テスラにはソニー製のリチウムイオン電池が使用されていた
ソニーがEV(電気自動車)を発表した。世界最大級のITと家電の見本市「CES2020」(米ネバダ州ラスベガス)に登場した「ヴィジョンS」に、日本の自動車メーカーも興味津々だ。
【ソニーにダイソン!】これだけ自動車メーカーがあるなかで今家電メーカーがクルマを開発するワケ
パっと見は、テスラ「モデルS」または「モデル3」といった感じ。いかにもEVといった先進性を全面に押し出したエクステリアデザインだ。コンセプトモデルだがいわゆるモックアップではなく、インテリアもしっかりと作り込んであり、実車を見た人は「ソニーは本気でEVを量産する気では?」と口を揃える。
だが、現実は違う。ソニーの狙いはEVそのものではなく、もっと視野を広めた、大きなビジネスチャンスに向かって進もうとしている。
ソニーとEVと聞いて、多くの人がまず連想するのがリチウムイオン二次電池だろう。1975年から基礎的な研究を開始し、1991年には量産している。代表的な電池は、「18650」。直径18mm×高さ65mmの円筒型で、業界では「いちはちろくごーまる」と呼ばれる。ソニー自社のVAIOシリーズをはじめ、他社のパーソナルコンピュータにも搭載されることが多く、18650は「パソコンの電池」として知られている。
また、18650を1台あたり数千本も搭載しているのが、テスラだ。2000年代に量産されていた、テスラ「ロードスター」では当初、ソニー、パナソニック、または韓国製などの各種18650が使われていた。
そうしたソニーの電池事業だが、2016年に村田製作所(本社:京都府長岡京市)に売却されており、「ヴィジョンS」での電池供給はソニーではない。また、EVのキモとなる、モーターやインバーターなどの制御装置もソニー製ではないようだ。いったい、ソニーの技術はどこに採用されているのか?
CMOSイメージセンサー事業が大きく関わっている
CMOSと言われても、あまり馴染みのない方が多いだろう。画像を認識するイメージセンサーで使われる回路の論理である。要するに、自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)向けなど、車載カメラで使われる技術である。
自動ブレーキは2019年から夜間の歩行者保護がアセスメントとして採用され、また2021年から新車での搭載が義務化されるなど、自動車産業では今後も大きな伸びしろがある分野だ。
ソニーはテレビ局向けの撮影機材などを通じて、画像認識に関連する高い技術がある。そうしたリソースを自動車向けに応用したことが、CMOSイメージセンサーにつながっている。2019年にはCMOSイメージセンサーを中核とする画像認識事業で、年間1兆円を超える売り上げを記録している。
今後、自動車メーカーやベンチャー企業で、より高い自動運転レベルの量産が進むことは確実な情勢であり、ソニーのCMOSイメージセンサー事業がさらに成長する可能性が高い。
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