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ポルシェ911 ターボS(2) T-ハイブリッドと四輪駆動が叶える格の違う速さ 長い歴史は揺るがず、確かな実力は一層の高みへ

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ポルシェ911 ターボS(2) T-ハイブリッドと四輪駆動が叶える格の違う速さ 長い歴史は揺るがず、確かな実力は一層の高みへ

実力を一層高めたジャイアントキラー

1990年代の993型や996型で、スーパーカーへ迫る性能を獲得した、ポルシェ911の「ターボ」。その頃から、格上を打ち負かすジャイアントキラーと呼ばれるようになった。T-ハイブリッドで711psを叶えた992.2のターボSは、その実力を一層高めている。

【画像】電力を得たジャイアントキラー『ポルシェ911 ターボS』とライバルの上級グランドツアラーたち 全179枚

AUTOCARの計測では、0-97km/h加速が2.6秒で、0-400mダッシュは10.5秒。気温の高い日だったが、圧巻のタイムだといって良い。現代のスーパーカーの多くが、ターボとハイブリッドを獲得し、劣らぬ速さを叶えていることも事実だが。

T-ハイブリッドではない992.1型の911 ターボSから、大幅にタイムを縮めたわけでもない。それでも、直接的なライバルといえるマクラーレン・アルトゥーラや、アストン マーティン・ヴァンテージSと比べれば、格違い的な速さにあることも間違いない。

電子制御の四輪駆動システムとローンチコントロールの効果で、トラクションは圧巻。ハイブリッドは滑らかにパワーを高め、ブーストが延々と昇圧するような感覚を生む。低域でのターボラグは皆無といえ、7400rpmのレッドラインへ豪快に上昇していく。

入力を巧みに吸収するしなやかな足回り

3.6L水平対向6気筒エンジンは、高負荷時なら期待通りの響き。低域では低くこもった音色ながら、電動ターボが奏でる「ヒュイーン」という高音は、ジェットエンジンのよう。より心を震わせるようなハーモニーなら、なお望ましい。

ちなみに、T-ハイブリッドによってスターターモーターは省かれ、気持ちを高ぶらせるクランキングは聞こえなくなった。アイドリング時から、鋭い走りを予感させるが。

911で操縦性を追求するドライバーなら、GT3へ強く惹かれるだろう。しかし、高速域での安定性やフィードバックの豊かさと引き換えに、ノイズは盛大で挙動はシャープで、乗り心地は硬い。日常性を加味すると、理想的な一択にはなりにくい。

PASMアダプティブダンパーが組まれるターボSは、うねりが続くようなアスファルトでも、しなやかに動く足回りが入力を巧みに吸収。911 GT3ならシートで上半身が揺さぶられ、ボディ底面をこするような区間でも、構えることなく疾走できる。

ダイレクトに向きを変えるフロントノーズ

この落ち着きを支える技術の1つが、シャシーをフラットに保つPDCC。カーブへ飛び込めば、印象的な敏捷さでラインを辿れるが、安定性も揺るがない。

ステアリングはGT3より軽く、手のひらへ伝わる情報量は若干薄い。精緻さや操舵時の没入感は、もう少し高められる可能性はある。だが、電子制御アンチロールバーが相乗し、90度ほど切り込めばダイレクトにフロントノーズは向きを変えていく。

姿勢制御は至って完璧で、そのアシストは、ドライバーが感知できないほど自然。引き換えとして、公道で許される速度域では、滑沢な挙動を楽しみにくいけれど。

アクセルオフでの旋回時に、リア寄りの重量バランスを意識することは殆どない。これは、四輪駆動の911が求めてきた特性といえ、ターボSの支持者を減らす要因にはならないだろう。ブレーキペダルの感触に、違和感も一切ない。

電子制御オフで自在に誘えるオーバーステア

サーキットで電子アシストをオフにすれば、アクセルペダルの加減でオーバーステアも自在に誘える。トルクベクタリング機能付きの四輪駆動システムは、ドリフトアングルを巧妙に維持し、加速時のスタビリティも担保してくれる。

深いアングルでのスライドも可能だが、711psもの大パワーをお構いなしに展開すれば、ピレリPゼロ Rの賞味期限はあっという間だろう。特にリアは。

英国価格は20万5245ポンド(約4413万円)からで、アルトゥーラやフェラーリ・アマルフィより高額。無数にあるオプションを選び始めると、さらに数万ポンド(数100万円)は増えるはず。リセールバリューが、相応に高いとしても。

畏敬の念を抱いてしまうほど高次元な完成度

911 GT3の見事な仕上がりによって、911 ターボの存在感は薄まったようにも思えるが、長い歴史は揺るがず、確かな実力は一層の高みに達した。出色の動的能力と日常との親和性を知るほど、その万能性へ言葉を失う。

日産GT-RやアウディR8など、普段使いできる四輪駆動のスーパーカーキラーの多くは生産を終えた。しかし、その元祖として今なお力強く輝き続けている。

クルマとの一体感や意思疎通の濃さは、傑出した速さと引き換えに、多少犠牲になっているかもしれない。それでも、畏敬の念を抱いてしまうほど、完成度は高次元にある。

◯:バッテリーEVと比較しても驚異的な加速力 懐が深く落ち着いた操縦性 季節を問わない実用性

△:かなりの高額 歴代最高ではないサウンド 一体感や没入感ではGT3に届かない

ポルシェ911 ターボS(992.2型/英国仕様)のスペック

英国価格:20万5245ポンド(約4413万円)

全長:4551mm

全幅:1900mm

全高:1305mm

最高速度:321km/h

0-100km/h加速:2.5秒

燃費:8.5-8.7km/L

CO2排出量:265g/km

車両重量:1725kg

パワートレイン:水平対向6気筒3591cc ツインターボチャージャー+電気モーター

使用燃料:ガソリン

最高出力:711ps/6500-7000rpm

最大トルク:81.4kg-m/2300-6000rpm

ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック/四輪駆動

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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