4月20~21日、FIM世界耐久選手権(EWC)2024シーズン第1戦ル・マン24時間耐久ロードレースの決勝レースがフランスのル・マン-ブガッティ・サーキットで開催され、#12 ヨシムラSERT Motul(グレッグ・ブラック/エティエンヌ・マッソン/ダン・リンフット)が転倒はあったものの857周を走破して開幕戦を制した。
EWCの2024年シーズンが幕を開け、今年は2023年よりも6台少ない全48台によって争われた。日本勢としてはフル参戦組のヨシムラSERT Motul、F.C.C. TSR Honda France(TSRホンダ)、Team Étoile(亀井雄大/榎戸育寛/奥田教介/川崎祥吾)、そして石塚健がMACO RACING TEAM、綿貫舞空が3ART BEST OF BIKEより参戦。KAWASAKI WEBIKE TRICKSTARは日本のトリックスターレーシングが運営するが、フランスチームとして登録されている。
ヨシムラSERT Motulが優勝【順位結果】2024EWC第1戦ル・マン24時間耐久ロードレース 決勝
現地時間15時(日本時間22時)にお馴染みのル・マン式スタートでレースが開始。グレッグ・ブラック(ヨシムラSERT MOTUL)が、抜群のスタートでホールショットを奪う。しかし、序盤はポールスタートから少々出遅れたニッコロ・カネパ(YARTヤマハ)が、早々に順位を上げてトップを奪取し牽引していく展開となった。
昨年はこのル・マンで勝利しているTSRホンダは、序盤に2度の転倒を喫したことにより、早々に表彰台圏内から脱落するが走行を続けた。さらに3番手につけていたHONDA VILTAIS RACINGもピットのタイミングでマシントラブルが発生し、その後早々にリタイアで終える結果に。荒れた展開が続くなか、トップに躍り出たヨシムラSERT Motulも、3度目のピットインを済ませた後にまさかの転倒と、序盤は上位の順位が大きく動いた。
再びYARTヤマハが首位に君臨すると、2番手以降を周回遅れに落とし入れてトップ独走状態が続いた。2番手にBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM(BMWモトラッド)、3番手にKAWASAKI WEBIKE TRICKSTARというトップ3のオーダで序盤はレースが進んだ。
陽も暮れ始め、コース上のマシンがライトを点灯させた頃、6時間経過を前に今大会で唯一のセーフティカー(SC)が導入された。約20分間のSCランが続いたあと、再開後は現地時間21時を経過し、本格的にナイトセッションへと移行。上位勢の順位は比較的落ち着いていたが、転倒も相次いだことで、レース折り返しの12時間経過後には10台がリタイアという厳しい結果を強いられていた。
上位では抜群の追い上げを見せていたヨシムラSERT MotulがKWTを捉え、表彰台圏内に再び姿を現していた。さらに前を走るBMWモトラッドにじわじわと詰め寄り、同一周回にまで追いつくペースを披露。しかし、順位は変わらずそのまま中盤戦へと突入した。
16時間頃になると陽が少しずつ昇り始め、あたりが明るくなる。すると、トップ独走状態を築いていたカレル・ハニカ(YARTヤマハ)がまさかの転倒。すぐに戻ってマシンの修復が行われるが、その隙に2番手のBMWモトラッドとヨシムラSERT Motulが同タイミングでピットイン。
緊張感が漂うピットロード、そのなか真っ先にヨシムラSERT Motulがピットアウトしたことにより、約14時間ぶりの首位奪還となった。BMWモトラッドはやや遅れて1ラップ差の2番手、3番手にはKWTが続く。修復を終えたYARTヤマハは4番手で復帰、後方ではTSRホンダも怒涛の追い上げで13番手まで回復させていた。
18時間を目前になると、緊急ピットインを余儀なくされたKWTの背後にYARTヤマハが、1分35秒791のファステストをマークしてにじり寄る。すると、KWTがスロー走行となり、YARTヤマハが再び表彰台圏内に君臨。KWTはピット作業に時間を要して6番手へ後退、TATI TEAM BERINGER RACINGが4番手、NATIONAL MOTOS HONDAが5番手へと変わった。
