世界的に、ハードエンデューロがブームだ。
これを後押しするものは、オートバイの環境性能。特にユーロ4にエンデューロバイクを通しにくくなってしまった今、たとえばヤマハはWRシリーズをストリートリーガルに仕立てられず、欧州のエンデューロからトップチームを撤退させた。代わりに公道を使わないハードエンデューロの盛り上がりに、足場を移すメーカーもいる。KTMとハスクバーナは、昨年主戦場をEnduroGPからWESSシリーズにスイッチしている。
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翻って…アジアはどうなのだろうか。
亀山越野硬耐力 Taiwan Hard Enduro
日時/4月21日
会場/台北市近郊
[ アルバム : 台湾ハードエンデューロ・ギャラリー はオリジナルサイトでご覧ください ]
エンデューロの歴史がない。だから、ハードEDしか今はない
このたび、台湾ハードエンデューロへの高橋博・栗田武両名の派遣をプランニングした竹内郁麻さんは言う。「昔からエンデューロがあったわけではなく、ここ最近ようやく文化として根付いてきた。で、ここ最近盛り上がっているハードエンデューロから人気が出たので、中国のエンデューロはほとんどがハードエンデューロなんです」と。目標とされるのは、レッドブル・ルーマニアクスだ。東欧で開催される世界的権威は、距離もある程度近い。東アジアからの参加も多く、サハリンの連中もルーマニアクスをお手本にレースを造っている。ルーマニアクスに参戦したもの、完走したモノこそが、その国のコミュニティの英雄なのだ。
ただし、韓国はまた事情がちがう。韓国には、JNCCと同じようにXCシリーズがあってその名もKNCC。スピードを先に身につけた彼らは、今回の台湾ハードエンデューロにも名乗りをあげてきた。
台湾も面白いバックグラウンドを持つ。じつは、台湾にオフロードバイクが広まったのは、トライアルが先だったそうだ。日本からも、常勝チャンピオン小川友幸が講師として招かれたりしているのだと、台湾のオフロードライダー達が教えてくれた。だから、ハードエンデューロもトライアルバイクで参戦することが許されていたりする。
TKOの苦さが再び、スピードに勝るKNCCライダー
30名弱で争われた台湾ハードエンデューロは、冗談交じりに「極東ハードエンデューロ王決定戦」と言われた。日本の高橋博や、韓国、上海、香港、そして台湾からトップライダーが集まったからだ。
舞台となった亀山という地域は、千葉県にあった凸凹ランドのような土地だ。山ではなく、台地といったらいいのだろうか。マウンテンコースではあるのだけれど、高さはあまりない。台地の縁をうまく使って上り下りのセクションを作っている。さらに凸凹ランドっぽいのはその土質。濡れるととんでもなくツルツルになって、普通に走ることすら困難だ。硬質で粘土質。さらに、台湾は湿度も高いから、はっきりいって「常にツルツル」なんである。
そんな路面もあいまって、下見をする高橋からすると「かなり難しい」とのコメントが聞けた。ヒルクライムも難しく、雨の予報も出ていたから、高橋は前日にタイヤをIRC VE-33sゲコタへ換装。ix-09wゲコタでは、グリップの悪い土の路面に対応できないと踏んだのだった。
スタートは、中国語でルマン式。数字の発音がわからない高橋がフライングしてしまって動揺、結果的にスタートダッシュが決まらないという暗雲立ちこめるレースの立ち上がり。おおよそ7番手ほどで最初のヒルクライムへ到達したのだろうか。高橋は振り返って言う。「タイヤの選択ミスでした。雨が降ったことでコースはだいぶ変更されていて、土の路面から丸い玉石の続くコースになっていました。岩や石は、圧倒的に09wゲコタが有利なんですよ…」と。1本目のヒルクライムで、すでにこのタイヤ選択ミスが裏目にでていることがわかり、これをクリアしたのはトップから30分以上おくれてからのことだった。疲労した高橋の顔が見える。10番手くらいだっただろうか。いや、高橋は「もっと後ろでしたよ、何人に抜かれたか覚えていない」と言う。
