現代の“街の遊撃手”──新型日産ノートオーラオーテックスポーツスペック試乗記

日産の「ノートオーラ」に追加された「オーテックスポーツスペック」は、乗れば納得の高い完成度を誇る1台だった！ 『GQ JAPAN』ライフスタイルエディターのイナガキがリポートする。

乗れば納得

新型ノートオーラオーテックスポーツスペックのステアリングを握ると、¥150,000以上の価値を実感した。

まずは加速感の違いだ。加速フィールを司るコンピュータが専用仕様ということで、どれほど違うのか半信半疑だったが、高速道路での追い越し加速時やコーナーからの立ち上がりで、レスポンス向上を実感した。

搭載するモーターの最高出力は100kW、最大トルクは300Nm。車両重量は1290kgだから、スペックだけ見ても遅いクルマではない。むしろ、太いトルクが一気に立ち上がるモーター駆動だけに、ダッシュ力は相当だ。

その力強さがさらに強調されたことで、普段の街乗りがより痛快となる。

加えて、ハンドリングも実にシャープ。操舵の入力に対し、思い通りの方向へノーズを変えられる。2代目いすゞ「ジェミニ」のCMを彷彿とさせる、俊敏な走りを楽しめた。現代の“街の遊撃手”とも評したいコンパクトハッチである。

資料には「熟練のテストドライバーが徹底的に走り込みを行い、車両姿勢やサスペンション仕様、パワーステアリング特性をチューニング」と、記されていた通りだ。

タイヤも実にイイ仕事をする。ミシュランのe・PRIMACYは、「ミシュラン史上最高の低燃費性能を誇る プレミアムコンフォートタイヤ」を謳うが、まさにその通りでロードノイズは低く、その上、しっかりと路面をグリップする。

「サイレント・リブテクノロジー」と呼ぶ技術を採用しており、接地面における接地部分と溝部分の比率が常に一定になるように設計。タイヤパターンから発する音圧を一定にし、優れた静粛性を実現したそうで、e-POWER搭載の新型ノートオーラオーテックスポーツスペックとの相性は良かった。

パフォーマンスダンパー採用も、走行性能向上に一役買っている。ヤマハ発動機が開発したパフォーマンスダンパーは、操縦安定性の向上と快適性の向上を両立させるのが特徴。コーナーリング性能向上や走行ノイズ低減効果。ドア閉め音の上質化などさまざまなメリットがあるけれど、筆者が一番実感したのは揺れの抑制だ。

首都高のつなぎ目を越える時、ベースとなったオーテックモデルよりも揺れが抑えられていたように感じた。劇的な違いこそ体感できなかったが、運転していて頭部の揺れ具合が違ったのだ。長距離移動時の疲労が軽減されるはずだ。

新型ノートオーラオーテックスポーツスペックは運転すればするほど、その違いに気づくこと間違いない。そして、プラス約¥150,000の差額に納得するはず。おそらく、「お買い得だったなぁ」と、気づくはずだ。

内外装の主張が控えめなだけに、普通のオーテックモデルとの違いを見出せず、購入に躊躇するユーザーもいるかもしれない。

でも、安心してほしい。普通のオーテックモデルとは違うから！

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文と編集・稲垣邦康（GQ）　写真・安井宏充（Weekend.）