そのまま20時間が経過し、長丁場のレースは残すところ4時間。現地は雲も多く、やや曇り空の下でレースが進んでいき、トップは変わらずヨシムラSERT Motulの独走状態が続いていた。この時点で順位に変動はなく、全体を通して落ち着いていたが、すでに17台がリタイアとなっており、耐久レースの過酷さを物語っていた。
トップのヨシムラSERT MotulとBMWモトラッドとの差は1ラップ。その後ろを追いかけるYARTヤマハはトップから6ラップ差となっていたが、ハイペースでの追い上げを見せ、じわじわとギャップを埋めていく。また、TSRホンダも見事に挽回させてトップ10に姿を現す。
残り2時間半頃、5番手につけていたTATI TEAM BERINGER RACINGのピットでのタイムロスにより、SSTクラスのトップNATIONAL MOTOS HONDAが5番手へと再び順位を上げた。この後、全体的に順位は落ち着いていたが、変わらず最後まで予断を許さない状況が続いていく。
各ライダーがコンスタントに周回を重ねるなか、22時間25分というところでトップのヨシムラSERT Motulは800周を完了。同タイミングでは、順調に挽回を見せて10番手を走行していたジョシュ・フック(TSRホンダ)に、またもトラブルが襲う。走行中にチェーンが切れたようで、コースサイドにマシンを止めてしまう。その後ピットにマシンが戻されたが修復が不可能な状態で、残り1時間30分というところでレースを終えることとなった。
レースは最終盤へと突入し、最後まで気が抜けない展開が続くなか、SSTクラスのバトルが加速。総合11番手を走行していた3ART BEST OF BIKEがハイサイド転倒を喫し、マシン修復に時間を要した。さらに、その後方ではTEAM AVIOBIKE BY M2 REVOがJUNIOR TEAM LE MANS SUD SUZUKIを捉えて、クラス4番手に浮上する。しかし、その後マシン修復を終えた3ART BEST OF BIKEがなんとかクラス3位を死守したまま復帰。その差は約半周ほどだった。
そして残り30分、トップ快走のヨシムラSERT Motulが837周を完了して最後のピットイン。ダン・リンフットからバトンを繋がれたグレッグ・ブラックが最終スティントへと向かう。その後も最後まで安定したペースを披露し、序盤の転倒を跳ね除けるような追い上げを見せたヨシムラSERT Motulが計857周を走破。ヨシムラ創設70周年記念の年に見事大逆転勝利を収め、2023年の最終戦ボルドール24時間に続いての連続優勝を遂げた。
BMWモトラッドは2ラップ差の2位。前年度王者のYARTヤマハは、終盤での転倒以降も超ハイペースで追い上げを見せ、トップから5ラップ差の3位でチェッカーを受けて表彰台を勝ち取った。そして4位にはKWTが入った。
SSTクラスは、総合5位のNATIONAL MOTOS HONDAが優勝を挙げ、2位には総合9位のChromeburner-RAC 41-HONDAが入った。そして日本勢の綿貫舞空を擁する#36 3ART BEST OF BIKEは、終盤に転倒があったものの素早い修復によって総合11位でチェッカー。SSTクラス3位に輝き、綿貫も初の表彰台に上がった。
24時間と長丁場で争われた開幕戦ル・マンは計27台が完走、20台がリタイアとなった。トップチェッカーを受け、ル・マンに君が代を響き渡らせたヨシムラSERT Motulは、2023年よりも30周多い計857周を走り切った。2年ぶり14度目の優勝を手にし、王者奪還への一歩を踏み出した。
また今シーズン日本からEWCにフルエントリーし、BMW M1000RRでしのぎを削っている#25 Team Étoile(亀井雄大/榎戸育寛/奥田教介/川崎祥吾)は、中盤まで総合13番手でSSTクラス3番手を走行する走りを展開していたが、以降に2度の転倒を喫してしまったことでマシンの修復困難のためリタイア。転倒があった亀井に怪我はなかったようだが、チームにとっての初陣は厳しい結果となった。
石塚健を擁する#14 MACO RACING TEAMも、13時間を経過したあたりで転倒。フレームの破損により修復が不可能となったため、リタイアで終えている。
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みんなのコメント
GPはまだ駄目でも、WSBKに参加して欲しいな。
スズキが本気を出せばドカより速いことはみんな知ってるし。
ホンダ車去年より増えたな