2025年シーズンで10年目を迎えたハースF1チームと小松礼雄代表。今季は合同ローンチイベント『F1 75』を経てプレシーズンテストを行い、いよいよ開幕を迎える。昨年は大きな飛躍を遂げたハースだが、小松代表はVF-25の走り出しについて「まあまあいい印象」と言いつつも、問題もありテストは完璧ではなかったと明かした。
またハースは年明けに旧型車を用いたテストに宮田莉朋を起用したことでも日本人ファンからの注目を集めた。プレシーズンテスト、ローンチイベント、そして旧型車によるテストを小松代表が振り返ります。
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●2025年F1プレシーズンテスト
1日目総合
Pos/No./Driver/Team/Time/Laps
19/31/E.オコン/ハース/1’33.600/88
20/87/O.ベアマン/ハース/1’35.522/72
2日目総合
Pos/No./Driver/Team/Time/Laps
17/31/E.オコン/ハース/1’33.071/69
18/87/O.ベアマン/ハース/1’34.372/66
3日目総合
Pos/No./Driver/Team/Time/Laps
8/31/E.オコン/ハース/1’30.728/103
20/87/O.ベアマン/ハース/1’32.361/59
早いもので2025年シーズン開幕がもうすぐそこに来ています。今年はいろんな意味でエキサイティングなシーズンになると思います。F1の75周年、さらにより多くのファンの方々にとって魅力的なスポーツにしていこうとF1全体で取り組んでいます。
また現行レギュレーション最終年なので、各チームの実力も拮抗し、レースではそこら中でバトルが見られるはずです。ハースF1チームとしても創立10年目の重要なシーズンになり、第10戦カナダGPで通算200戦目を迎える予定です。ある程度の成績を修めることのできた昨年をベースに今年はもう一歩、より速く、より安定して戦えるようチーム一丸となっています。ドラマに満ちたシーズンになると思いますが、このコラムを通じて、本当のF1の姿・魅力を少しでも多く共有できればと思います。今シーズンもよろしくお願いいたします。
さて今年も、まずはプレシーズンテストが終わりました。率直な感想としては、VF-25の素質は悪くないと思います。昨年のVF-24はいい特性を持っていたので、それを維持しつつ、ダウンフォース不足による中高速コーナーでの課題を克服することを目標にクルマを作りました。難しい作業だったので、クルマの特性は少し落ちているかもしれませんが、絶対的なダウンフォース量は増えています。そこで問題になるのがポーパシング(バウンシング)ですが、これを起こさないようにする匙加減もまた難しいものです。
開幕から最初の5レースでは超低速コース以外の様々なコースを走ることになるので、全体的な競争力というのはそこでわかると思います。サーキット特性に加え、天候や路面温度にきちんとクルマを合わせていけるか、オペレーションを完璧に実行できるか。マージンが小さいなかでチームの総合力での勝負です。ですからミスひとつで5番目に速いチームから9番目のチームになってしまうことがあるのも事実ですが、すべてを出し切ればいい位置で戦える感触はあります。
実際にテストではミスが出ました。これがまだチームの未熟さを現していると思います。2日目の終了直前にクルマのトラブルが起き、3日目の午前にはボディワークに問題が出ました。その結果、3日目の走行では答えよりも疑問を多く出すことになりました。3日目午前はオリー(ベアマンの愛称です)の開幕前最後のセッションだったのですが、それに大きな影響が出て、午後のセッションで状況は改善したものの、すべてを取り戻すことはできませんでした。この日には及第点にも届かなかったようなものです。
だからこそ『基本』がとても大切です。チームのみんなには、基本的なことをどれくらい高いレベルでやれるのかが重要だと年初から伝えています。こういうミスを繰り返していると、最初の5戦を終えた時点で“クルマのポテンシャルはあるのに結果を出せない”という状況になってしまいますし、開幕からの6週間で5戦ありますが、この短い期間で今後が決まってしまう可能性もあります。これも意識改革の一部ですが、人の意識は無理やり変えられるものではないし個人差もあるので、チーム一丸となって次の高みに進むにはどうすればいいかを日々考えています。難しいことですけどね。
まあ、ある意味ではテストでこういうミスが出てよかったです。信頼性もこの点以外は問題なく、周回数も全10チーム中2番目に多く重ねることが確認できました。
