7月の外国メーカー車 販売台数クイズ
text:Naojiro Onuki(大貫直次郎)
Q:ドイツ4強のうち、7月期の新規登録台数が前年同月比で唯一プラス、しかも10.4%の2ケタ増(5160台)、さらに7月単月で過去最高を達成したメルセデス・ベンツ。好調の主要因は?
A:競合ブランドを上回る新型車および特別仕様車の積極的な発売と、その好セールス。
新型車では6月発表のBクラスやGLE、4月発表のG350d、3月発表のE200/E300やA200dなどを、特別仕様車では6月発表のSLCファイナルエディションや5月発表のGLC 220d 4マティック・ローレウス・エディション、4月発表のメルセデスAMG G63エディション・マットブラックなどをリリースし、いずれも高い人気を獲得した。
今後もAクラス・セダンやEQCといった注目モデルの納車を控えているだけに、ブランド別首位の地位、さらに好成績を維持する可能性はかなり高そうだ。
7月の分析 外国メーカー車の新規登録台数 3カ月ぶりのプラス
日本自動車輸入組合(JAIA)がまとめた2019年7月期の外国メーカー車の新規登録台数は、前年同月比2.6%増の2万2433台と3カ月ぶりのプラスを記録する。一方、日本メーカー車含では同0.04%減の2万6883台と、5カ月連続で前年実績を下回った。
7月の輸入車市場の動きについてJAIA関係者は、「7月の外国メーカー車の新車販売は、ドイツ4強のうち3ブランドがマイナスに落ち込んだものの、メルセデス・ベンツの2ケタ増や中堅ブランドの健闘などもあって、前年同月比2.6%増の2万2433台と3カ月ぶりの前年実績超えを達成した。一方、日本メーカー車は新型車効果が薄れたこともあって同11.5%減の4450台と5カ月連続でのマイナスとなり、輸入車全体では同0.04%減の2万6883台と5カ月連続で前年実績を下回った。クルマとしてはSUVやディーゼル車、ハイブリッド車が依然として好調なのに加え、新型のメルセデス・ベンツBクラスやプジョー・シトロエン・ジャポンのCセグメント車などが販売台数を伸ばしている。価格帯別では、Cセグメント車の新車効果もあって400万円未満が復調。また、400万円以上1000万円未満のクラスも好成績をキープしている」と指摘する。
今後の見通しについては、「輸入車全体の受注状況は、堅調に推移している。また、夏から秋にかけて販売台数を上向かせそうな新型車や特別仕様車が各ブランドから精力的に発売される予定なので、これらがどれくらい販売台数を伸ばすかが今後の注目点になるだろう」と分析。
「一方、10月に実施予定の消費税アップに対する駆け込み需要は、現在のところ表面化していない。前回のアップ時(2014年4月)では、3カ月くらい前には販売台数が大きな伸びを示していただけに、これからの市場動向が気になるところ。とりあえず、各ブランドとも税率アップ前に新型車および特別仕様車の予約受注を行ったり、新しい販売キャンペーンを展開したりするなど、いろいろと対応策を実施しているようだ。半面、米中の貿易摩擦や世界的な景況感の悪化、株価および為替相場の乱高下などによって市場の消費マインドがどうなるかは不安要素」と示唆した。
7月の車名別インポートカー新規登録台数(1月からの累計台数順)
外国メーカー車の7月のブランド別成績では、前年同月比10.4%増の5160台、しかも7月単月で過去最高の新規登録を成し遂げたメルセデス・ベンツが53カ月連続での首位に輝く。続く第2位には、同3.7%減の3544台ながら1ランクアップを果たしたフォルクスワーゲンが位置。前月第2位のBMWは、同8.7%減の3425台で第3位にダウンした。また、第4位には同0.2%増で、7月単月で過去最高の1805台を記録したBMWミニが前月と同様にランクイン。ドイツ4強の一角のアウディは、同5.3%減の1424台と落ち込んで第5位(日本車メーカー込みで第6位)に甘んじた。
1位 メルセデス・ベンツ 5160台 (110.4%)
2位 フォルクスワーゲン 3544台 (96.3%)
3位 BMW 3425台 (91.3%)
4位 BMWミニ 1805台 (100.2%)
5位 トヨタ 1622台 (75.4%)
6位 アウディ 1424台 (94.7%)
7位 ボルボ 1295台 (99.0%:前年はボルボ・トラックを含む)
8位 ジープ 1080台 (127.7%)
9位 ホンダ 1145台 (88.9%)
10位 日産 839台 (90.3%)
11位 プジョー 1024台 (120.3%)
12位 ルノー 584台 (99.0%)
13位 ポルシェ 597台 (152.3%)
14位 フィアット 356台 (72.4%)
15位 スズキ 405台 (131.5%)
16位 ランドローバー 258台 (85.1%)
17位 シトロエン 380台 (115.9%)
18位 三菱 324台 (92.6%)
19位 ジャガー 199台 (164.5%)
20位 アバルト 176台 (108.6%)
トップ5以外の外国メーカー車のブランド別成績では、新型車および特別仕様車を積極的にリリースした中堅ブランドの好調ぶりが光った。ジープが前年同月比27.7%増(1080台)、プジョーが同20.3%増(1024台)、シトロエンが同15.9%増(380台)、ジャガーが同64.5%増(199台)、アバルトが同8.6%増(176台)、DSが同34.1%増(118台)、キャデラックが同51.4%増(53台)という好セールスを達成する。高級スポーツカーブランドも躍進し、ポルシェが同52.3%増(597台)、フェラーリが同1.1%増(96台)、ランボルギーニが同105.0%増(82台)、アストン マーティンが同16.7%増(21台)を記録。さらに、高級車ブランドのベントレーが同92.3%増(50台)、ロールス・ロイスが同66.7%増(15台)の好成績を成し遂げた。
一方、新型車効果が薄れた日本ブランドは苦戦中。プラスを記録したのはスズキ(前年同月比31.5%増の405台)のみで、トヨタ自動車は同24.6%減(1622台)、ホンダは同11.1%減(1145台)、日産自動車は同9.7%減(839台)、三菱自動車は同7.4%減(324台)と数字を落とす。ちなみに、マツダは115台の新規登録台数を記録しているが、これは5月に発売された「マツダ教習車」のベースモデルとなるタイ工場生産のマツダ2=デミオの4ドアセダンが日本に輸入されて達成したものだ。PDIを通過したマツダ2のセダンは、日本において教習車仕様に架装するという手順を踏んでいる。
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