ジャパンモビリティショー2025(JMS2025)にも出品された新型マツダCX-5(欧州仕様)。今回は3代目となったCX-5の細部をじっくりとご紹介します。
エクステリアデザインはキープコンセプトながらボディサイズは拡大
2012年に魂動デザインと、プラットフォーム、トラスミッション、エンジンといったクルマの根幹部分を一新した「SKYACTIV TECHNOLOGY」を搭載した初代CX-5が登場しました。当時、国産車ではまだ少なかったクリーンディーゼル車の登場と注目を集め、その走りの良さとデザインが評価されヒット作となりました。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
2016年には2代目CX-5(以下、現行型)が発表され、日本では2017年に発売されました。こちらはパワートレーンやプラットフォームは初代から受け継いだものでしたが、ディーゼル特有のエンジン音&振動対策をはじめとしたブラッシュアプや内外装の質感の向上などが施され、こちらもヒット作となりました。ちなみに初代、現行型通算で累計450万台が販売されるなど、まさにマツダの屋台骨と言えるモデルになったのです。
そんな2代にわたるヒット作の後継車が今回ご紹介する新型CX−5です。まず、エクステリアから見ていくと、現行型のスタイリッシュさに加えていくぶんゴツさが増した印象です。欧州仕様車の寸法を数値でみると(カッコ内は現行型との比較)、全長4690(+115)✕全幅1860(+15)✕全高1695(−5)mmと全高以外は拡大されています
一方、前後のオーバーハングは2代目と同等ということで、全長の延長分はホイールベースの伸長に充てられています。これは後述するように主に後席足元と荷室のスペース拡大に貢献しています。
プラス115mmの全長でボディはよりスタイリッシュに
新型CX-5のエクステリアデザインは、スマートかつスタイリッシュな2代目に比べてややゴツく、そして堂々としたものに刷新されました。とくにフロントマスクは厚みが増した印象です。デザイナーによると、ボンネットの前端部は現行型よりも50mm高められており、エクステリアの各所(シグネチャーランプやホイールアーチのモールなど)には台形のモチーフを採り入れているとのこと。これが迫力あるエクステリアの演出にひと役買っているのです。
もうひとつ、新型CX-5を見た瞬間に「ずいぶんボディが伸びやかになったな」と感じました。初代は4540mm、現行型は4575mmとこれまで全長は4.6m以下に抑えられていましたが、新型は4.7mに迫る4690mmと歴代で最も長くなりました。
現行型まではロングノーズゆえにボンネット(Aピラーの付け根)からボディ後端までの長さが見る角度によってはやや寸詰まりに見えることがありました。ところが新型CX-5では全長の延長によりバランスが良くなり、どの角度から見てもそういったことがありません。
ボディの大型化はどんな車種でも(とくに国産車では)賛否両論が出るもの。ですが新型CX-5の全長の延長は、デザイン面では奏功したと言えます。
一方で、ネット界隈でも物議を醸している点が1860mmの全幅です。この数値だと入庫の条件が1850mm以下というケースが多いマンションのパレット式駐車場に入れられない=現行型CX-5ユーザーの買い替えが難しくなってしまう可能性があるのです。ただし、現在公開されている新型CX-5の車体寸法はあくまでも欧州仕様のもの。もしかしたら日本仕様は1855mm(であれば車検証上では185cmと表記される)となる、なんてことに期待したいと思います。
インパネは物理スイッチを大幅に削減
エクステリアが大きく変わった新型CX-5ですが、インテリアの変化はそれ以上に見る人に衝撃を与えるはずです。とくにインパネは大きなセンタータッチディスプレイが鎮座し、物理ボタンが大幅に削減されています。具体的にはこれまではインパネ中央部に配置されていたエアコンやオーディオのスイッチ類はセンタータッチディスプレイ内のアイコンに集約されました。
ディスプレイにスイッチ類を集約するという流れは、BEVをはじめとした近年の新型車によく見られる手法です。しかし走行中に操作しようとするとブラインドタッチができず使いにくい、設定したい項目を表示するまでが煩雑などという面にも注目が集まるようになり、物理ボタンを復活させる自動車メーカーもでてきました。
そこでマツダは物理式ステアリングスイッチを備えることで対応しました。ステアリングホイールには運転支援システムの設定、Mi-DRIVE(走行モード)の切り替え、カメラ、オーディオ、音声コマンドといったスイッチを配置して走行中でも操作しやすくしました。ただし、オーディオの音量スイッチだけはスワイプ操作で音量を調節できるようにしました。これはとっさに音量を下げたい時などにボタンを連打せずに済むように、という配慮とのことです。
Google搭載で大きく進化したインフォテインメント
一見タッチ式に見えるステアリングスイッチを実際に操作すると、きちんと押さないと操作できず誤操作の心配はなさそうです。また少し触れただけで表示が変わったりしてしまうタッチ式ステアリングスイッチよりも安心感がありました。
操作系だけでなく、インフォテインメントシステムも根本的に変わりました。主に2024年以降のマツダ車に搭載されるインフォテインメントシステムはAmazon Alexaを搭載。これにより音声コマンドによるエアコンの操作などが可能でした。しかし、新型CX−5からはGoogle搭載となりました。なぜベースとなるシステムを変えたのかというと「Googleは絶対的なユーザー数が多く、そのぶん多くのフィードバックを得られることがユーザーにとってのアドバンテージになると考えたため」とのことでした。
