この記事をまとめると
■1987年登場のAE92型レビン/トレノは歴代最多販売台数を記録した
「意外と遅い」「レビンのほうが人気」「色は赤黒」! いま「神車」扱いの「AE86」の当時をリアタイ世代が語る
■新設計シャシーや高性能4A-G系エンジンを採用し扱いやすさと走行性能を両立
■デートカーブームも追い風となり多くの若者に支持された
じつはシリーズ最大のヒット作
近年、プリウス、アルファード、ランクルといった超人気車ばかりが注目されているトヨタ自動車だが、日本のモータリゼーションの幕開けといわれた1966年に発売されて以降、我が国のモータリゼーションを牽引してきたのが、世界中で販売されているカローラシリーズだった。
そのカローラシリーズでとくに有名なのが、AE86レビン/トレノだ。1983年に発売され、FRの駆動方式と1.6リッターNAエンジンを組み合わせ、軽量なFRモデルとしてドリフト界の王者となり、モータースポーツでも大活躍。ドリキンこと土屋圭市さんも「ドリフトを極められたのはAE86のおかげ」と公言しているほどだ。
さらに、1995年に連載が開始された漫画「頭文字D」の主人公である藤原拓海が3ドアトレノに乗っていたことで、それまで新車の販売台数ではレビンの人気が圧倒的だったのだが、トレノの人気が急上昇。以来、中古車にプレミアム価格が付いた経緯がある。現在でもクルマ好き、日本車好きのインバウンド需要で盛り上がり、AE86のレンタカーが箱根でブンブン走っているのを見かけることがあるのだから、AE86の伝説はいまも健在なのである。
そして、1987年に5代目、AE92となる、ライトウェイトスポーツクーペのカローラレビン、エレガントなスポーティクーペのスプリンタートレノがフルモデルチェンジして登場。最大のトピックは駆動方式をFRからFFに変更したことと、ボディを2ドアのノッチバッククーペのみに集約したことだった。
ヘッドライトはレビンが固定式、トレノはリトラクタブル式を採用した。ボディサイズは全長4255×全幅1665~1680mm×全高1300mm、ホイールベース2430mm。車重は930~1070kgと軽量であった。
エンジンはハイメカツインカムの4A-GE型1.6リッター DOHC16バルブNA、120馬力/14.5kg-m(AE86では130馬力/15.2kg-m)と、同じく1.6リッターエンジンにスーパーチャージャーを組み合わせた145馬力版が用意されていた。
4A-GZE型と呼ばれるスーパーチャージャー版は、1989年5月にハイオクガソリン仕様としてさらなるパワーアップが図られ、当時のホンダ・インテグラXSi、三菱ランサーターボGSRの160馬力を凌ぐクラス最高の165馬力を達成。サスペンションは四輪ストラットの独立懸架をAE86から受け継ぎつつ全面的に新設計。電子制御サスペンションのTEMSをGTアペックスに標準採用、GTにオプション設定としている。
その走りは新たなシャシーによってコントロール性に優れ、AE86よりも素直で扱いやすい、そして速さでも申し分ないものだったと、1983年ごろから自動車専門誌の編集者として活動してきたボクは記憶している。
若者のスポーツクーペとして支持された
それにしても、AE92カローラレビン/スプリンタートレノはいま見てもスタイリッシュだ。直線を生かしたスタイリングは、トレノが初代スープラを思わせ、レビンは2代目ソアラを彷彿させる、この時代に誰もが好む2ドアクーペデザインに仕立てられている。
バブル景気もあり、レビン/トレノは、AE86の信者は別にして、多くの若者に手に入りやすいFFスポーツモデル・デートカーとして支持されることになる。そう、FFスポーツというジャンルを世に知らせしめた1台であり、デートカーブームの追い風を受けたことからも、レビン/トレノ史上、もっとも売れたのがこのAE92だったのだ。
つまり、マニアックともいえるFRのAE86より、ソアラやスープラに手の届かないより多くの若者に親しみやすい存在、ミニソアラ・ミニスープラとして、財布の軽い若者のマイカーブーム(いまでは死語だが)を加速させ、扱いやすさとともに軽快な走りでクルマを所有する喜びを味わい、満足させてくれることになったのである。
もちろん、ミニソアラ、ミニスープラというキャラクターのおかげで、駆動方式など気にしない若者たちのデートカーとしても一世風靡。FR信者にはソッポを向かれたかもしれないが、カローラシリーズの名車であったことは間違いない。そして1991年にAE101型、6代目カローラレビン、スプリンタートレノへと引き継がれることになるが、車重は増加。走りの軽快感ではAE92に譲ることになる。
1987年発売当時の価格はカローラレビン1600GTが141万2000円(東京地区)、1600GT-Z が183万8000円(東京地区)、スプリンタートレノ1600GT が143万4000円(東京地区)、1600GT-Zが185万円(名古屋地区)であった。レビンとトレノのミッションは基本的に5速MTである。レビンは英語で「稲妻」、トレノはスペイン語の「雷鳴」の意味である。
なお、最大39年前のクルマだけに、良質な中古車は国内にほぼ存在しない(あっても修復歴アリの車両が多数)。AE92型カローラレビン、スプリンタートレノに興味があっても、想いを馳せるだけに留めておきたい。ミニカーなら新車が手に入ります!!
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