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もうクルマは安くならない? それでも日本は恵まれているってホント?【クルマの経済学】

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もうクルマは安くならない? それでも日本は恵まれているってホント?【クルマの経済学】

クルマの価格が上がり続ける2つの理由とは?

クルマの価格が上がり続けている。しかし、装備の内容やエンジン性能の向上を考慮すれば、むしろお買い得になっているという記事を昨年書いた。今回は、今後このトレンドがどうなっていくかを考察してみたい。
私は、大きく2つの側面からクルマの価格(名目価格)は今後も上がり続けると考えている。
■インフレとコスト上昇
まず1つ目の理由は、クルマに限らず、あらゆるものがインフレ傾向にあり、この流れはしばらく続きそうだということだ。
日本ではどの業界でも人手不足に陥っており、人件費は高騰している。これは賃金上昇を意味する一方で、同時に物価上昇も避けられないということでもある。また原材料も高くなっているので、クルマの製造原価も上昇せざるを得ない状況にある。
こうした背景の中で、クラシックカーを救済する法律ができた。いわゆる「25年ルール」である。これは、製造から25年が経過し、それを証明できるクルマであれば、アメリカの安全基準や排ガス基準を満たしていなくても登録が可能となる制度で、右ハンドル車でもOKだ(新車では右ハンドル車の登録が認められていない)。
なお、現在のトランプ政権による自動車の追加関税もこのルールに則って輸入する場合は対象外だ。
つまり、アメリカで入手困難の人気モデルは、この製造後25年を契機に一気に需要が発生し値上がりすることとなったのだ。
最も典型的な例は「R32型スカイラインGT-R」で、基本的に日本市場専用モデル(少数が同じ右ハンドルの国であるイギリスに輸出されたのみ)のため、アメリカ人にとっては垂涎の的だった。
そのため25年が経過していなかった2010年頃は250万円程度で程度良好の中古車が買えたのだが、現在では程度が良いものは1,000万円以上で取引されているのだ。

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■装備水準の向上と法規制
2つ目の理由はクルマの装備水準が高度化しているからである。まず法的に装着が義務づけられるようになった装備がどんどん増えているのだ。
2012年、横滑り防止装置の装備が義務化された(軽自動車は2014年から)。2020年にはオートライト(ヘッドライトの自動点灯)が義務化され、一定以上の暗さではスイッチで消しても走り出せば必ず点灯するようになっている。
2021年には衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)も義務化され、2022年には事故状況記録装置(事故が起こった際の速度やアクセルやブレーキをどの程度踏んでいたか、シートベルトをしていたかなどを記録する)も義務となった。
2024年11月からはバックカメラ搭載がすべての新車で義務化された(一部例外はある)。バックカメラが義務化されたということは、何らかのモニターも必要になるということだ。
これらの装備は当初は高価格車や高価格グレードのみに装備されていたものだが、安全に直結するものだけに国土交通省によりすべてのクルマに装着するよう義務づけされたのだ。つまりこれらの装備の分、クルマの価格の最低ラインが上がらざるを得ないことになる。
一方で装備が義務化された分、これらの装備のコストが低減し、装備の充実の割には価格の上昇は抑えられている(コスパは向上している)のである。


この流れはますます加速するであろう。例えばヘッドライトに関しては、将来的にオートレベリング装置の義務化も予定されている(新型車は2027年、継続生産車は2030年)。これは乗車人数や荷物の量によってヘッドライトの照射角度が上がることを防ぐ装置だ。
明るいLEDヘッドライトなどには既に装着が義務化されているので、影響を受けるのはハロゲンヘッドライトの安いグレードとなる。また、2025年6月以降に発売される新型車には踏み間違い防止装置(障害物の手前でアクセルを踏んでも急発進しない)も義務化される。
今後、ADAS(先進運転支援システム)が進化することは確実で、路車間通信・車車間通信といった高度な通信装備も、多くのクルマに標準装備され、義務化されていく可能性は高い。現時点でもトヨタ車のほとんどの新車にはDCM(データ通信モジュール)が搭載されている。
このモジュールによってナビ地図の自動更新のほか、ヘルプネット(万一の際に緊急通報を行う機能)も利用できる。これらはどれも安全性を高めるものなので標準装備とされることは歓迎すべきことなのだが、その分価格が上がってしまうのは避けられないことなのである……。


なぜクルマが高くなっても日本人は恵まれているのか?

しかし、クルマが高くなったとはいえ、日本の自動車ユーザーは実はとても恵まれている。今ヨーロッパでクルマを買うとするといくらになるかご存知だろうか?
例えばヤリスハイブリッド。日本では220~258万円(2WD)で購入できるが、ドイツでは2万5500~3万2100ユーロで、2025年6月23日時点のレート(1ユーロ=169.33円)で計算すると約432~544万円に相当する。なんと日本の1.9~2.1倍だ。
日本で448万円のGRヤリスだと、ドイツでは最低でも約880万円(5万1990ユーロ)にもなる。


さらに驚くことに、ドイツ車も日本の方が安い。「BMW 120 M Sport」は日本では508万円だが、ドイツで日本仕様とほぼ同じ装備にするとおよそ4万4000ユーロ、日本円で約745万円だ。なんと日本で買う方が200万円以上も安いのだ。
VWゴルフも同様で、日本では最安モデルは349.9万円だが、ドイツでは最低でも約482万円(2万8485ユーロ)だ。しかも日本仕様ゴルフはマイルドハイブリッドが標準だが、ドイツでマイルドハイブリッド仕様を選ぶと最低で約570万円、こちらも日本の方が200万円以上安い。


アメリカと比べても同様だ。アメリカで最も売れているトヨタ車、RAV4のハイブリッドは日本では386~453万円だが、アメリカでは3万2300~4万605ドル(消費税は洲により異なる)、日本円換算(1ドル=147.47円)で約476~598万円だ。
アジアではどうか? 日本で448万円のGRヤリス、タイで買おうとするとなんと1500万円超、シンガポールなら2500万円超だ。タイで開発されインドで生産されるホンダWR-Vは日本では239.8万円から買えるが、タイでは350万円を越える。
もちろん国や地域によって税制や為替レートは異なる。それでも繰り返しになるが、日本の自動車ユーザーは本当に恵まれているのである。

文:くるくら
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みんなのコメント

1件
  • sky********
    オートレベリングじゃなく、すれ違い灯(いわゆるロービーム)の取り付け高を制限してくれ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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