ルノーグループは、かつてブランドアイコン的存在だった初代「トゥインゴ」を、電気自動車(EV)「E-Tech electric」として復活させた。新型「トゥインゴ E-Techelectric」は、初代を受け継ぐ遊び心と、シティモビリティの課題をみごとに融合させている。使い倒して楽しめる、チャーミングなBEVの誕生だ。
アンチBEV派にも響く「初代トゥインゴ」へのオマージュ
5(サンク)、4(キャトル)に続く、懐かし型ルノーBEVの第三弾(5ターボも入れれば第四弾)、と言ったところだろうか。新型トゥインゴE-Tech electricはルノーの電動化戦略における最も重要な「ゲームチェンジャー」のひとつとして、初代譲りの愛らしさに次世代コンパクトシティムーバーの未来感性を併せ持つ魅力的な姿で登場した。
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もっともルノー的な「ゲームチェンジャー」の意味合いは、そうとうお金絡みのところにありそうだ。たとえば、ルノーグループのEV部門であるアンペア社(Ampere)が掲げる「車両コストを60%削減する」という戦略の具体的な成果としての意味合いがある。
わずか2年半という異例に短い開発期間のコストダウンに対する貢献は、そうとうに大きい。要はクルマづくりそのものに、大きな改革があったということだ。
なにより驚くべきは、「2万ユーロ未満」という価格設定だろう。11月初旬の為替レートでは日本円にして350万円ほど。コストパフォーマンスでしのぎを削る中国ブランドも真っ青なのではないだろうか。それでもけっして、同じ土俵に上がるわけではない。
結局は格好の話になるけれど、初代へのオマージュは圧倒的なバリューを持つ。純粋無垢なブランド力を備えながらのこのプライスタグは、ある意味、無敵と言えるのではないだろうか。BEVの台頭にうんざりしかけているICE派ですら、興味をそそられる可能性も大だ。
新型トゥインゴはむしろ、そういう意味でも「ゲームチェンジャー」になりうるかもしれない。欧州市場向けには2026年初頭を予定、日本への導入についても期待したい。
多彩なニーズに応えるための実用性にも妥協なし
新型トゥインゴは、初代の血統を継ぐ決意を、全身で表現している。
ワンボックス・シルエットをモダンに再解釈したプロポーション、「笑顔」のような表情を持つLEDシグネチャー、丸みを帯びたリアウィンドウや半月型のテールライトなど、愛され系のエキストラスキルが満載だ。性別も世代も、あるいは国を飛び越えて愛されそうな外観を形成している。
ボンネット上の3つの通気口のようなデザインディテールは、バッテリー残量を示すデジタルディスプレイを搭載する可能性が示唆されている。遊び心を反映したオリジナルフォントのバッヂまでもが、ひときわ強い個性的で魅せる。
全長は3.8m以下ながら、十二分なホイールベースのゆとりによって、非常に広い室内空間を備えている。全バージョン5ドアで独立したスライド式リアシート2席を備える。助手席の折りたたみ式バックレストなど、これまでにない多用途性を実現し、あらゆるニーズに対応するために最適化されているところも、新型トゥインゴの特徴と言えそうだ。
シティ派である以上、過度な速さや長距離性能は求めていない。電気モーターの最高出力は60kW、WLTP航続距離は最大で263kmほどになる。パフォーマンス的には、いろいろな意味で割り切った部分もありそうだ。
一方で、ADAS類の充実度はしっかり上位モデルに迫る。先進の運転支援システムと、Googleを内蔵したOpenR Linkマルチメディアシステムを、ルノー曰く「このセグメントで初めて」採用しているという。
ルノーブランドCEO ファブリス・カンボリブ氏のコメント
「2万ユーロ未満という価格で、欧州生産、脱炭素化の道筋、あるいは顧客価値に妥協することなく小型電気自動車を提供するという課題に応えるため、私たちは『トゥインゴの精神』、つまり日常、遊び心、創意工夫をデザインの中心に据えた精神に立ち返りました。今日、その新しい100%電気自動車の世代は、ルノーにとって最も重要なこと、すなわち欧州のドライバーの真のニーズ、彼らの習慣、そして手の届きやすさ、感情、責任に対する彼らの期待を理解することに忠実であり続けています。個人的に、私がトゥインゴ E-Tech electricで気に入っているのは、それがそのルーツへのオマージュであると同時に、未来への飛躍でもあるという点です。」
[ アルバム : ルノー トゥインゴ はオリジナルサイトでご覧ください ]
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350万はそうなのか?