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【ホンダCB1000F】ツーリング試乗で見えた、ホンダ・ビッグ1を継承する万能性(先ごろ発表のリコール情報付き)

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【ホンダCB1000F】ツーリング試乗で見えた、ホンダ・ビッグ1を継承する万能性(先ごろ発表のリコール情報付き)

十分な軽さ、しかし失っていないビッグ1的な貫禄

今年(2025年)2月28日に発売され、6月30日に受注終了となったファイナルエディションでCB1300シリーズが終止符を打った。ホンダのビッグ1シリーズ的なものを求める層は、次は何を選ぶべきか迷う状況だったはずだが、間もなくCB1000Fの登場がアナウンスされ始め、安堵したホンダファンもいたことだろう。

【画像27点】CB1000Fの走行シーン、各部の詳細をチェック!

しかし個人的には、車格で所有感、存在感を満足させていたCB1300シリーズ並みの貫禄がCB1000Fにあるのか、ビッグ1のような万能性を継承しているか、実車を見るまで、気になるところだった。

ところがCB1000Fにまたがってまず感じたのは、「これはCB1300っぽい」と感じるライディングポジションと、またがった目線から見えるタンク、ハンドル周りの存在感だった。十分にボリュームがあるし、スポーティ過ぎずリラックスもできるハンドルとシートの位置関係、違和感のないステップがそう感じさせたのだろう。

また、そうでありながらCB1000Fは、またがっただけで軽くフレキシブルな取り回しを想像させた。車重でCB1300SFから52kgも軽い214kg(STDのCB1000Fの場合)なのだから実感できて当然だが、存在感もボリュームも十分あって、これはいいとこ取りで進化したビッグ1的なものではないかと感じたのだ。

4気筒ならではの滑らかな走り出しと、ゴロゴロとした鼓動感の演出

冷間時でも一発でエンジンが始動するのはもちろんだが、気になったのは始動してしばらく働くファーストアイドル機構で回転が上がっているときだ(2000rpm以上になる)。「ブゥオーー」とした排気音は、早朝の住宅地では気になる音量のため、早々にギヤを入れスロットルを開けずにクラッチミートして走り出した。大型二輪が久しぶりだったり、経験の浅いライダーは、この音量に加え、アイドリング回転だけでスルスルと走り出して速度が乗ってしまうことに驚くかもしれないが、1kmも走らない内に回転は落ち着くので問題ないし、慣れるしかない。

暖機をきちんとして走り出したいと考える方はいるかもしれないが、すぐに低回転でスルスルと走り出してしまって問題ないだろう。何せ、2000rpmも回っていたら30、40km/hは簡単に出るし、リッタークラスのバイクは、始動直後に回転を上げてエンジンを傷めてしまうなどというレベルのものではないだろう。

比較的軽いクラッチを、アイドリング(1200rpm前後)+αの回転でミートすれば、相応な重さの車体はスルッと走り出す。大らかなトルク感がリッター4気筒エンジンのメリットで、このフィーリングはCB1300からCB1000Fになったって変わらない。

CB1000ホーネットベースを、CB1000F専用にチューンしたエンジンのポイントは3つほどあり、性格を特徴づけているのは、ベースよりローレシオ化された1~3速(渋滞でゴーストップの多い低速時や市街地での取り回し性向上など)、低中回転でのスムーズさ重視でデチューンされたエンジン(ホーネット最高出力152ps/1万1000rpm→124ps/9000rpm、ホーネット最大トルク10.6kgm/9000rpm→10.5kgm/8000rpm)、左右気筒ごとにバルブタイミングを微妙にずらし、低回転では意図的にゴロゴロとした鼓動感を演出したサウンドなどだろう。

低回転域でのこのゴロゴロ感を、走り出してしばらくは「なんだか粗雑」と感じたのだが、このゴロゴロが回転を上げていくとシューッ滑らかな4気筒の回り方に収斂していく。しばらく走っていると、面白い演出と感じられたし、これと似た手法をかつてCB1100(2010~)でも施されていたことを思い出した。

爽快な回転上昇を見せる中高回転域と、しなやかかつ安心感のある車体の挙動

一般道から高速道路へ上がる。トップ6速のメーター読み60km/hでは約2250rpm、80km/hではちょうど3000rpmくらいを指している。そしてメーター読み100km/hでは約3750rpm、120km/hで約4500rpm。エンジン回転はこの速度域でも当然余裕しゃくしゃくで、中回転域になるにつれてゴリゴリとした回転感がスーッと滑らかな回転上昇に変わっていく。

4気筒の1000ccはトルクフルで、前述のように低い回転からトップギアで流せるのがメリットだが、どんなギヤ段数でも5000rpmも回っていればそこそこスポーツランができてしまう懐の深さがある。もちろん最大トルク発生回転の8000rpm、最高出力発生回転数の9000rpmまでストレスなく回ってしまうが、相当アウトローな走りをしない限り、この領域を使うことはない。そして、パワーに十二分な余力があるものの、アップライトなライポジでのネイキッドは120km/h以上での巡航というのは得意ではない。伏せ姿勢で走り続けるなら別だが、CB1000Fは余力を残しながら、ゆったりと走るのが似合うバイクでもある。

