軍艦に搭載するためのレーザー兵器
シンガポールで2025年5月に開催されたIMDEX(国際海軍防衛展示会)において、イスラエルの防衛企業ラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズ社が艦載型のレーザー兵器「ネイバル・アイアンビーム」を出展しました。これは同社が開発した地上設置型のレーザー防空システム「アイアンビーム」を、軍艦に搭載できるように改良したモデルです。
【画像】まるで「ラピュタのロボット兵」みたいなレーザーの照射部
原型の「アイアンビーム」は、ドローンやミサイル、ロケット弾などをレーザーで撃墜することができます。弾薬を必要とせず、電力さえ供給されていれば継続的に運用できるため、装置に故障がない限り24時間体制で運用することが可能です。
最大出力は150キロワット、有効射程はおよそ10kmとされ、ドローンだけでなく、軍用のロケット弾やミサイルの迎撃にも対応できます。艦艇搭載を前提としているため、全体的にコンパクトな構成となっており、レーザー照射器、電源、冷却ユニットを含めたシステム全体が、20フィートコンテナ(長さ5.8m×幅2.3m×高さ2.3m)に収まるサイズにまとめられています。イスラエル海軍は、このシステムの最初の搭載艦として比較的小さい排水量1900トンのマゲン級コルベットを計画しています。
「アイアンビーム」のようなレーザー兵器について、多くの人はSF作品に出てくるレーザー砲のようなイメージを抱くのではないでしょうか。光の束が砲弾や弾丸のように飛び交い、命中すると爆発して目標を破壊する。しかし、現実のレーザー兵器が目標を破壊する行程は、従来の物理兵器とは異なります。
射撃でなく照射 レーザー兵器のしくみ
レーザー兵器による攻撃は、射撃というよりも照射という表現が的確です。レーザー光は一瞬の照射では目標にダメージを与えることはできず、迎撃するには一定時間、照射し続ける必要があります。それは「アイアンビーム」も同様で、目標を破壊するには数秒から10秒程度の照射が必要です。
また、レーザー照射は対象物全体を破壊するのではなく、部分的な破壊や機能不全を起こすことでそれを無効化(ニュートラライズ)するのが目的になります。ラファエル社の担当者も「UAV(無人機)であれば翼、マルチコプターであればプロペラを破壊すれば墜落します。ミサイルであれば先端のシーカーを破壊すれば追尾能力を失って目標に命中しなくなります」と説明していました。
ただ、レーザー兵器は低コストかつ電力さえ供給できれば無尽蔵に使えるという利点がある一方、従来の対空砲やミサイルと比べると即応性や確実性に劣る部分も多々あるようです。たとえば、ミサイルが得意とする複数目標への同時対処も、レーザー兵器の場合は照射という形で迎撃するため不可能です。
メーカー担当者いわく「レーザー発射機は同時に複数の脅威に対応することができません。1つのレーザー照射機が1度に対応できるのは、ひとつの脅威だけです」とのことでした。
また、レーザー兵器は大気の影響を非常に受けやすいのも欠点に挙げられます。それこそ、空気中の水分や煙などでレーザーが減衰・屈折するため、そういった点で従来のミサイルや砲より劣っています。射程やレーザーの照射時間は大気の状態で変化し、雨や霧がある場合は使用自体が大きく制限されることでしょう。
つまり、レーザー兵器はイメージとは裏腹にデメリットも多く、従来のミサイルや対空砲に変わる夢の防空兵器にはならないのです。
レーザーの利点はやはりコスト?
レーザー兵器の一番の利点は、1回の射撃に掛かるコストが圧倒的に安いことです。ラファエル社の担当者によると、「ネイバル・アイアンビーム」の1回の使用に掛かるコストはたったの10セント(約14円)だといいます。
艦対空ミサイルの場合、日本の海上自衛隊も採用しているRIM-162 ESSMが1発100万ドル(約1億4300万円)、イージス艦に使われているSM-2で1発210万ドル(約3億円)、最新鋭のSM-6はなんと1発430万ドル(約6億1400万円)にもなります。
アメリカ海軍は紅海・アデン湾でのフーシ派の攻撃に対し、1機1000ドル(約14万円)のドローンを迎撃するために高価なミサイルをたびたび使っており、圧倒的な費用対効果の悪さが問題となっています。
また、ドローン兵器が大量生産できるのに対して、ミサイルは複数のサプライチェーンを経て生産される複雑な精密機器であるため、撃ち合いになった場合はミサイルの方が弾薬切れになるリスクが高く、もっというと軍が保有する在庫弾薬のストック切れという問題も顕在化しています。今後も民生ドローンをベースにした安価な無人兵器が戦場で多用されることを考えれば、コストの観点からレーザー兵器は重要な防空兵器のひとつとなるでしょう。
ラファエル社では、これら長所と短所を認識しており、「ネイバル・アイアンビーム」を単独で運用するのではなく、従来のミサイルや対空砲と統合した多層防空システムの一部として活用するべきだと説明していました。
とうぜん同社も、ミサイル防空システム「C-Dome(アイアンドームの艦載型)」と組み合わせることで、低コストと実効性を両立した艦載防空システムをしっかり提案していました。(布留川 司(ルポライター・カメラマン))
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