「これは傑作だ」
F1スペインGPでランド・ノリスがポールポジションを獲得した際、マクラーレンのアンドレア・ステラ代表はノリスを惜しみなく称賛した。
■自分でも驚きだ! ノリスがキャリア最高アタックでポールポジション獲得。角田裕毅は15番手、アストンマーティン・ホンダはQ1敗退|F1スペインGP予選
初開催マドリンクでのスペインGPの週末を通して、マクラーレンはトップ争いに加われるほどの速さがあるようには見えなかった。一貫して速さを見せていたのはメルセデスで、フリー走行と予選Q1、Q2でその対抗馬となっていたのはフェラーリとレッドブルだった。
そして迎えたQ3のアタック。ノリスは最初のアタックを終えた時点で6番手にとどまり、トップに立ったルイス・ハミルトン(フェラーリ)から0.446秒遅れていた。しかし2回目のアタックでは0.701秒もタイムを縮め、誰も手が届かないように見えたアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)のタイムを、わずか0.011秒上回った。
ただ、ノリス自身はポールを獲得したとは思っていなかった。最終コーナーで、リヤの挙動を少し乱すミスを犯していたからだ。
ノリスはレースエンジニアのウィル・ジョセフに無線で「ごめん、やらかした」と伝えた。するとジョセフは、すべてのマシンが走行を終えるまで待つよう言った。つまり、ポールを獲得できる可能性があるということだ。ただノリスは「馬鹿野郎が」と引き続き自らを罵っていた。
その後、ジョセフからポールを獲得したと伝えられても、ノリスはしばらくの間、本当にポールポジションになったとは信じられなかった。
「最後のコーナーでは、ちょっと……何て言えばいいのか分からないけど、少しヒヤッとする瞬間があった」とノリスは振り返る。
「たぶんマシンの中で少し興奮してしまって、進入でプッシュしすぎたんだと思う。正直、壁に突っ込んだと思ったよ。だから、ターン1までの距離が短くて本当によかった」
「でも、それ以外は本当に完璧だった。立ち上がりもよかったし、縁石の使い方もよかった。ここでは重要になる細かい部分をすべてうまく処理できた。そういうことができたのは最後のラップだけだったけど、本当にうまくいった」
ステラはこの驚異的なラップについて、「450回のグランプリでテレメトリーを見てきた者として、これまで目にした中でも最も印象的なラップのひとつ」と評した。
なお、チームメイトのオスカー・ピアストリは7番手に沈みノリスから0.470秒遅れた。このことからも、ノリスのラップがいかに傑出したものであったかがわかる。
ステラはさらにこう続ける。
「正直なところ、我々はポールポジションを獲得できるレベルのパフォーマンスを発揮していなかった」
「週末のどの時点でも、マシンが最速だと言えるようなパフォーマンスを示していなかった。特にセクター1で大きく遅れていた。低速コーナーや縁石の部分だ。そしてドライバーにとって、1周を完璧にまとめるのが非常に難しいマシンだった」
「速さを発揮できる場面はあったが、それをひとつのラップにまとめるのは非常に難しかった」
「最も印象的なのは、最終セクターで0.35秒も失っているにもかかわらずポールポジションを獲得したことだ。それを考えれば、この問題がなければ、かなり説得力のあるポールポジションになっていただろう」
「同時に、この問題はランドが限界までプッシュした結果でもある。ただ、今日は全員が限界まで攻めていた」
「テレメトリーを詳しく見ると、特にこのラップを唯一無二のものにしているのは、その精度だ。ブレーキング、進入速度、縁石への乗せ方、そしてアクセルを開けるタイミング。すべてが非常に高い精度で実行されている」
「私にとって、このラップを表す最大の特徴は、何よりもその精度だ。1メートルごとのマシンコントロールが信じられないほど正確だった」
ステラによれば、ノリスのドライビングミスは、そのラップの他の部分でどれだけ激しく攻めていたかを示すものだという。
「他のどのラップよりも1秒ほど速いペースでラップが進んでいた。そのため、タイヤから引き出したものもかなり大きかった。つまり、タイヤはすでに消耗していた。それなのにランドは、そのことを十分に考慮せず、ほかのコーナーと同じ勢いで進入してしまったんだ」
「進入でオーバーステアが出て、完全にレーシングラインを外してしまった。そして先ほど言ったように、そこで0.3秒以上を失った」
「何かを計算した上でのミスではない。むしろ、タイヤが消耗していたことを十分に考慮できていなかったんだと思う」
「彼自身、まずい状況になるとは分かっていなかったと思う。とにかく攻めるモードに入っていたんだ。ただ、タイヤに残されていたグリップに対しては、少し攻めすぎていた」
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