ワインディングは万人に対応する懐の深さもあって、実はCB1000Fの得意分野だと感じた。ハンドリングはさほどクイックではないが、ほんのワンテンポ置いて舵角が付き、スッと入って行ける。前後ブレーキの制動力、タッチにも不満はなくコントロールしやすい。ブラインドコーナーでは、バンク中に前後ブレーキを引きずりつつコントロールする場面もあるが、こうした操作が躊躇なくできるのは、介入が早すぎることもなく適切に作動するコーナリングABSが支えてくれるからだろう。

気になる点も帳消しにできる、万能性とコストパフォーマンス

ちなみに、試乗時はCB1000Fとカウル付きの上級仕様CB1000F SE(ビキニカウル、クイックシフター、グリップヒーター、専用シートを標準装備)を交互に乗り、一台には標準と違うコンフォートシート(ウレタン厚を約33mm増し、快適性を高めたオプション品。3万9710円)を装着した。

いずれのシートも1日300km程度の行程では疲れることはなかったが、異なるのはワインディングなどでの旋回性。着座位置の高くなるコンフォートシートのほうが倒し込みに軽さが加わり、切り返しがクイックになるのだが、適度に重厚さもあり切り返しもゆったり感のある標準シートも捨てがたい。ライディングポジションも含めて個人的には標準シートが好みだが、より軽快さと長距離ランでの快適性を重視するなら、コンフォートシートも選択肢に入るだろう。

ひとつ気になったのは、乗り心地がよく概ねしなやかな動きのサスペンションながら、路面のうねりや凹凸のある箇所で、時にリヤ側に突き上げを感じる場面があったこと。リヤ側はプリロードで7段階調整(標準は4)、伸び側減衰力の調整があるから、自分の体重(76kg)に合うフィーリングを探せる可能性はある。

もうひとつ、気になったことと気に入ったことは、調整機構のないクラッチレバーが若干遠いことだった。平均的な手の大きさの筆者だが、クラッチレバーに第一関節がちょっとかからない距離にある。大きな支障ではないが、ハードにワインディングを流して頻繁に変速をするときなど、スッと握ってスパッと離すという繰り返しが億劫になる。そんなとき、有難かったのがクイックシフター(STDはオプション、SEは標準装備)で、元々適切なストロークがありつつ節度のあるCB1000Fの変速機構では、非常に有効。気持ちよく変速が決まって好印象だった。

一般道ではフレキシブルに流せ、高速では余裕の巡航性能、ワインディングではその貫禄にもかかわらすCB1300シリーズよりも軽い車体の効能で思わずやんちゃな走りもできてしまう。ある意味、貫禄をキープしつつ、正常進化で万能な性能というハードルを低くしたと言えるのがCB1000Fなのだ。

ちなみに、300km弱を走行しての燃費はCB1000F、CB1000F SEともに18.7~18.9km/Lで推移した。CB1300シリーズと比較して特に優位とは言い切れないが、高速メインの走行ならば20km/Lを超えるかもしれない。燃料残量が約3Lを下回ると燃料マークのアイコンが点滅するが、本試乗では225km付近で作動。CB1300シリーズのタンクが21L容量だったので、個人的にはもう少し容量を確保して欲しいとも思うが、ビッグバイクとしては及第点の航続距離か。

ただし、このパッケージングのビッグバイクで139万7000円(STDの場合)という価格も、今ではリーズナブルだと思える。そして、これまで述べてきた些細な注文点も飲み込めるほど、CB1000Fシリーズの価格は加点要素になる魅力とも感じた。

CB1000Fシリーズ各部紹介

【ヘッドライト周り】
■トラディッショナルなラウンド形状の外形の中に、水平に渡したガーニッシュを入れ、上側にロービーム、下側にハイビームを配したLEDヘッドライト。その上に乗る5インチTFTメーターが車両全体の雰囲気に合わないとの声もあるが、視認性と実用性は高い。

【TFTメーター表示レイアウト】
■近年のホンダ製上級モデルで採用例の多い5インチフルカラーTFTメーター。画像は通常時の表示配置だが、タコメーターはサークルタイプ(写真)、バータイプ、シンプルタイプの3パターンを選択でき、背景は写真の黒地のほか、白地にも切り替え可能。

【左右グリップの操作スイッチ】
■多彩な機能設定がありながら、分かりやすい右グリップの操作系。各種機能の選択、決定は4wayセレクトスイッチで行い、ライディンモード切り替えが直接行えるモード設定も使いやすい。一方、左グリップの操作系は、赤いセルスターター兼エンジン停止スイッチ、その下のハザードスイッチのみ。

