アメリカでもダウンサイズユニットが好まれる地域もある
先日キャデラックXT5を、新たに国内ラインアップに加わったXT4と比較して試乗する機会に恵まれた。気筒休止システムを採用する、2リッター直4ターボを搭載したコンパクトSUVであるXT4のほうが日本人には馴染みやすいだろうというのは誰でも感じるはず。実際ステアリングを握るまでは、“見た目だけキャデラック”のような印象を強く持っていたが、実際運転してみると、キャデラックらしいというか、アメリカ車らしさを感じる部分もあり、満足感も高かった。
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XT4を試乗したあとにXT5のステアリングを握ることとなった。ちなみにXT5は2021年1月に新色導入、ホイールデザインの変更などの一部仕様変更を行っている。XT5は2016年に2017年モデルとして生産開始されている。そして、2019年に従来の3.5リッターV6に追加する形で、新開発2リッター直4ターボが新設定されているのだが、現状日本国内では3.5リッターV6のみのラインアップとなっている。
北米の公式ウェブサイトをみると、アメリカ国内では、ラグジュアリー(FF/AWD)、プレミアムラグジュアリー(FF/AWD)、スポーツ(AWD)の3グレード構成となり、ラグジュアリーは2リッターのみ、プレミアムラグジュアリーは2リッター直4が標準で、3.5リッターV6がオプション設定されている。そして、スポーツは3.5リッターV6のみとなっている。つまり、アメリカではメインユニットとなる(カタログ上は)2リッター直4ではなく、3.5リッターV6が唯一のパワートレインとして日本国内では設定されている。XT5は中国において、現地合弁会社となる上海通用(通用はGMの意味)汽車で生産されているが、チャイナスペックでは2リッター直4のみとなっている。
以前事情通に話を聞くと、「一般論となりますが、アメリカの東西両沿岸部や、そのほかの州都や主要都市あたり(プリウスタクシー[ハイブリッド車全般含む]がたくさん走っているところなどとも言われたことがある)は、ヨーロッパや日本車の影響を受けて、ダウンサイズユニットが好まれ、直4ユニットも受け入れられていますが、そのほかの地域ではいまもV型ユニットが伝統的に好まれています」という話を聞いたことがある。
同じくこの事情通には、「アメリカの国土は非常に広大です。ロサンゼルスのある南カリフォルニアのクルマ事情だけを見て、『アメリカクルマ事情』とはなりません。沿岸部と内陸部では、かなり趣向性が異なるのです」と言われたことがある。
確かに、アメリカの人気警察ドラマでも、メインキャストが捜査のため中西部郊外へ行き、聞き込みをしていると、「直4だって? そんなヤワなクルマ乗るのは都会のお坊ちゃんだろ?」というやりとりがあったので、「確かにその傾向はあるようだ」と感じたのを思い出した。
古き良きアメリカ車を感じさせるイメージに仕上がっていた
いまは日本市場から撤退したフォードだが、日本市場で展開していたころに、エクスプローラー(U502型/FFになったユニボディモデル)は、デビュー時2リッター直4ターボと3.5リッターV6をラインアップしていた。3.5リッターV6を試乗したときには、“ズルベタ”とも表現される、アメリカ人の好むATのフィーリングなど、昔ながらのアメ車っぽさが色濃く残っている印象をフォード関係者に伝えると、「V6はアメリカでは、内陸部のお客様向けのラインアップとなります。そこの地域にお住いのお客様の多くは、伝統的V6のようなフィーリングを好まれるのです」とのことであった。
今回試乗したXT5もまさに、古き良きアメリカ車を感じさせる試乗イメージであった。9速ATのフィーリングはまさに、多くのアメリカ人が好みそうなものであり、高速道路での中速域から高速域の加速などでも、アメリカでのフリーウェイ走行では、時速55マイル(約88km)あたりから、70マイル(約112km)までの間で走行することが多いので、その速度域あたりでの加速がじつにスムースで、高速道路走行が気持ちいいのもアメリカ車ならではのものと感じた。それと、ドアの閉まりの良さは秀逸であった。あれだけの重厚さは日系ブランドでは、あまりお目にかかったことはない。
