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なぜ今“MR2復活”が現実味を帯びるのか? 最終利益3兆円のトヨタが示す、ミッドシップ再挑戦の可能性

掲載 更新 65
なぜ今“MR2復活”が現実味を帯びるのか? 最終利益3兆円のトヨタが示す、ミッドシップ再挑戦の可能性

名車の苦難と再起への序曲

 国産のピュアスポーツカーは、古くから車好きにとってあこがれの存在だった。この種の車に厳密な決まりはない。伝統的な2ドアの走行特化型から、快適なグランドツアラー、実用車を鍛え上げたホットハッチまでその姿はさまざまだ。歴史をたどれば、1913年のイスパノ・スイザが世界初のスポーツカーと目されている。

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 日本での歩みを振り返ると、1960年代にホンダ・S500やトヨタ・2000GTが世に出て、1980年代には若者を中心に絶大な支持を集めた。しかし1990年代以降は、排出ガス規制や環境意識の高まりが壁となり、多くのモデルが姿を消していく。

 現在は新車の選択肢が限られる一方で、中古車市場ではAE86やスカイラインGT-R(BNR34)などの価格が跳ね上がった。いわゆる「25年ルール」による海外流出も重なり、かつての名車はもはや手の届かない存在になりつつある。

 昨今は環境への配慮が優先され、燃費や効率に優れたスポーツタイプ多目的車(SUV)などが普及したことで、スポーツカーは数を減らしてきた。特に2020年ごろからの電気自動車(EV)シフトは業界の景色を塗り替え、開発を続けられるメーカーはごくわずかだ。車が移動の道具として同じような形になっていくなか、あえてスポーツカーを揃えることはブランドの価値を守る経営判断といえる。

 こうした厳しい状況であっても、トヨタとホンダからミッドシップスポーツ開発の話題が出てきた事実は、市場に明るい兆しを感じさせる。

潤沢な資金と商標が示す勝機

 トヨタはハイブリッド車(HV)や水素自動車を優先する構えを見せつつ、走りの質を追い求める開発にも力を注いでいる。

 2026年3月期の連結決算に目を向けると、営業収益は50兆6849億円と過去最高を塗り替えた。営業利益は3兆7662億円、最終利益は3兆8480億円を守っている。続く2027年3月期も3兆円の最終利益を見込んでおり、こうした莫大な収益の積み重ねが、新しい挑戦を支える原資となる。2025年11月に出願された

「GR MR2」

という商標も、かつてのブランド力を引き継ぐ知財戦略の一環だろう。

 MR2は、かつて量産型のミッドシップ車として親しまれた名前だ。車体の中央にエンジンを置くこの方式は、重さのバランスに優れ、鋭い曲がりを実現する。ただ、特殊な骨組みが必要となるため、他社が容易に真似できない壁となってきた。現時点でこの仕組みを持つ国産車は存在しない。

 それでも、豊田章男会長の強い思いのもと、利益率の高い上質な市場を狙う動きがレース開発の現場からも聞こえてくる。市販化への期待は、今まさに高まっている。

実戦投入で磨く市販化の精度

 トヨタは世界ラリー選手権(WRC)の舞台に長く立ち続けており、現在はヤリスWRCがその役目を担っている。

 2025年に入ると、車体の中央にエンジンを置くミッドシップ方式の車両開発がにわかに現実味を帯び、10月には試作車である「TGRR GR Yaris M Concept」が走り始めた。GRヤリスを土台にしながらも、前方にあったエンジンを後ろの荷室部分へ移したこの車は、載せられた新型2.0Lターボエンジンの存在も相まって、これからの多くのモデルに広がる次世代ユニットとして関心を集めている。

 この試作車は、国内の「スーパー耐久シリーズ」岡山ラウンドに出向き、完走しただけでなくグループ総合3位という成績を収めた。トヨタ側が

「活動のゴールは市販化」

といい切っているように、これは形だけの制作ではない。売れる商品としての完成度を追い求めている。特有の動きや冷え方の難しさといった課題も、レースという厳しい現場で答えを探ることで、開発にかかる時間を縮めつつ、信頼性を確かなものにしている。

 かつてのMR2以来、こうした開発には長い空白があった。しかし実戦を重ねることで、積み上げてきた知見をさらに深めている。2026年のスーパー耐久開幕戦でクラス優勝を遂げた実績は、発売を前にして強力な武器になるはずだ。これからのスポーツカー市場を支える重みのある期待が、この歩みには詰まっているのだ。

上場来の赤字と再起のNSX

 ホンダには「NSX」という、ブランドを形作る大切な車がある。2代目まで国内外で高い評価を受け、2023年には北米のアキュラからEVスーパーカーの試作案が示されるなど、次を待ち望む声は根強い。国産スポーツカーのひとつの高みに達したその力は、今なお多くの人を惹きつけてやまない。

 だが、足元の経営状況に目を向けると、1957(昭和32)年の上場以来ともいえる苦境に立たされている。2026年3月期の連結決算では、本業の儲けを示す営業損益が4000億円規模の赤字に沈む見通しだ。1兆2134億円の黒字だった前期から一転したのは、北米でのEV需要の冷え込みにより、予定していた3車種の開発を止めたことが重くのしかかったためだろう。これにともなう損失は2兆5000億円に上り、最終的な純損益も最大6900億円の赤字を見込む。

 この巨額の損失を受け、今はHVを柱とした立て直しや中国市場の立て直しを急いでいる。NSXのように多くの資金を注ぎ込むモデルを続けるのは、今の状況では難しいかもしれない。それでも、かつて初代から2代目の間には10年の空白があった。新しい成長戦略が実を結び、収益が戻ったその先に、再びブランドの顔が戻ってくる余地は残されているはずだ。

 2025年に日産のGT-Rも生産を終えており、国内の各メーカーは今、自社を象徴する車をどう守り抜くかという問いに向き合っている。

謎の試作車が放つセリカの予感

 トヨタが経営の土台を崩さずにこれたのは、特定の技術に全振りせず、いくつもの道を探り続ける「マルチパスウェイ」があったからだ。

 激動の2025年度を乗り越え、開発の手を止めないだけの力が生まれた。その成果は、3月にポルトガルの地で行われた2027年向けのテスト走行で、すでに形になっている。そこで披露されたのは、GRヤリスとは異なる2ドアクーペの新型車。それは戦うための道具であると同時に、市販化までを見通した佇まいを見せていた。

 名前を巡っては、「セリカ」や「MR2」の復活を期待する声が後を絶たない。優れた中身を保ちつつ、外側の包みを変えて使いわけるやり方は、開発にかかるお金を抑えながら、かつての名車を再び世に送り出すための理にかなった進め方といえる。

 これまでのハッチバック形状では難しかったミッドシップ4WDの仕組みも、この新しい姿であれば現実味を帯びてくる。目まぐるしく変わる世の中で、選べる道をいくつも残してきた判断が、これからの市場で一歩先を行くための大きな力になるだろう。(鳳つくも(自動車ライター))

文:Merkmal 鳳つくも(自動車ライター)
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みんなのコメント

65件
  • shi********
    復活してほしいのは「若者でも頑張れば買えるスポーティーカー」であり、同じ名前の手の届かないハイパフォーマンスカーじゃないんだよなぁ
  • tma********
    そもそも「セリカ」復活か?というニュースが流れてきたとき、「GRセリカ」はミッドシップの4WDターボらしいと噂されていた。
    私としては、ミッドシップで2シーターならそれはセリカじゃなく「GRMR2」とすべきでしょうと思っていましたけどね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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