他チームのことについては僕はあまり気にしていません。海外のジャーナリストにも周りのチームのことをどう見ているのか聞かれましたけど、寒いバーレーンでのテストで5番手だろうと9番手だろうとあまり意味はないです。他チームの状況がわかったところで開幕までにやるべきことは変わらないですからね。
ドライバーの評価については、ふたりとも期待どおりでした。エステバンは昨年の最終戦後のタイヤテストで初めてうちのクルマに乗りましたが、今回のテストでも思ったとおりのパフォーマンスで、速さもあるしタイヤマネージメントもうまくて、いいベースラインを出していました。もちろんフィードバックもいいですし、自分が乗っていない時もしっかりとテストを見ていました。
オリーも同様です。ロングランに関しては経験のあるエステバンの方がうまく走れていますが、オリーは「エステバンはこういうことがより上手くできているので、この点をもっとよくしよう」と伝えるとそれにポジティブに取り組める人間です。周囲の人に「この人のためなら自分ももっと頑張ろう」と思わせてくれるようなタイプですね。
クルマのトラブルが起きた2日目午後と3日目午前は、どちらもオリーのセッションでした。特に3日目は午後のセッションに向けてクルマのコンフィギュレーション(設定)を変えなければいけなかったので、オリーのセッションを早めに切り上げることになってしまいました。それでもオリーはそれがチームのためになること、そしてそれが回り回って自分に返ってくることを理解し納得してくれました。初めてのF1フル参戦を目前に控えている状況でテストを予定より早く終えることになったにもかかわらず、こうすることが最善策だとわかっているということです。もちろん彼はルーキーなのでサポートが必要な面もありますが、いい意味でルーキーではないようにも感じています。
■子供もスポンサーも大喜びの『F1 75』
プレシーズンテストの1週間前には、ロンドンのO2アリーナで『F1 75』というイベントがありました。F1に参戦する全10チームが集まって、2025年のカラーリングを紹介するイベントです。開幕前にすべてのチーム、ドライバーが集まるイベントというのは、これがF1史上初めての試みでした。
僕たち出演者側から見ると、ただのカラーリング発表でどれくらいインパクトのあるイベントにできるのかは未知数なところがあったのですが、やるからにはできる限りいいモノを作りたかったので、コンセプトを話し合って、チーム創設から10年分の映像を使った演出をすることに決めました。結果的に、会場に見に来てくれたスタッフの子供たちや友人、チームのスポンサーもとても盛り上がって楽しんでくれました。ステファノ(・ドメニカリ/F1のCEO)はレッドカーペットを歩く演出にもこだわっていて、F1をもっとポピュラーなものにするという興行的な観点からいえば大成功だったと思います。
https://twitter.com/F1/status/1891953788245676256?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1891953788245676256%7Ctwgr%5E23284da2eae51a454498f70a22a4ffd93535e52a%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.as-web.jp%2Ff1%2F1181639
■TPCで宮田莉朋を起用
1月にヘレスでTPC(Testing of Previous Cars)を行い、宮田莉朋選手を起用しました。クルマに乗る前は静かでシャイな人だなという印象でしたけど、実際に走ってみての感想としては問題ないと思いました。もちろんF1初走行なので、最初は高速コーナーに課題がありましたが、低速コーナーはうまく走れていました。
乗った後のコメントもしっかりしていましたし、2日目も2時間ほど走ったら中高速コーナーのタイムを上げてきたので修正能力もあります。今すぐにF1に乗れる準備が整っているかというとそうではありませんが、十分な可能性を感じさせてくれるテストでした。
https://twitter.com/M_Ritmo/status/1880284042177966182?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1880284042177966182%7Ctwgr%5E9d702aabfaeabd8f410069a5db477e59dff2a072%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.as-web.jp%2Ff1%2F1171904
[オートスポーツweb 2025年03月12日]
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