日本で販売されるGM車は左ハンドルのみとなっている。遠い昔に右ハンドルでウインカーレバーも進行方向右側(日本車と同じ)に移設し、バンパーを詰めて全長を若干短くした、いわば“かなり日本向け”となるキャデラックを発売したことがあるが、売れ行きは芳しくなかった。日本での扱いやすさを追求したら、古参のアメリカ車ファンからソッポを向かれたともいわれた。
実用性や日本市場の特性などを考えれば、日本仕様のXT5にも2リッター直4が積極的に導入されただろうが、XT4との差別化を考えればV6の搭載もそんなに違和感を覚えるものではない。ただ、アメリカでもメインユニットというよりは、オプション設定のようにも見える3.5リッターV6をあえて日本仕様として唯一搭載するあたりは、販売台数もそれほど多くはGMサイドも求めていないようなので、趣味性の高さやアメリカ車ファンへ向けた設定にしてあるのだなあと、筆者は強く感じた。
筆者が20代のころ、友人と南カリフォルニアを旅行に行ったときに、安く借りられるとして、シルバーのキャデラック・ドゥビルという大型セダンを借りて砂漠地域などをドライブして楽しんだことがある。当時すでにFFとなっていたのは残念だが、4.6リッターV8OHVエンジンを搭載し、内装色はオール“えんじ色”であった。
往時のアメリカ車やクラウンの、“船を漕ぐような”独特のソフトな乗り味に感動しながらフリーウェイを流していると、Tシャツにジーンズ姿の若いアジア人が新車のキャデラックを運転しているので、通り過ぎるクルマのドライバー(白人ばかり)は驚いた顔でこちらを見ていた。おそらく、アジア系自動車窃盗団のメンバーと勘違いされていたようだ。XT5のステアリングを握っていたら、当時の、そんなドゥビルの思い出を鮮明に思い出すことができた。
アメリカ車は、“日米自動車摩擦”ともいわれた1980年代に、製造品質があまり良くない様子や(当時はひどかったけど今は改善されている)、大排気量で燃費も悪いなどといったネガティブな部分を、“世界一ともいわれる優れた日本車(当時は)”と比較するテレビ番組が多く放映され、そのころのイメージがいまもなお引きずられる形で“アメリカ車はよくない”と、いまでも日本では広く思われてしまっている。
しかし、3.5リッターV6には気筒休止システムが採用されているし、燃費性能も実用レベルでは日本の同クラスユニットよりも優れているのではないかとの話もある。
XT5を運転していて随所から、「やっぱりアメリカ車だなあ」と感じる部分があるところを見ると、いまどきの日本車よりはキャデラックというブランドパワーもあるが、丁寧なクルマづくりが行われている印象を強く受けた。
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みんなのコメント
GMが日本の正規ディーラーに色々と修理や何らかの手順などが違うとペナルティーを与えている事も有り、特にテスター診断での修理マニュアルから外れた事をするとGMなどにつつかれる。
特に新車保証3年の間に不具合がある場合はテスター診断で不具合が出ない限り、不具合が有っても正規ディーラーは直さすに不具合の再現できないのでと返し、対応が悪い事も原因かと思う。
特にGMからのコンピューターのバーションアップが短期間に更新され、車両のコンピューターに書き変えられるのだが、その度に不具合が増える事が多い。これも、現地から通信する。
それと、日本では、職人気質が多い為、テスター診断だけに頼らす、不具合と思われる原因を考えて改善しようとするが、それを正規ディーラーがするとGMからペナルティーなどが取られる。
ハッキリ言えるのは、日本車はホント不具合が少ない。