2020年8月27日に発表されるや、第1期の販売予定台数を完売してしまった新型車ホンダe。ホンダ初の量産型EVとして、まずは上々のスタートを切ったと言っていいだろう。
販売再開のアナウンスが待ち遠しい人もいるかもしれないが、ここでは8月5日の発表会の様子から、ベストカー編集部イチ楽しいクルマが大好きなウメキがレポート!!! あらためてホンダeの魅力を目一杯ご紹介してみたい。
【速報】ホンダ 中国北京ショーで新型SUV(EV)とCR-V PHEV仕様を先行公開!!
【画像ギャラリー】あたらしいけど、どこかなつかしい。約30枚の画像でホンダeの魅力を余すところなく紹介!!!
※本稿は2020年8月のものです。なお、記載されているホンダeの価格は遠藤 徹氏の調査による独自の情報です
文・写真:ベストカー編集部/撮影:平野 学
初出:『ベストカー』 2020年9月26日号
■RRで前後重量配分50対50のパッケージ
全長3895mm、全幅1750mm、全高1512mmホイールベース2530mmのHonda e。サイズ感としてはフィットをちょっと広げたような印象だ。最小回転半径はフィットの4.9~5.0mに対しHonda eは4.3mと小さく、前輪が大きく切れることがわかる。
全長は3895mm、ホイールベースは2530mmというHonda e。見てのとおり前後オーバーハングはぎりぎりまで詰められている。
車重は1514kgで、前後重量配分は50対50。これは重量の大きいモーターをリアアクスル後方に搭載するRRとしたことが大きく寄与しており、やはり重量の大きいバッテリーをホイールベース内のフロア下に配置し、フロントフード内には充電システムなどを搭載することで、低重心化と理想的な前後重量配分を実現することができたのだ。
全幅は1750mm、全高は1512mm(各数字は欧州仕様のもの)。
サスペンションは前後ともにストラットを採用。前輪の操舵システムは前引き式のタイロッドを採用し、スムーズな操舵フィールを実現する
■バッテリーは35.5kWhで航続距離は283km(WLTCモード)
フロア下に搭載されるリチウムイオンバッテリーは35.5kWhの容量で、パナソニックとの共同開発。
充放電効率を高めた新設計で、ドライバーのアクセル操作にレスポンスよく最大トルクを引き出せる。
航続距離は割り切ったとはいえ、WLTCモードで283kmを実現!
バッテリーは35.5kWhで航続距離は283km(WLTCモード)
■最大トルク32.1kgmのモーター
リアアクスル後方に搭載されるモーターはアコードハイブリッドの駆動用モーターと同じもの。
最高出力は標準仕様の100kW(136ps)と「Advance」グレードの113kW(154ps)仕様が設定されるが、最大トルクは315Nm(32.1kgm)で共通。シングルペダルコントロールも可能。
回生時、必要に応じて前輪のメカブレーキを統合制御しスタビリティを確保。
フロントフード内、中央の黒いふた(写真中央・開けた状態)の下には急速充電と一般充電用のソケット口が並べて配置されている
ソケット口を開口した状態の写真
■“ホンダらしさ”って、こういうことなんじゃないだろうか
“あ~、ホンダeってものすごくホンダらしいクルマだな~”って、一瀬智史シニアチーフエンジニアの話を聞いて実感したのでありました。
シニアチーフエンジニアの一瀬智史氏
つまり、コンセプトを明確にして、ある意味「ホンダの都合でいいクルマ作りました」って商品だと感じたワケ。
もちろん、これって“いい意味で”ということなんだけど、客の声をあるところで割り切っちゃって、「でも、こっちのがいいでしょ?」って、作り手側が一刀両断にしちゃってるって感じ。
後席居住性についても割り切った感がある。頭上は問題ないが、座面高に対しフロアが高く膝が立ってしまい、また靴が前席下に入らない(モデルとなった編集部ウメキの身長は175cm)
コンセプトをひと言でいえば「街なかベスト」で、長距離移動は別のPHEVや、なんなら公共交通機関でどうぞ、って割り切りなのよ。
だから、バッテリーは35.5kWhと小容量。でもこれによって小型軽量化が可能となり、さらに言えば生産時からの環境負荷も抑えることができる。
左右いっぱいに液晶画面が広がるインパネは圧巻。操作はタッチパネルで直感的(ちなみにスマホで施錠・解錠も可!!)。インパネやセンターコンソールなどにあしらわれた木目パネルが落ち着いた雰囲気を醸し出す
それでも1充電当たりの航続距離は283km(WLTCモード)だから、実用上は充分でしょ⁉ ってこと。
それでいて、急速充電30分で202km走行分の充電ができるから意外と実用的だったりもする。
アコードハイブリッドの駆動モーターをリアアクスル直上よりちょっと後方に配置して後輪を駆動するピュアEV。
助手席側サイドミラー液晶は、ドライバー視点から遠いこともあり、焦点移動の影響は感じず、光学ミラーの感覚で見ることができた
最高出力は100kW(136ps)仕様と113kW(154ps)仕様にあえて抑えているものの最大トルクはアコードと同じ315Nm(32.1kgm)ってんだから強烈!
“バビュ~んと走れる”と一瀬氏が言うように、0→100km/h加速8.3秒ってのは3L NAエンジン搭載車なみで、コンパクトEVにその加速性能必要ですか⁉ って話。
しかも、このモーター積んでパッケージングを「小回りの利く、街なかベスト」にしようとしたら、フロントオーバーハングが大きくなって、当初の構想にあったFFでは成立できなくてRRにしちゃったというのだから痛快。
EVのあるべき姿として考えたのが「街なかベスト」。あえて航続距離を追い求めることをやめたことで、思い切ったクルマ作りができたと一瀬氏は話してくれた
もっとも一瀬氏のつぶやきによると「なんだかんだ、FFではできない理由を開発陣みんなで探していたんですけどね」というのだから確信犯だ。
後輪駆動にしたことで、ハンドリングの楽しさも味わえるようにチューニングしたっていうから試乗が楽しみ。
Advanceグレードのタイヤはミシュランパイロットスポーツ4で、完全に走りの楽しさ狙ってますよ、これ!
■Honda e スタンダードの主要諸元 ※()内はAdvance、印の数字は欧州仕様のもの
・全長×全幅×全高:3895×1750×1512mm※
・ホイールベース:2530mm※
・車重:1514kg(-)
・モーター出力:100kW/136ps(113kW/154ps)
・モータートルク:315Nm(32.1kgm)
・バッテリー:リチウムイオン 35.5kWh
・航続距離(WLTC):283km(-)
・最高速:145km/h※
・0→100km/h加速:9秒(8.3秒)※
・最小回転半径:4.3m(-)
・サスペンション:前後ストラット
・タイヤサイズ:F 185/60R16(205/45R17)、R 205/55R16(225/45R17)
・タイヤ銘柄:横浜ブルーアースA(ミシュランパイロットスポーツ4)
・価格(遠藤 徹氏調べ):451万円(459万円)
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