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6代目ゴルフGTIをドイツ本国で独占取材。BMW130iと比べてみたら驚いた【10年ひと昔の新車】

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6代目ゴルフGTIをドイツ本国で独占取材。BMW130iと比べてみたら驚いた【10年ひと昔の新車】

2009年、6代目ゴルフの登場を受けて、日本市場ではゴルフGTIの上陸への期待が高まっていた。そこでMotor Magazine誌はドイツ本国に出かけて独自に試乗テストを敢行、もうひとつのスポーツコンパクトの雄と言われたBMW130iと同時に試乗することで、その実力を探っている。ここではその興味深い取材の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年9月号より)

ノーマルとは明らかに違った迫力を演出するGTI
今も鮮烈に思い出される「GTI is Back」という挑発的なコピーとともに登場した先代ゴルフGTIこそが、ゴルフVシリーズの人気をリードしたことは間違いないだろう。無論、それまでだってGTIの名がラインナップから消えたことはなかった。しかしゴルフII以降、少しずつその存在感が薄くなっていたのも事実。単なるゴルフの上位グレード程度の存在となっていたGTIが、誰もが描くイメージに近い姿で復活したインパクトは実に大きなものだった。

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もちろん精悍なアピアランスだけが人気の理由ではない。今のTSIに繋がる直噴ターボエンジンによる卓越したパワーとドライバビリティ、そして革命的とすら言えた新世代ギアボックスのDSGなど多くのアピールポイントが揃えられ、さらに価格設定も輸入車のスペシャルモデルとしては手の届きやすいところに抑えられていたから、人気が出ないはずがなかった。

そんなゴルフGTIも、ベースとなるゴルフがモデルチェンジされたことで、いよいよ代替わりの時期を迎えようとしている。すでに国際試乗会でのインプレッションは、日本のメディアにも掲載されているからご覧になったファンの方も多いだろう。そこで今回はドイツに飛んで、スポーツコンパクトの雄と言うべきBMW 130iと真正面から比較することで、また違った角度からその本当の姿、本当の実力について明らかにしていきたいと思う。

いずれも3ドアのMTという日本ではまずお目に掛かれない仕様が揃ったこの2台の並んだ姿、見た目の迫力あるいは威圧感という点では断然、新型ゴルフGTIに軍配が上がる。

先代の特徴だったワッペングリルを一代であっさりと捨て、横一文字のバータイプに改められたグリルは伝統に倣ってハニカム形状とされ、その上下に赤いピンストライプが走る。その左右のややつり上がったヘッドランプはベゼルのクロームがダーク調とされワルそうな目つきを演出。大きく口を開けたロワーグリルと合わせて喰らいつきそうなほどアグレッシブな顔つきを作り出している。

その他にディフューザー形状とされたリアバンパーや、それを反復したサイドスカート、低い車高などが相まってノーマルとは明らかに違った迫力を演出しているのである。

しかしながら130iもキャラクターの立ち具合では負けていない何しろゴルフと同じようなサイズでありながら、こちらはエンジン縦置きのFRレイアウトなのだ。

ボンネットフードは長く、相対的にキャビンは小さくなる。大きく見開いた目玉のように見える4灯式のヘッドランプにしても、ボディサイドを走る大胆なキャラクターラインにしても、それなりの年月を経て見慣れたというだけで、決してデザインとして地味なわけではない。

ゴルフGTIのような装飾はほとんどないにもかかわらず、見るからにスポーティな雰囲気は、このBMWの文法に則ったプロポーションやディテールが醸し出しているのだろう。

GTIのインテリアはアップグレード感が抜群。BMWはまとまりが良好
エクステリアが強い印象を残すのに較べれば、ゴルフGTIの内装意匠はベースモデルと大きく変わってはいない。

フラットボトムタイプとされたステアリングやステンレス製ペダル、各部の赤いステッチなどがその違い。テスト車はレザースポーツシートが装着されていたが、標準装備はこれまたお馴染みタータン柄のファブリック地となる。こうしたGTIならではの特徴は先代、ひいては初代モデルから受け継がれたものだ。

しかし、こうしたデザインの基本は変わっていなくても居心地は随分違う。各部のクオリティが格段に向上したこと、そしてインストルメンツパネル上面がフラット化されるなど運転環境がスッキリしたことが、そんな印象に効いているはずだ。

