2021年のトタルエナジーズ・スパ24時間レース・シルバーカップを制した、スペインのバルセロナを拠点とするマッドパンダ・モータースポーツ。そのチーム代表兼ドライバーであるエゼキエル・ペレス・コンパンクによれば、同チームは来季、2台のGT3車両をオペレーションするための「たくさんのアイデア」があるという。
アルゼンチン籍のコンパンクが創設したマッドパンダ・モータースポーツは2020年の参戦開始以来、SROの統括するファナテックGTワールド・チャレンジ・ヨーロッパ・パワード・バイAWSに1台のメルセデスAMG GT3を送り込んできた。
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2022年、マッドパンダは2台へと体制を拡張し、GTWCヨーロッパに加えてADAC GTマスターズへの参戦も検討している。
チームはまた、若手ドライバーの育成も望んでおり、TCRヨーロッパで活躍するフランコ・ジロラミを含めた将来のドライバー候補を評価するため、オフシーズンには一連のテストを計画している。
「現時点でのアイデアとしては、2台体制にすることだ」とコンパンクはSportscar365に対し語っている。
「(参戦車両の)ブランドはまだ確約していない。メルセデスになりそうではあるが、他の可能性に対しても僕らはオープンだ」
「僕らは、10月にジュニア・テストを実施している。他のシリーズでの経験があり、可能性と才能を持つドライバーには興味がある。彼らをテストし、シートを与えられるかどうかを確かめたい」
「僕らには来年、いくつかの変化の計画と、たくさんのアイデアがある」
「チーム全員が、これまでに残してきたリザルトの一部であると感じているし、ともに成長してきている。僕らは多くのブレーンストーミングを行い、たくさんのアイデアを試す。大勢の人々が非常にうまく機能しているし、来年はさらにトップレベルへと近づけると予想している」
■AMGの見解を裏切る“驚速エンジン交換”をこなしたスタッフへの信頼
2台体制への拡張はチームの組織構造の変更を伴うものだが、過去2シーズンにわたって構築してきてたチームは、追加される役割に向けシャッフルするのに適した状態にあると、コンパンクは説明している。
マッドパンダはGT3プログラムのメンテナンスベースを、QEVテクノロジーズの施設内に置いている。したがって、2台体制へと拡張するにしても、それほど多くの追加のインフラを必要とはしない。
「2台とする際の利点は、コストの面にある」とコンパンク。
「構造的に、すべてを2倍にする必要もない。メカニックについては、彼らの働きには僕はとても満足している」
「彼らを2台に分けて配置することは、じつに簡単なことだ。現在、僕らのメカニックの中には、簡単にチーフメカとなれる人物が4人いる。彼らは本当に信頼できるスタッフだ」
「モンツァで、記録的な速さでエンジン交換を行ったとき、彼らはそれを示してくれた。予選でエンジンが壊れ、レースまで4時間。メルセデスAMGからは『サーキットでのエンジン交換はトップチームでも5時間半を要する。ノーチャンスだ』と言われたが、僕らのメカニックは3時間半で交換を行った」
「クルーとエンジニアをどのように分割するかはすでに分かっているから、2台目を導入できることは本当にハッピーだ」
「アカデミーから、多くのエンジニアが僕らのところへ来ている。彼らは過去2年間で大きく成長したので、次のステップへと進む準備ができている」
チームはADAC GTマスターズへの参戦を最終決定していないが、参戦するとなればマッドパンダにとっては新たな挑戦となる。
GTWCヨーロッパのエントリーについては、引き続きシルバーカップとなることをコンパンクは示唆しているが、これはSROが新たなドライバー・レーティング要件を発表する前の発言だった。SROの発表内容によれば、現在の若手シルバードライバーは、ゴールド・ステータスへとアップグレードされることとなる。
「僕らは、1台体制でADAC GTマスターズに参戦することも検討している」とコンパンク。
「この計画は、まだ固まっていない。どのチャンピオンシップに参戦するかという観点においては、僕らが行き先を決めるのにはまだ数ヶ月の時間がある。まだ何も決定していない」
「素晴らしいことに、SRO(GTWCヨーロッパ)とGTマスターズのカレンダー間には、日程の重複がない。僕にとっては、これは現在世界で最高のスプリント競技であり、そこには最高のチームと最高のドライバーがいる」
「僕らは、そこで自分たち自身を証明したいと思っている。本当に興味深いリザルトが得られると思うので、その可能性があるのなら、やらない手はない」
この2022年に向けた拡張計画のなかで、組織のマネジメントに集中するため、コンパンクはドライバーの役割を辞めることを考えているという。
「2台体制となると、求められることはより厳しくなる。また、GTマスターズをやることになれば、ヨーロッパ中を飛び回ることになる。そうなれば、僕は運転することができなくなる」
「自分の競争力も維持したいが、チームをマネジメントするという仕事によってドライビングが妥協を強いられるようであれば、ドライバーは辞める」
「チームとしては、レースごとに改善を果たしてきた。毎週末、素晴らしいパッケージを持ち込むことができた。年間の成績としては、今年は能力を証明できなかったが、スパではそれを証明することができた」
「来年も成長を続け、多くを得たい。まだ、トップにはたどり着いていないからね」
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