実際、音声による操作を試してみるとAmazon Alexa搭載車よりもコマンドに対する反応が早く、できることも多い印象です。しかも「OK、Google」と呼びかけたあとにシステムの応答を待たずに要件を伝えても的確に反応してくれます。
ちなみに新型CX−5では後席からの音声コマンドにも反応するようにセッティングされています。開発陣によるとこれには車内の静粛性を高める必要があり苦労したとのこと。ですがその努力が実り、ドイツのアウトバーンを170km/hで走行していても後席乗員からの指示を的確にシステムが聞き分けられるようになったと言います。
もうひとつGoogle搭載にしたメリットとして、インフォテインメント画面に表示される自車のステータスを表すアニメーションが進化したことも挙げられます。具体的には、ドアが開いていればドアが開いた状態の、灯火類が点灯してればそれを示すアニメーションが表示されます。また車両のアニメーションをスワイプすれば好きな角度に変えることができるほか、インフォテインメント画面のウィジェットも自由に設定できます。
ドライバーインターフェイスを一新。後席も広くなった
次にインテリアを見ていきます。インパネは前述のとおり現行型CX-5やCX-60などとは異なり、大きなセンタータッチディスプレイが目を引きます。今回の取材会に用意された新型CX-5は、欧州仕様の上位グレード「Homura」と中位グレードの「Centre-Line」で前者には15.6インチ、後者には12.9インチのセンタータッチディスプレイが装備されます。
メーターパネルはグレードを問わず10.25インチのフル液晶メーターが搭載され、新しいグラフィックデザインが採用されています。
センターコンソールはシフトレバーの前方にカップホルダー、後方にスマートフォンを収納できるスペースが設けられています。一点、残念だったのはシフトレバーのデザインが現行型と変わっていなかったことです。内外装の大幅なデザインチェンジに合わせてここも変えてほしかったと思いました。
シートのデザインも変わり、その表皮は上位グレード「Homura」はレザー、中位グレード「Centre-Line」にはブラックの合皮+クロスとなります。またシートバック上部はホワイト、他の部分はブラックというツートンカラーも用意されるとのこと。これは擦れなどによる変色や汚れが気になる部分はブラック、車外から見える部分はホワイトにすることで、インテリアを明るく見せることができるとのことでした。
後席はホイールベースの延長の効果もあって足元スペースは64mm広がり、ヘッドスペースも29mm拡大されました。また、Cピラーの位置は現行型よりも約70mm後方にずらされ、後部ドアの開口角度は約80度と広いため乗降性はかなり良いと言えます。もうひとつ、後席まわりで注目したい点がCX−5では初となる大型グラスルーフの採用です。これにより車内はより広く明るくなっていました。
荷室は使いやすさと拡張性にこだわった
荷室も進化しています。奥行きは45mm、荷室高は30mm拡大されています。奥行きの拡大によりフル乗車状態でもベビーカーを縦に積むことができるようになったほか、5名乗車時でも中型スーツケース4個、ゴルフバッグ4個も積載できるようになりました。
後席背もたれを倒せば荷室床面はフラットになり、荷室長は1900mm程度を確保。これにより大抵の日本人男性であればとこになることが可能です。さらに後席ヘッドレストを前後逆に取り付けシートバックを倒すとちょうどいい高さの枕になります。さらに後席の頭上まで大型グラスルーフに覆われるため、夜空を見ながらの車中泊、といったこともできそうです。
発売は2026年中、フルハイブリッドは27年に追加予定
今回の取材会では基本的には内外装とインフォテインメント系の説明が主でパワートレーンに関する説明はありませんでした。ただし、すでに欧州仕様発表時に公開されている情報を整理すると、パワーユニットは2.5L直噴ガソリンエンジン+モーターのマイルドハイブリッド(e-SKYACTIV G 2.5)で6速ATが組み合わされます。現行型で人気が高かった2.2Lディーゼルターボは廃止され、新型CX−5には搭載されません。
ただし「SKYACTIV-Z」と呼ばれるフルハイブリッドが2027年に追加されるとのことで、これがディーゼルとガソリンエンジンのいいとこ取りをしたようなパワーユニットで、これまでのディーゼルターボユーザーの受け皿になることを目指しているとのことです。
このように進化した新型CX-5は、2025年末の欧州発売を皮切りに日本などでは2026年中に発売される予定です。デザインや使い勝手といった部分は明らかに現行型を超えていると感じました。今回は走行性能に関する説明はごくわずかだったため、判断は難しいところですが内外装の質感や操作性では頭ひとつ抜けていて商品力は高い、そう感じさせる出来栄えでした。
(文:モーターマガジン編集部 小泉/写真:森 浩輔)
■マツダ 新型CX-5 FWD(欧州仕様) 主要諸元
●全長✕全幅✕全高:4690✕1860✕1695mm
●ホイールベース:2815mm
●タイヤサイズ:225/5R19(Homura、Centre-Line)
●エンジン:2.5L直4+モーター(マイルドハイブリッド)
●荷室容量:583L
●ヘッドルーム(前席/後席):1007/1020mm
●レッグルーム(前席/後席):1058/1012mm
●ニークリアランス(後席):131mm
●車両重量:1664−1687kg(17インチタイヤ装着車は1629kg)
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