【燃料タンク】
■車体全体とのバランスがよく、ボリューム感もある燃料タンクは16L容量。通常のツーリングなら、230~240km走行で燃料警告(残量約3L時)が点灯する。大排気量バイクの航続距離としてはやや物足りないが、ライダーの車体ホールド感は良好な造形。

【フロント/リヤ周り】
■フロントサスには、SHOWA製SFF-BP倒立タイプを採用。伸・圧の減衰力とプリロード調整機構を装備。コーナリングABS付きのブレーキは310mm径フローティングダブルディスクと、ニッシン製対向4ポッドラジアルマウントキャリパーで扱いやすい制動力を確保。
■リヤブレーキは240mm径シングルディスクにニッシン製1ポットキャリパーの組合せで、良好なコントロール性能。専用リンク比のプロリンク式リヤサスは、分離加圧式のシングルチューブタイプショックで、プリロードと伸び側減衰が調整可能。

【標準シート】
■タンデムライディング時の居住性や積載性向上を図り専用設計されたシートレールの上にセットされる標準仕様のシート。ライダー側は足着き性に配慮し薄めの肉厚だが、300km弱のツーリング試乗では快適性も不満なし。左サイドカバー部のキー穴はシート解除用のもの。

【荷掛けフック】
■前後左右4点の荷掛け用フック装備で、ドローコードを使って荷物をくくりつけられる。コードが接触するテールサイドには何か保護シートを張りたいところだが、フック自体は地味だがあれば便利な装備。

【ライディングポジション】
■身長173cm、平均的な足の長さの筆者がまたがった場合で、標準シート(写真左)のCB1000Fは両足カカトまでほぼ接地。そしてアップライトな上体姿勢から自然に手を下ろした位置にハンドルグリップがある。またシート高が高くなるコンフォートシートの場合(写真右)は、両足カカトは2cmほど浮くものの不安感はない。

CB1000F/同SE主要諸元

※< >内はSE
■エンジン 水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク76×55.1mm 総排気量999cc 圧縮比11.7 燃料供給装置:フューエルインジェクション 点火方式フルトランジスタ 始動方式セル
■性能 最高出力91kW(124ps)/9000rpm 最大トルク103Nm(10.5kgm)/8000rpm 燃費17.9km/L(WMTCモード値)
■変速機 6段リターン 変速比1速2.642 2速1.941 3速1.583 4速1.333 5速1.137 6速0.967 一次減速比1.717 二次減速比2.812
■寸法・重量 全長2135 全幅835 全高1125<1170> 軸距1455 シート高795(各mm) キャスター25°00′ トレール98mm  タイヤF120/70ZR17 M/C(58W)R180/55ZR17 M/C(73W) 車両重量214<217>kg
■容量 燃料タンク16L エンジンオイル3.5L
■車体色 ウルフシルバーメタリック(ブルーストライプ)、ウルフシルバーメタリック(グレーストライプ)、グラファイトブラック<ウルフシルバーメタリック(ブルーストライプ)>
■価格 139万7000円<159万5000円>

【CB1000F/同SEについてのリコール情報について】

2025年12月18日付けで、ホンダから同車のエンジンについてのリコールが発表された。

■基準不適合状態にあると認める構造、装置又は性能の状況及びその原因
エンジンを高回転の状態からエンジンブレーキによる減速を繰り返すと、エンジンオイルが燃焼室まで吸い上げられて燃焼し、オイル消費量が増えることがあります。そのため、そのまま使用を続けると、オイルの潤滑不良で異音が発生し、最悪の場合、走行中にエンジンが破損し、後輪がロックして転倒するおそれがあります。

■改善措置の内容
当面の措置として、エンジンオイル量を点検し不足していれば規定量まで補充して、エンジンに異常がある場合は修理します。また、使用者に不具合内容を通知し、エンジンオイル量の点検を注意喚起するとともに、車両へ注意ラベルを貼り付けます。なお、対策が決定次第、改善措置を実施します。

※現在全国のホンダドリーム店にある在庫については販売を継続し、不具合内容を通知し、適正なサービスでフォローする予定。ただし、現在生産は一時停止しているため、各店在庫分以降の販売は未定となる模様。ちなみに、埼玉県内の某ドリーム店に確認したところ、「現在はシルバー+ブルーストライプ車が2台販売在庫がありますが、お客様には海外で起こった不具合の可能性を通知し(国内では発生例がない事象のようだ)、きちんとアフターサービスしつつ販売していきます」とのこと。

Report●モーサイ編集部・阪本一史  写真●山内潤也、ホンダ

文:モーサイ 阪本一史
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みんなのコメント

36件
  • t.mac
    スタートダッシュが良かったのにリコールは残念!早急に改善して販売再開を望みます。
  • ニャンタ
    いいバイクだとは思いますが、タンク容量は残念です。乗り方にもよりますが、一気に遠くへ行けるのは大型バイクの魅力でもあるので、せめて20はあった方がいいのではないかな。以前乗っていたCB750Fは20以上だったと思います。デザイン的に難しかったのかな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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