父とMG TDとの偶然の出会い
初代マツダMX-5(ロードスター)が、ロータス・エラン・タイプ26と似ていることは、AUTOCARの読者ならご存知かもしれない。だがアメリカ東海岸出身で、その生みの親の1人といえるボブ・ホール氏は、異なる影響の方が大きかったと振り返る。
【画像】マツダMX-5(ロードスター)へ影響を与えた英国スポーツたち 現行の4代目も 全117枚
第二次大戦中に英国へ赴任していた父の存在が、その原点にある。彼は、コード・スポーツマンと呼ばれるロードスターをグレートブリテン島へ運び楽しんだが、2.0Lエンジンを積んだアルタ社のスポーツカーと交換。任務後、アメリカへ持ち帰った。
その後、ボブが誕生。クルマは、部品の入手が難しいことを理由に、モーリス・マイナー・ツアラーになった。ある日、信号待ちしていると、「クルマを交換しない?」と隣へ並んだ男が声をかけてきたという。MG TDを手放すよう、妻に迫られていたとか。
この2シーターのTDは、ホール一家に英国製オープンスポーツの魅力を気付かせた。偶然の出会いが、マツダ・ロードスターのアイデアへ発展していった。
MGAがスポーツカーに対する考えの基盤
数年後、父はトライアンフTR2を購入し、さらにオースチン・ヒーレー100へ入れ替え。どちらもリアシートを追加し、ファミリーカーにしたという。ボブは幼い頃から、実用性が高くないスポーツカーでも普段使い可能だと、情操教育を受けたといえる。
ホール一家のクルマは、オースチン・ヒーレー3000へ。ボブは、このクルマで運転を学び、免許も取得した。初めての自分のクルマ選びで試乗したのは、MGA ツインカム。この比較が、スポーツカーに対する考えの基盤になったという。
「父は3000を、目抜き通りを流すようなブルバードカーだと表現していました。反対に、MGAは小型・軽量で運転が楽しかった。エンジンの吹け上がりは、ドライバーの熱意に負けないくらい積極的でした」。ボブが振り返る。
アルミ製シリンダーヘッドを載せたツインカムユニットの獲得で、MGAは走りを豹変させたといっていい。それ以前のMGA 1600から最高出力は35%増しの109psになり、遥かにエネルギッシュになっていた。
即時的なレスポンス 意欲的なサウンド
今回ご登場願った、アイボリーのMGA ツインカムはコリン・マンリー氏の1959年式。アクセルレスポンスは即時的で、サウンドは意欲的。サスペンションは柔らかく、カーブでのボディロールは小さくないが、バランスに優れ安定性は高い。
性能自体は驚くほどではないものの、チアリーダーのように気持ちを鼓舞し、右足へ力を込めたくなる。それでいて、急に手のひらを返されることはない。常に楽しい。
ところが、ボブは購入に至らなかった。数日ほど別のクルマ、ファセル・ベガ・ファセリアへ興味を示している間に、他人が契約してしまったとか。「見た目へ釣られて、チャンスを奪われるのは最後にしようと、自分に誓いましたね」。彼が微笑む。
諦めて選んだのはダットサン510、3代目の日産ブルーバード。既に日本車は、信頼性で定評を築いていたが、英国のMGAは対局といえた。「アルファ・ロメオの信頼性を高く見せるようなクルマだと、その頃は冗談をいっていましたよ」
ファミリアやルーチェ、RX-7の技術を流用
ボブが続ける。「その出来事が、ミアータ(ロードスター)になるクルマを考え始めたきっかけですね」。510を購入してから10年後、自動車ジャーナリストとして働いていた彼は、マツダの技術者、山本健一氏と温めていたアイデアを共有したという。
2年後の1981年、彼はマツダが新設したカリフォルニアのデザインセンターへ登用。サルーンとピックアップトラックの業務の他に、後にロードスターとなる、FRスポーツカーのコンセプト開発も託された。
進展はゆっくりだったが、1984年にグレートブリテン島南部、ウェスト・サセックス州のインターナショナル・オートモーティブ・デザイン社へ、試作車の製作が発注される。当時のマツダ323(ファミリア)や929(ルーチェ)、RX-7の技術を流用して。
ちなみに同時期、マツダはFFとミドシップのツーシーター・スポーツの開発にも取り組んでいた。前者はMX-3(ユーノス・プレッソ)として量産化。後者はトヨタが一足先にMR-2を発売し、中止へ追い込まれている。
エラン・タイプ26の走行音を収録
FRのスポーツカーは、設計が本格化。マツダの開発主査だった平井敏彦氏は、理想的なサウンドをボブへ電話で確かめた。そこで彼が準備したのが、TVドラマシリーズ「アベンジャーズ」へ登場する、エラン・タイプ26の走行音を収録したテープだった。
「(女優のダイアナ・リッグ氏が演じた)エマ・ピールが運転するシーンで、BGMがないものを録音しました。シフトアップやシフトダウンなど、すべてのノイズを」
この続きは、マツダMX-5(ロードスター)誕生秘話(2)にて。
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