ゴルフGTIのこれほどのアップグレードぶりを見てしまうと、130iのインテリアにはとくに感慨は抱かなくなってしまう。クオリティ感という意味では、ほぼ互角と言っていい。ただしデザインのまとまりという面では、軍配が上がるのはこちらだろう。

ナビ画面がダッシュボードの最上段、しかも奥にあって視線移動を最小限に抑えているのは、運転という行為を本当に大事にしているBMWらしさを感じさせる。同じように走り出す前から嬉しくなり気分が盛り上がるが、そのアプローチはまったく違っている。

両車ともにしなやかな足、GTIはDCCの効果大
まずはゴルフGTIのコクピットに陣取りスタートする。始動はキーをひねって。すると日本で聞くよりはるかに野太いエグゾーストサウンドが響き渡る。

発進加速は相変わらず素晴らしい。その心臓であるTSI=2L直噴ターボユニットは、1700rpmから最大トルクを発生するというスペックの通り、ごく低い回転域から力強さが漲り、アクセルを軽く踏み込んだだけでもカタパルトに乗ったかのような俊敏な加速を披露する。

6速MTのタッチは繊細というほどではないが確実に決まり、リズミカルにシフトアップを決めて小気味良い加速を楽しむことができる。アクセルオフのタイミングによって時折耳に届く吹け残りの排気音までスポーティな演出として好意的に思えてくるほどだ。

それに較べれば普段使いでの130iはしごく穏やかに感じられる。

排気量に余裕があるだけに低速トルクはこちらも十分。32.1kgmという最大トルクの発生回転数は2750rpmだが、発進はクラッチペダルを踏んだ左足を浮かせるだけでいいし、4速50km/h、エンジン回転数が1500rpmを割り込むようなところからでも、アクセルオンで即座に加速態勢に移ることができるなど抜群のフレキシビリティを誇る。

しかも、こちらは自然吸気だけにレスポンスはなお一層ナチュラル。それこそ右足のmm単位の動きにすら忠実な回転上昇、そして加はいかにも上質な機械を操っているという歓びをもたらしてくれる。

クラッチペダルの操作感も130iの方が上だ。スプリング反力の設定が上手く、軽くはないのだがゆっくり戻していってキレイに繋ぐのがとてもたやすい。

対するゴルフGTIは他のフォルクスワーゲン車と同じくミートポイントがやや手前過ぎ、感触も曖昧。ヒルスタート機構のリリースのタイミングもわずかに噛合いが甘いようで、とくに微妙な上り勾配での発進などでギクシャクしがちである。もう少し繊細な操作感が欲しいところだ。

この両車が何も目を吊り上げて飛ばさなくても、十分に気持ち良く走りを楽しめるのは、しなやかな足さばきに拠るところも大きい。

ゴルフGTIの場合、その立て役者はDCC=ダイナミックシャシコントロール。新型ゴルフはノーマルでも先代に較べて快適性を格段に向上させているが、新たに標準装備されたこの電子制御式減衰力可変ダンパーによって、ゴルフGTIはスポーティな走りと快適な乗り心地をさらに高い次元で両立させている。

先代ゴルフではGTIに限らずスタビリティは高いけれどストローク感に乏しい印象があり、それが乗り心地にも飛ばした時の挙動の掴みやすさにも影響していた。しかし、その弱点はもはや払拭されたと言っていいだろう。

ちなみにモードはノーマル/スポーツ/コンフォートが選択できるが、何だかんだ言ってバランスが良いのはやはりノーマルである。コンフォートはステアリングの初期応答が甘くなるし、スポーツは路面追従性に難がある。スポーツは余程路面の良い道か、さもなければサーキットで使うモードだと考えておくべきかもしれない。

硬い柔らかいで言えば、130iの方が乗り味は硬めだ。こちらのサスペンションはきわめてコンベンショナル。しかもタイヤはランフラットだけにそれは想像の範囲内とも言えるわけだが、しかしそれでも総じてフラットな乗り味が実現されていて、十分快適という言葉で表現することができる。

ますます心地よくなったGTIの直4直噴ターボ
しかしながら両車ともに、その走りがもっとも眩い輝きを放つのは、やはりワインディングロードを置いて他にない。

ゴルフGTIがこれまでのイメージを覆すほどよく曲がるのは新採用のXDSのおかげだ。従来の電子式デフロックを発展させたブレーキLSDの一種であるこのXDSは、ESPの機能を拡張した簡便なシステムのわりに効果は大きく、ターンインでのノーズの入りは良いし、立ち上がりのアンダーステアも軽減され、コーナーの連続をリズミカルに楽しめるのだ。DCCも、こうした領域ではシャキッとハードになって姿勢変化を最小限に抑える役割を果たす。

