、スーパー耐久シリーズなどサーキットでの豊富なデータから得たノウハウが活かされたもの。4B11型の性能に合わせて高いトルク容量を確保しながらコンパクト化にも配慮し、1速から4速はクロスレシオをベースに、1速は発進性、5速は高速巡航性を考慮したギア比となっている。

駆動系はS-AWCであらゆる路面コンディションに対応する
駆動系を見ていくとGSRには三菱自動車独自の車両運動統合制御システム「S-AWC(スーパーオールホイールコントロール)」が標準装備された。これは従来のランサーエボリューションシリーズに搭載されたACD、AYC、スポーツABSに新たにアクティブスタビリティコントロール(ASC)を追加したもので、エボリューションXの駆動系において最も注目される部分だ。エボリューションXでは新たにヨーレートセンサーを用いたヨーレートフィードバック制御を採用し、車両旋回運動の的確な判断を可能にした。さらにブレーキ制御も追加することでドライバーの操作により忠実な車両挙動を実現した。これはエボリューションIVで初めて採用されて以来大きく進化を遂げている。

ブレーキ系としてスポーツABSも加わる。これは急ブレーキや滑りやすい路面でのブレーキ時に車輪のロックを防止し、安定性・操舵性・制動力を維持するシステムだ。新たにヨーレートセンサーやブレーキ圧センサーの情報を活用することで旋回中の制御性能を向上させた。ASCは各車輪のブレーキ力やエンジン出力を制御して車両姿勢を安定させながら駆動力を確保するシステムだ。緊急回避時などの急なハンドル操作で生じる車両の横滑りを抑制し走行安定性を確保するとともに、滑りやすい路面などで発生する駆動輪の空転を防止して加速時の駆動性能を向上させる。

エボリューションXには、3つの制御モードが設定されているがそれぞれを見ていくと、TARMAC(ターマック)は乾いた舗装路を想定したモードで一般的な走行に適したものだ。そしてGRAVEL(グラベル)は濡れた路面や未舗装路を想定したモードで、SNOW(スノー)は雪道を想定したモードとなる。この2モードは4WDの能力の見せどころとなる。このように路面状況に応じて各モードを選択することでより安定した走行を可能にした。

サスペンションはフロントがストラット式、リアがマルチリンク式をベースに、ワイドトレッド化を含めサスペンション布局を一新した。さらにエボリューションXに合わせてサスペンションジオメトリーの最適化、各部品の取り付け部の高剛性化が図られている。これは車重の増加も考慮すれば必須の改良と言える。これらにより4輪を確実に接地させ、S-AWCの性能を最大限に発揮させるとともに、旋回性能、直進安定性、乗り心地を向上させた。ロングホイールベース化、ワイドトレッド化で居住空間のゆとりだけでなく走行安定性と乗り心地も向上した。さらに低重心化やエンジンの軽量化、フロントオーバーハングの短縮(エボリューションIX MR比マイナ20mm)、先述したバッテリーのトランクルームへの移設などによる前後重量配分の改良でハンドリングの基本性能を高めた。

ボディ剛性に関してはエボリューションIX MRに比べ曲げ剛性で約60%増、ねじり剛性で約40%増と向上させた。これにより優れた操縦安定性や衝突安全性とともに、乗り心地、騒音・振動の低減を図った。また軽量化を目的に各所にアルミ素材が使用されているのも特徴だ。具体的にはエンジンフード、フロントフェンダー、リアスポイラー(骨格部)などだ。

エクステリアと合せて空力性能も徹底的に見なおし
空力性能にもこだわり、ロー&ワイドボディ、逆スラントノーズからルーフ、テールエンドへのフォルムは見た目だけでなく徹底的な風洞実験によって最適化された結果だ。これにエアロパーツを組み合わせることで良好な空力特性を持っている。一例を挙げればGSRに標準装備された大型リアスポイラーは車体上面の空気の流れに合わせて中央部と両端部で仰角を変えるねじれ形状を採用。車両床下の空気の流れも考慮し、空力特性の向上を追求しながら駆動系の冷却も図った。リアバンパー下部はディフューザー形状とし、床下の空気を効率良く排出させるとともにリアフォルムを際立たせた。

フロントマスクはエクステリアとしての力強さはもちろん開口面積拡大やダクト設置により高い冷却性能と空力性能を確保し、精悍な造形としている。エンジン性能を効率良く発揮させるにはいかに空気を効率良く取り込むかが重要なのは言うまでもないが、ここを改善したわけだ。エンジンフードとフロントフェンダーにはエンジンルームの熱を効率良く放出するためのエアアウトレットを設置している。

インテリアもドライビングへの集中力を高めるべく操作性・機能性を重視するとともに、新世代のスポーツセダンに相応しい質感・快適性の実現を目指したものとなった。本革巻ステアリングホイールは小径タイプとスムーズな操作感にこだわり、操作性を重視してS-AWCモード切替スイッチをスポーク上に配置した。インストルメントパネル形状の変更はセンターパネル部をドライバーに近づける一方、膝前のスペース確保に繋がり、機能的かつ快適なドライバー環境を実現した。

タイヤ&ホイールについてはGSRには245/40R18の低偏平ワイドタイヤと、12本スポークのエンケイ社製高剛性18インチ鋳造アルミホイールを標準装備した。さらに軽量なBBS社製18インチ鍛造アルミホイールもメーカーオプションで設定され、表面に光輝処理を施してドレスアップ性も高めている。ブレーキシステムはGSRにブレンボ社製ベンチレーテッドディスクブレーキ(フロント18インチ用、リアインチ用)を採用した。これにより制動性能が向上し、ペダル操作フィーリングも改善されている。エボリューションXでは従来のランサーエボリューションシリーズで課題だった「止まる」性能を強化するため、ブレーキサイズを1インチ上げて18インチホイール対応とした。さらに軽量化のためあえてキャリパーをツーピースタイプにしている。

