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「こんなもんじゃ足りない」「5km/hくらい遅く」「トラフィックが酷くて」【SF Mix Voices 富士テスト(1)】

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「こんなもんじゃ足りない」「5km/hくらい遅く」「トラフィックが酷くて」【SF Mix Voices 富士テスト(1)】

 7月7日、富士スピードウェイにて行われたスーパーフォーミュラ公式テスト。1日目は、セッション1/2ともに牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がトップタイムを記録した。ここでは初日の走行終了後に行われた取材セッション”ミックスゾーン”に参加したドライバーたちの声をお届けする。

■小林可夢偉(Kids com Team KCMG)
セッション1=20番手/セッション2=19番手

周到な準備が奏功した山下。ひたすらディテールに終始できた牧野。初日トップ2に滲む自信/SF富士テスト

 1日目は総合19番手で終えた可夢偉。この日は一度も赤旗中断がなく順調にセッションが進んだこともあり、トータルで70周を超える車両も多数いたなか、可夢偉は全体で2番目に少ない51周にとどまった。午前中のセッション1からストレートスピードが思うように上がらない症状に悩まされていたという。

「何をしても真っ直ぐのスピードが遅くて、いろいろと試してみました。コンピューター側の問題など改善の余地を探って、ひとつずつ変えながらやっていきました」と可夢偉。

 原因として考えられるものをひとつずつ変えながら症状改善を図ったが、良くなる兆しはなかった。セッション1終了後にはセーフティカー(SC)訓練の時間もあったが「それどころじゃなかった」と、SC訓練に参加せずピット内で原因究明にあたった。

「(福住)仁嶺とウイングポジション(角度)が一緒なんですけど、それでも5km/hくらい遅くて……原因が分からないです」

 実際にトップスピードのデータを見ると、セッション1で可夢偉が293.478km/hだったのに対し、チームメイトの福住仁嶺が298.343km/h。セッション2(最初30分だけオーバーテイク・システム試用可)も可夢偉が300.836km/hで、福住が304.225km/hと、約4~5km/hほどの差が出ていた。

「午後になって原因が分かったので、最初は良くなったなと思ったんですけど、最後にまた悪くなりました。これを直して明日のテストに臨みたいと思います」と、いつになく困った表情を見せていた。

■岩佐歩夢(TEAM MUGEN)
セッション1=13番手/セッション2=4番手

 現在ドライバーズランキング2位につけている岩佐。第3戦SUGOが終わってからは日本を離れ、レッドブルF1のファクトリーでレースウィーク中のシミュレーターサポートを担当し、今回のテストに向けて日本に戻ってきた。

「コース習熟は(セッション1の)最初にプッシュ・クールを繰り返して3回プッシュしたので全然問題はなかったです」と岩佐。

「午前に関しては、ラップタイムを狙いに行くというよりも、いろいろなアイテムのテストがあったので、リザルトは気にせずに走りました。午後に関しては次戦を見据えたテストに入っていって、パフォーマンスもそうですし、ラップタイムも参考にしながら進めていきました」

 最終的に、トップから0.4秒差の1分23秒552を記録して総合4番手で初日を終えた岩佐だが、この結果に対しては楽観視している雰囲気はなかった。

「正直、良いとも悪いとも言えない結果かなと思っています。順位的には悪くないですが、やはりトップとの差はありますし、ここから自分たちに何ができるのか、というところもあります。今(セッションが)終わったばかりなので分析中ですけど、もう1ステップか2ステップくらいは踏んでいかないと、次戦に向けて余裕は作れないかなと思っています」

■阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)
セッション1=7番手/セッション2=5番手

 第3戦SUGOでのクラッシュの影響でモノコックを開幕戦のものへと交換した阪口。セッション1では7番手、セッション2では5番手と、モノコック変更の影響を感じさせないタイムを残した。

「モノコックが変わり、走り出しでどんな動きをするのかちょっとドキドキしていたのですが、最近の動きと全然変わらなくて、同じような感じで走れたので、まずそこが一番良かったですね」と阪口。

「ちょっとレースでは大きく振れないようなところを振ることができて、『やっぱりここまで行ったら駄目なんだ』みたいなところを確認できたので、そこは良かったと思います。ただ、どちらかというとネガティブな要素をつぶしたみたいな日になったな、という気はしますね」

