■機械が運転中であればスマートフォンの使用や読書、映画鑑賞も許される
自動運転の普及には技術開発はもとより法整備なども重要といわれています。自動運転中に起きた事故の責任の所在はもちろんですが、基本的に運転中にはハンドルを握っていなければいけないとされているなど技術レベルに対して法整備が追いついていないところもありました。もっとも、先日から話題になっているようにADAS(先進運転支援システム)にあたる自動運転レベル2であってもドライバーを監視するシステムを併用することでハンズオフ(手放し)運転が許可されるようにもなってきています(ハンズオフ機能は日産やBMWに採用予定)。
とはいえ、さらに上の自動運転レベル3においては、道路交通法(道交法)ではカバーできない領域になることも明らかでした。レベル3というのは、一定条件下において、人間は関わらなくてもクルマを動かせるレベルの自動運転テクノロジーです。前述したハンズオフ機能付きのレベル2では、ドライバーはシステムを監視する義務があります。ですから手放し運転をしているといっても、その目は周囲を見ている必要があります。しかし、レベル3では周辺監視を含めて、すべて機械任せにできますから、電話をしたり、本を読んだり、スマートフォンやカーAVの画面を注視したりといったことが許されるわけです。
そうした技術進化に合わせた改正道交法が、2019年5月28日の国会(衆院・本会議)にて可決したという報道がありました。このまま順調にいけば2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでにはレベル3の自動運転が公道で認められるようになるはずです。おそらく初期のレベル3は高速道路の渋滞時に限定した機能になるでしょうが、そうした時間を利用してメールやメッセージを送ることができるようになることが期待できます。
レベル3の自動運転というのは、すべて機械が運転操作を行なうわけですが、条件を外れるとドライバーが“すぐに”運転を引き継ぐ必要があります。そのためにはドライバーが居眠りをしないことも条件です。つまりカメラなどでドライバーを監視して注意喚起をするシステムが必須になります。すでにハンズオフ機能付きレベル2でもドライバー監視システムは必要となっているので、その点については大きな課題はないでしょう。むしろ、なんらかの作業をしているほうが居眠りしづらいでしょうから、レベル3の自動運転に任せているときにスマートフォンを使うなどしていることはドライバーの居眠り防止に効果的といえるかもしれません。
課題といえば、そうした合法的な「ながら運転」を、外からどのように判断するかという問題と、それが周囲に及ぼす影響です。「隣のクルマ(レベル3の自動運転で走行中)のドライバーがスマートフォンをイジっているから通報した」、「自動運転機能はついていないクルマだけれど同じように『ながら運転』をした」といったドライバーが出てくるかもしれませんし、また取り締まりを行なう警察に対して、レベル3の自動運転中であるのかを明示する仕組みも必要になるかもしれません。いずれにしても、自動運転が普及するまでの一過性の問題ではありますが、交通事故を減らすための技術進化が誤解を生むことによって交通事故が起きたのでは本末転倒です。レベル3の自動運転の普及に向けては、さまざまな啓蒙活動が必要といえるでしょう。
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
写真:アフロ
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