2025年のF1第10戦カナダGPが行なわれ、レッドブルの角田裕毅は18番グリッドからスタートして、12位フィニッシュ。3戦連続でポイントを逃すことになった。
FP3で赤旗中に他車を抜いてしまったとして、10グリッド降格というペナルティを科されてしまった角田。確かにレギュレーションでは赤旗中に他車をオーバーテイクすることは許されていないが、それでも角田が抜いたオスカー・ピアストリ(マクラーレン)は、赤旗中断の原因となり、さらにマシンにダメージを負った状態で低速走行をしていたマシン。角田もチームも、これは厳しい裁定だったと主張を続けている
■レッドブル角田裕毅、最後尾から12位追い上げも「できることはほとんどなかった」ライバルへの裁定次第では繰り上がり入賞も?
しかし受けたペナルティを取り戻すために、決勝での追い上げを目指した。そのためにチームは、2ストップが主流となるであろうと言われる中、ハードタイヤを履いてスタートし、そのスティントを伸ばしに伸ばす1ストップで決勝レース70周を走り切ることを目指した。ポジションを6つ上げることには成功したものの、入賞には届かなかった。
では角田はなぜ入賞に届かなかったのか? そこを分析してみよう。
■レッドブルはデグラデーションが大きい?
このグラフは、F1カナダGP決勝レースでの、中団グループ各車のラップタイム推移を示したものだ。
前出の通り角田は1ストップ戦略を成功させるため、スタート時に履いたハードタイヤでできるだけ長く走らねばならなかった。ミディアムタイヤのデグラデーションが、予想以上に大きかったからだ。
このことは、13周目以降のニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)のペース(グラフ赤丸の部分)を見ると分かる。
ヒュルケンベルグはミディアムタイヤを履いてスタートしたが、14周目から一気にペースダウン。15周目、16周目と、どんどん遅くなっていった。いわゆる”崖”を迎えてしまったわけだ。レーシングブルズのアイザック・ハジャーやアルピーヌのフランコ・コラピントなどは、さらに早い段階で崖を迎えていた。
このグラフには反映していないが、角田のチームメイトであるマックス・フェルスタッペンは、ペースこそ中団グループよりも断然速かったものの、5周ほど走った段階で崖を迎えていた。
ここから逆算すると、レース終盤にはコース上にラバーが乗り、コンディションが良くなるとしても、15周以上走るのは難しい。そのため1ストップ作戦を成功させるならば、55周程度はハードタイヤで走っておかなければいけない……そんな状況であった。
ただそれでも角田にとっては厄介な相手がふたりいた。それがハースのエステバン・オコンと、ウイリアムズのカルロス・サインツJr.だ。彼らもハードタイヤでスタートし、角田と同じように1ストップを目指していた。
しかもオコンとサインツJr.は、角田よりも良いペースで走っており、角田としてはなかなか追いつかない。そうこうしているうちに角田のペースは落ち始めていってしまった(グラフ青丸の部分)。
■ギャップ推移で見る角田の苦戦とヒュルケンベルグの充実
こちらのグラフを見ていただくと、その時の状況がさらによく分かる。このグラフは、決勝レース中の各車の差の推移を、折れ線で示したもの。実質的に8位となるドライバーを縦軸の0に置いている。
これを見ると角田は、序盤こそサインツJr.に近いところを走っていたが、徐々に引き離され、30周目以降はその差が広がるスピードが速くなっていることが分かる(グラフ赤丸の部分)。オコンに対してもそうだった。
この戦略が同じふたりに差を広げられていた段階で、角田にとっては入賞の可能性が潰えていったと言える。
さらにはレース終盤にタイヤ交換を行なったタイミングも、角田にとっては良くなかった。角田はピットストップをした際、オリバー・ベアマン(ハース)やフランコ・コラピント(アルピーヌ)、アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)らの後ろでコースに戻ることになってしまった。一方でオコンやサインツJr.は、この集団の前でコースに復帰。角田は集団を攻略するのに手間取り、さらに差が広がってしまった。
それでも新品のミディアムを履いていた角田のペースはまずまず。レース終盤にセーフティカーさえ出なければ、ベアマンを攻略するところまでいけたかどうか……というところ。オコンやサインツJr.までは、とても届かなかった。
そういう意味で今回は、入賞圏外でフィニッシュすることになった。角田本人もレース後、「今回はこれがベストな結果だった」とチームのプレスリリースに語っている。
しかし本来の予選位置、もしくはそれ以上のポジションからスタートできていれば、また違った展開になったかもしれない。
FP3でマシントラブルにも見舞われ、満足いく周回数をこなせなかった角田。しかも初日と2日目では、マシンに取り付けられていたパーツが違っていたと言われており、最終的なマシン構成/セッティングをほとんど試せないまま、予選に挑まなければならなかった。ほぼぶっつけである。そんな状況であったことを考えれば、今回のレース結果はまずまずだったと言えるかもしれない。
さて中団グループでは今回特に気になる存在がいた。それがザウバーのニコ・ヒュルケンベルグである。
ふたつ目のグラフを見ていただいても分かる通り、ヒュルケンベルグのペースはすさまじく、レース序盤に1回目のピットストップを終えた後は、ハイペースで飛ばして角田、サインツJr.を攻略。最終的に8番手でフィニッシュしてみせた。グラフ青丸の部分はペースが上がっていないが、これはリアム・ローソン(レーシングブルズ)とピエール・ガスリー(アルピーヌ)のトレインにひっかかってしまったから。これを攻略した後は、目覚ましいペースでライバルとの差を削り取っていった。
ヒュルケンベルグは、角田らとは逆にミディアムタイヤでスタートし、後半にハードタイヤを履く1ストップ作戦。そのハードタイヤのペースは、ライバルを圧倒していた。
実はザウバー勢は、フリー走行の時点で唯一ハードタイヤを走らせたチーム。そのペースも秀逸だった。そのフリー走行でのデータがあったため、自信を持って走れたという側面もあっただろう。しかし前戦スペインでは5位、今回は8位に入ったザウバー……その充実ぶりは、ライバルチームにとっては脅威だろう。
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