 厳しい暑さになった初日のコンディションについて、高い路面温度によるタイヤへの影響などに関しては、「タイヤの熱の入りが今までのタイヤより全然早く入ってるので、その分熱ダレももちろん懸念されるところではあるんですけど、そのなかで速く走らなければならないというところで、(初日は)ロングを走っていないので、影響の度合いは見切れてはないというのが正直なところですね」と述べた。

 そのロングランに関しては、テスト2日目に重点的に取り組む課題のようだ。

「明日は時間がしっかり作れれば、(ロングランを)やりたいと思っています。今日はやり残しなく(メニューを)全消化したのですが、このあとにチームと話してそれぞれ試したいアイテムが出てきそうなんで、それはショートランで試して、ロングにつなげたいなと思っています」

「時間は有意義に使えていますけど、僕らだけにテストの時間が与えられたわけではなく、みんなにも与えられてるから、人より速く・多く進歩していかなければいけない。こんなもんじゃ足りない、と思ってるので、もうちょっと厳しくみていきたいなと思います」と阪口はテスト2日目に向けての展望を語った。

■大津弘樹(TGM GrandPrix)
セッション1=16番手/セッション2=15番手

 今回、TGM GrandPrixの55号車から公式テスト1日目に参加した大津。ここ数戦苦労していた55号車のパフォーマンスアップというところがメインのテーマとなったなか、2セッション合計で66周を走破。1分24秒173で総合15番手タイムとなった。

「昨年改善したところを事前にエンジニアと確認して、いろいろなパターンをテストしながら進めていきました」と大津。

「午前の終わり頃に課題がいろいろと見つかって、午後に向けて大幅に変えていきました。かなり良くなったのかなと思いますし、クルマのパフォーマンスとしてもだいぶ改善したと思います」

「ただ、最後の僕のアタックは、アウト→プッシュ(計測1周目)で走ったことで、タイヤがうまくウォームアップしなくてタイムが出ませんでしたけど、クルマのパフォーマンスとしては上がったのかなと思います」と、パフォーマンス向上という点では進歩を感じ取っていた様子だ。

 序盤3戦は松下信治が55号車をドライブしていたが、とくに第2戦オートポリスと第3戦SUGOではグリップ不足に悩まされていた。

 そこに関しては「僕が昨年乗った53号車のバランスとの比較というところから始まりましたけど、今年レギュレーションが変わっていたのでそこの変化量も含めると、走り出しの状態としては昨年とはあまり変わらない感じでした」と大津。

「バランスというか、もっと根本的なところで良くしたいということでいろいろ試して、そこはかなり改善したと思いますけど、(上位とは)差はまだ感じているところはあります」と手応えは感じつつも、課題も残っている様子だった。

■笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)
セッション1=15番手/セッション2=16番手

 午前15番手、午後16番手に終わった笹原。しかし、テスト初日を終えて見せた表情は、決してネガティブなものではなかった。

 セッション2の最終盤に試みたアタックでは、第3セクターのトラフィックの影響があったという。

「最後はトラフィックがちょっと酷くて、タイヤを温め切れずアタック自体も全然うまくいきませんでした。タイム自体はすごい下にいますけど、ちゃんと(データを)ピックアップしていくと、まとめたらだいたいシングル(1~9番手)ぐらいにはいるのかなという印象はありますので、(順位という)額面だけで受け取る必要性はないかなと思います」

 セッション1は38周、セッション2は36周、合計74周と周回を順調に重ねたことに関しては、「(必要なタスクを)やり切れたかというと、全部はやり切れてはいないですけど、自分たちが見たい傾向だったり、いろんなセットアップアイテムをひと通り評価していくことを、重点的にこなしていました」と振り返っている。

 朝から強い日差しが照りつけ、午後には路面温度が50度を超えるほどのコンディションになったことについて尋ねられると、「絶対的にオーバーヒートはしやすいし、1周のグリップを利用してのタイムは出しやすいと思いますけど、本当にこの状況下でレースとなった時には、リヤタイヤ周りは結構キツくなるだろうなという印象はあります」と高温下でのレースに向けた懸念を語った。

 さまざまな課題を感じるなか、笹原本人は2週間後に迫ったレースの“予選”に焦点を当てている。

「僕はどちらかというと、レースよりは予選の方、1周(のタイム)をもっとバチッと出せるようにしたいなと思っています。レースはそれなりにはいけそうかなとは思っているので、そんなに心配はしていません。どちらかというと予選の方にターゲットを置きたいと思っていますね」

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