エンジンも心地良さを増している。直列4気筒2L直噴ターボであることは変わらないものの、実は新設計のこのユニットは、新タイプのバランサーシャフトの採用で吹け上がりに雑味がない。

しかもトップエンドの伸びを抑える傾向にあるTSIユニットの中では例外的に上まで回る。5500rpm辺りから音が変わり出し、最後のひと伸びとともに7000rpm手前までしっかり使い切れるのだ。スポーツ心臓は、やはりこうでなくては。

そんなゴルフGTIから130iに乗り換えたら思わず面喰らってしまった。そのフットワークがあまりに鋭敏だからだ。

前荷重を意識しつつステアリングを切り込むとノーズがスパッとインに向く。ゴルフGTIと同じつもりで切ると曲がり過ぎて肝を冷やすほどだ。立ち上がりでのアクセルオンも床までペタッと踏み込むのは厳禁。リアに荷重が移りトラクションが掛かっていくのを全身のセンサーで感じ取りながらじわりと踏み込んでいく必要がある。

しかしインフォメーションは饒舌そのものだから、クルマとの密な対話を存分に楽しめる。これは紛れもないピュアなスポーツドライビングの歓び。いい汗かけること請け合いだ。

しかも130iの心臓は、このクラスとしてはあまりに贅沢なストレート6である。回転を上げていくほどに粒が揃っていく珠玉のスムーズさと炸裂するパワー、むせび泣くような官能のサウンドはやはり絶品。前が空くたび貪るように踏み込みたくなる誘惑には、とても抗することはできない。

拮抗する実力。その魅力はまさしく、甲乙つけがたい
新しいゴルフGTIの登場を契機に当たり前のようにライバルとして連れ出したBMW130iだが、実際には前輪駆動のターボエンジンと後輪駆動の大排気量自然吸気エンジンという組み合わせはある意味、異種格闘技的だったとも言えるかもしれない。

この両車、いずれもスポーツコンパクトカーとしての実力は超一流であり、純粋な意味で甲乙をつけるのはとても無理だ。一方でその狙いは両車でハッキリ異なっているように見える。

その中でも新型ゴルフGTIについて定義するならば、これまで定評だった誰もが楽しめる間口の広いパフォーマンスに、さらなる懐の深さが付け加えられたと言うことができるだろう。

XDSの採用はゴルフGTIならではの安定感を損なうことなく、さらにアクセルを踏んで行ける、より積極的な走りを楽しませてくれるし、DCCは普段使いの快適性を高めつつ必要とあらばよりトンガッた旋回性能を引き出すことを可能としている。

マニアックとも言われかねない130iも、はまればとても楽しい。これを攻略するのはスポーツを志すドライバーにとっては間違いなく歓びである。しかし多くの人を理屈抜きでハッピーな顔にするのは、やはりゴルフGTIだ。

そういう意味で新型ゴルフGTIは「GTIらしさ」をよりいっそう究めたモデルである。そんな風に評することができるのではないだろうか。(文:島下泰久)

フォルクスワーゲン ゴルフGTI 主要諸元
●全長×全幅×全高:4213×1779×1469mm
●ホイールベース:2578mm
●車両重量:1318kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1984cc
●最高出力:155kW(210ps)/5300rpm
●最大トルク:280Nm/1700-5200rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:FF
●EU総合燃費:13.7km/L
●タイヤサイズ:225/45R17
●0→100km/h加速:6.9秒
●最高速:240km/h 
※EU準拠

BMW 130i 主要諸元
●全長×全幅×全高:4239×1748×1421mm
●ホイールベース:2660mm
●車両重量:1400kg
●エンジン:直6DOHC
●排気量:2996cc
●最高出力:195kW(265ps)/6650rpm
●最大トルク:315Nm/2750rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:FR
●EU総合燃費:11.8km/L
●タイヤサイズ:205/50R17
●0→100km/h加速:6.0秒
●最高速:250km/h(リミッター) 
※EU準拠

[ アルバム : フォルクスワーゲン ゴルフGTIとBMW 130 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

1件
  • そもそも、この初代1シリーズもガッカリなクルマだったから、、、
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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