普通乗用車のEVでは後発組の印象
「トヨタはEVに消極的なはずだったのでは?」そう思い込んでいる人が、世の中に大勢いたかもしれない。トヨタが中国の上海モーターショーで2021年4月19日、スバルと共同開発した「bZ4X」をワールドプレミアしたからだ。
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トヨタの電動車といえば、1997年の初代「プリウス」を皮切りに2021年2月までの累計台数は1700万台を超えたが、その主流はガソリンエンジンと電気モーターを融合するハイブリッド車である。
2010年初頭に、三菱「i-MiEV」と日産「リーフ」が大手自動車メーカーとして初めて量産型EVに参入したころ、トヨタは「iQ」のEVバージョンとして「eQ」を開発するも「市場状況を再検討した結果、量産するのは時期尚早」(トヨタ幹部)として量産計画を撤回している。
また、1990年からゼロ・エミッション・ヴィークル規制法(ZEV法)がある米カリフォルニア州では、初代RAV4 EVは自社開発するも、2010年代のRAV4 EVではテスラに業務委託し、トヨタ自身のZEV対応はEVではなくFCV(燃料電池車)へ人材など資源を振りむけた。
また、2019年後半に初公開した、超小型モビリティ「C+pod(シーポッド)」もあくまでもシティコミュータであり、一般的な乗用EVの領域には踏み込まないというイメージが強かった。それが、ここへきて、EV普及を促進する中国政府の施策に沿うように、多くの自動車大手と同じくEVの多モデル化を発表したのだ。
それによると、今後4年間となる2025年までにグローバルでEVを15車種、そのうちEV専用の新ブランドである「bZ(ビージィー)」として7種類を市場導入する。bZシリーズの量産第一弾が、「bZ4X」であり2022年央までにグローバルで販売するという。
けっして方向転換をしたわけではない
今回の発表を受けて、トヨタ本社関係者に直接確認したところ「基本的に、これまでのトヨタの路線を継承しただけだ」とあっさりとした答えだった。
確かに、トヨタは2019年6月7日に「EVの普及を目指して」という記者会見を行っており、そのなかで、低速な歩行領域EV、超小型EV、そして小型・中型EVという大きく3つの分野で今後、グローバルで事業展開すると明言している。
それ以前は、EVは移動距離が少ないシティコミュータを主体とし、都市間移動など長距離移動のフル電動車はFCVが担うとしてきたが、中国でのEV施策や欧州でのCO2規制強化によるCAFE(企業毎平均燃費)への対応から、小型・中型EVの必要性を強調していた。
また、小型・中型EVについては、2020年12月に欧州トヨタがEV専用プラットフォーム「e-TNGA」を発表している。今回発表された「bZ4X」はe-TNGAを活用しており、e-TNGAは前モーター、後モーター、または前後モーターによる駆動方式の変更や、電池パック容量の各種設定などを想定しており、これと同じような設計思想を持つテスラや、ホンダが協業するGMのEVプラットフォームの「アルティウム」のように、多モデル化の道筋がしっかりと描けているといえる。
時代の流れを察知したトヨタがこれから、日本を含めた各国や各地域の社会状況を十分に加味しながら、さまざまな量産型EVを市場導入することになる。
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みんなのコメント
当初の予定だった2030年頃のEV化を目指していた
ところに、政府が5年早めたので合わせただけ。