現代的なクルマとしてのオペレーションも充実
安全装備として衝突速度に応じて展開力を2段階で制御し乗員の拘束力を最適化するデュアルステージ方式の運転席&助手席SRSエアバッグや、ギャランフォルティスおよびデリカD:5にも採用された運転席SRSニーエアバッグをGSRに標準装備したのも現代的だ。SRSサイド&カーテンエアバッグはメーカーオプションで設定されている。また夜間走行での視界をサポートするため、ステアリング操作に連動して曲がる方向の補助灯を点灯させるアダプティブフロントライティングシステム(AFS)やディスチャージヘッドライトをGSRに標準装備した。ユーティリティ面では雨量に応じてワイパーの作動速度を自動調整する雨滴感応オートワイパーや、周囲の明るさを感知してヘッドライトを自動的に点灯・消灯するオートライトコントロールをGSRにメーカーオプション設定した。

また車両盗難対策としてイモビライザー、セキュリティアラームを標準装備した(セキュリティアラームはGSRのみ)。オーディオユーティリティとしては、大容量30GBのハードディスクを内蔵した7インチワイドディスプレイHDDナビゲーション「MMCS」をGSRにメーカーオプションとして設定した。アウトランダーなどに採用されたロックフォードフォズゲートプレミアムサウンドシステム(9スピーカー、ハイパワーアンプ、ドア内部制振処理によるスピーカーボックス遮音構造)もGSRにメーカーオプションで設定されている。

現代的なクルマとしての装備も付加され、キーをポケットやバッグから取り出さずにドアのロック/アンロックやエンジンの始動/停止を行えるキーレスオペレーションシステムもGSRにメーカーオプション設定され、軽い操作で方向指示灯を3回点灯させるコンフォートフラッシャーや、ヘッドライトやフォグランプ消し忘れ防止ヘッドライトオートカット機能など安心・便利機能(ETACS:エレクトリックタイム・アンド・アラーム・コントロールシステム)も標準装備される。

こうした充実した装備とトレードオフになるが、エボリューションXはエボリューションIX MRに比較して約100kg重くなっている。この重量増の内訳は衝突安全に関する部分が約50kgで、これは現代の安全基準に対応するためのボディ構造の強化などによるものだ。またエンジン性能向上に関する部分が約25kgで、パワーとトルクの向上に伴う駆動系(デフサイズ、ギアの強化など、大型化)が強化されたため。残りはブレーキサイズやタイヤサイズのアップに関する部分で、制動力とグリップ性能の向上に伴う大径化と強化によるものだ。これらの重量増は性能アップと安全性確保のために避けられないものだ。

世界中でモータースポーツを楽しむ顧客が支持
モータースポーツでの活躍だが、エボリューションXにもモータースポーツベース車となるグレード「RS」が設定された。三菱自動車にはメーカーである以上「モータースポーツのベースは絶対に提供すべき」という考えがあり、特にランサーエボリューションはWRCで生まれ育ったクルマであり、世界中でモータースポーツを楽しむ顧客が多く存在するため、RSは必須という考えが根底にあったという。RSは6速MTではなく5速MTのみの設定など、最初から割り切った仕様となっている。この5速MTはクロスレシオトランスミッションとして非常に徹底されたもので、競技参戦時にも有効なものだ。当初エボリューションXのモータースポーツでの活躍は未知数といわれた部分も多かった。

課題としては車両価格の高さが第一のハードルとなり、高価なクルマを競技車に仕立てる人が限られるという点が挙げられる。またすべてがブランニューとなったことで市販パーツが不足していることもモータースポーツでの普及を遅らせる要因となった。トップクラスで勝負できるクルマにするには非常に高コストとなるのは否めなかった。モータースポーツユースで考えた場合の車両特性としては、車両自体の重さ、ロングホイールベース、ワイドトレッドといった部分は従来のランサーエボリューションのコンパクトな「取り回しの良さ」と反するものであり、有利に働くとは言えない側面もあった。もちろん時間の経過とともにパーツも供給され、プライベーターの競技車も台数を増していったが、4G63型搭載のランサーエボリューションと共存するような形での活躍となった。

ランサーGSRエボリューションX主要諸元
●全長×全幅×全高:4495✕1810×1480mm
●ホイールベース:2650mm
●車両重量:1520kg
●エンジン:直4DOHC16バルブ+インタークーラーターボ
●排気量:1998cc
●最高出力:280ps/6500rpm
●最大トルク:43.0kgm/3500rpm
●トランスミッション:6速TC-SST
●駆動方式:フルタイム4WD
●10.15モード燃費:10.0km/L
●車両価格(当時):375.06万円

[ アルバム : ランサーエボリューションChronicleダイジェスト(15) はオリジナルサイトでご覧ください ]

文:Webモーターマガジン 飯嶋洋治(FAN BOOK編集部)
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みんなのコメント

7件
  • 聖恵@商品説明をよくお読み下さい
    これはいつ書いた記事なんだ?
  • tro********
    この頃はクソ高いと思っていたけれど、今となってはバーゲンプライスなんだよなぁ…

    ベスモのバトルでコンフォート寄りタイヤのインプに勝てなかったのは残念
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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