高橋が2年連続で参戦したアメリカのハードED「TKO」では、セクションの走破力よりもセクション間のスピードが問題になった。まるでクロスカントリーのようなスピードに、慣れていない高橋らはついていけなかったのだった。
亀山をトップで走り抜けていった韓国人ライダーのチェ・ホンジョンは、実はKNCCの王者だ。抜群のスピードを持っている若手を擁立して、韓国陣はチーム戦で台湾へ挑みに来た。「台湾の土はとんでもなく滑るね。タイヤはix-09w、韓国ではメジャーなハードED用タイヤになってるよ。中身はタブリスで0.4気圧くらい」とのこと。チェのスピードは、亀山で飛び抜けていたし、さらには韓国チームでタッグを組んでいたのも印象的だ。自転車のロードレースは、明確にチームでの戦い方がある。オンタイムエンデューロも、かつてはオンブラというライダーをレースに参戦させ、本命のライダーのためにスペアパーツを運んだ。いやいや、そもそもダカールラリーは今でも明確に「ウォーターボーイ」の役割を持つライダーが決められている。韓国チームが立ててきた作戦はそれだ。チェを勝たせるために、同等のレベルで走れるヘルパーを用意した。日本では、あまりない風習だ。
ともかく、トップのチェはあっという間に周回を重ねていって大差で優勝。
高橋も、食いしばって3位まで浮上してフィニッシュ。
そして終盤の15分くらいでトップ陣営に追いつき、3位まで浮上
特に最後の1時間くらいかな 自分に「最後まで諦めるな!」と喝を入れました
それはある日ある時、あるお姉さまからいただいた大事なお叱りのお言葉なのです
苦しい時には必ず思い出しています
それが奇跡を生んだとしか思えない (高橋博ブログより)
充実する日本のエンデューロ文化と、貪欲なアジア
優勝したチェは、KTMディーラーの息子で、14歳からモトクロスを始めたという。だが、韓国ではモトクロスよりクロスカントリーのほうが盛んだから、主戦場をKNCCへ移した。
「なぜ巧くなったって? うーん、ユーチューブを見まくってるからかな。J・ウォーカー、B・ボルト、彼らのユーチューブをよく見ているよ。今年はエルズベルグと、サハリンのハードEDに出るつもり。来年はルーマニアクスにもでたいね」とチェは言う。
18歳で、もてぎのトライアル世界選手権にも参戦したウェン・マオ・チェン。今回の台湾ハードエンデューロでは4位に入った。「将来はトライアル世界戦で活躍したい。土日は8時間くらい練習しているんだけど、工業系の大学で学生をしているので、平日はバランスのトレーニングをする程度かな。将来はバイクでごはん食べていけたらうれしい」と。
日本のエンデューロは、いま静かに盛り上がっている。最たるものとしてのJNCCは年間延べ10000人参戦を目標としているし、公道を使うオンタイムレースも世界に誇れる「HIDAKA」がある。G-NETは歴史古く、難易度も非常に高いハードエンデューロで、CGCが新たなエンデューロ層を創り出している。そして、各地には名レースが散らばっていて、有力なクラブも多い。この数年、エンデューロのイベントはとにかく多すぎて、取材しきれないほどだ。はっきりいって、日本は「日本で十分にエンデューロライフを謳歌できる」国だ。
だが、台湾や中国では、やはりそこまでではない。黎明期だから、常に外国をみて、どんどん貪欲に世界のエンデューロを取り入れ、参戦している。そういった流れの中で、極東ではエンデューロコミュニティがグローバルに形成されつつあるのを、台湾でひしひしと感じた。特に、いろんな意味で今は世界との距離が近い。だから、彼らが世界とむすびついて、爆速的にエンデューロカルチャーを高めていくのは遠い未来の話ではないだろう。
日本は、竹内氏が極東の情報を伝えるまで、なかなか状況を理解できずにいた。ガラパゴス的に進化していくのは、悪いことではないけれど、アジアに出て行くという選択肢もエンデューロにはある。そして、それがとても愉しく、ライダー個々人のエンデューロライフを底上げしてくれることにも、今後は注目してみてはいかがだろう。
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