生涯の伴侶といいたくなるオープンカー
1度乗れば理解できると思うが、オープンカーの運転に勝る体験は、そう得られるものではない。ルーフを後方へたたみ、外界に反響する排気音を耳で楽しみながら、心地よい風を全身で浴びる。生涯の伴侶とでもいいたくなる、存在ではないだろうか。
【画像】マツダ・ロードスターからフィアットX1/9まで UK編集部が選ぶお値打ちオープンカー12台 全86枚
優雅なジャガーEタイプやフェラーリ250カリフォルニアは、確かに高嶺の花ではある。しかし、貯金の一部でなんとかなりそうな、6000ポンド(約129万円)で迎え入れられるモデルが、英国には少なからず流通している。
今回選出した12台の条件は、その価格帯のオープンカーでありつつ「2シーター」で「実際に常用できる状態」にあること。読者は、どの1台へ最も共感するだろう?
現在のベストバイな3代目「マツダ・ロードスター」
筆者は、3代目マツダ・ロードスター(MX-5)に特別な思い入れがある。5年間、13万km近くに渡って、普段の足にした過去があるから。自分は後期型へ乗っていたが、2009年までの前期型が今回の設定予算、6000ポンド(約129万円)以下に合致する。
ロードスターの純粋な魅力へ惹かれているなら、より軽量な初代や2代目の方が楽しいのでは? と疑問を抱くかもしれない。だが3代目は少なくない改良を受けており、価格を踏まえれば歴代で現在のベストバイだと思う。
スタイリングは担当したのはモレイ・カラム氏で、全長は20mm、全幅は40mm大きくなりつつ、車重の増加は10kgに留められた。当時のAUTOCARは、1086kgを計測している。ボディのねじり剛性は47%増え、キャビンにはゆとりが生まれていた。
スタビライザー付きのサスペンションは、前がダブルウィッシュボーン。後ろは、当時のRX-8を彷彿とさせる、マルチリンクを得ていた。
見逃せない普段使いとの親和性
エンジンはアルミ製のDOHCで、1.8Lか2.0Lの2択。後者は160psと19.1kg-mを発揮し、リミテッドスリップ・デフが標準で、その頃の試乗テストでは0-97km/h加速を7.1秒でこなした。最高速度は、209km/hを記録している。
MTは5速が標準ながら、スポーツ・グレードでは6速。ビルシュタイン・ダンパーとスポーツ・スプリング、17インチ・ホイールが組まれ、ストラットブレースも備わった。
スポーティなだけでなく、普段使いとの親和性も見逃せない。人間工学が見直され、従来より自然な運転姿勢を取れ、ヒーター付きレザーシートを指定できた。スタビリティ/トラクション・コントロールやボーズ社製オーディオなど、充実装備も魅力だった。
走り味はドイツ車のようにソリッド
今回の車両は、ジョン・ガン氏がオーナー。特別な休暇のクルマとして5年ほど所有しており、走行距離は13万3000kmを超えているが、彼が伸ばしたのは1万km弱らしい。毎年の点検整備と、リアタイヤの交換だけで、調子は保てているそうだ。
テストコースを流せば、印象には新車時のような締まりがある。6速MTは素早く操れ、アクセルレスポンスは鋭く線形的。低域からトルクが太く、市街地では4000rpm以下で充分だろう。だが5000rpm以上へ回せば、秘めた能力を引き出せる。
パワステは油圧式で、初代級の精緻な操舵感ではないとしても、重み付けや感触は好ましい。トレッドが広がったことで、小柄なFRモデルでありながら安定性は驚くほど。ブレーキを引きずりながらカーブへ飛び込んでも、グリップし続けバランスを崩さない。
ソフトトップを手で閉めるのに、必要なのは6秒だけ。スポーツ・グレードの乗り心地は硬めだが、走り味はドイツ車のようにソリッド。当時の甘い思い出が、見事に蘇った。
協力:ザMX5ロードスター、クリス・ローダー氏
マツダ・ロードスター(MX-5/3代目/2005〜2015年/英国仕様)の主なスペック
英国価格:1万8900ポンド(2006年時)
生産数:24万4276台
最高速度:209km/h
0-97km/h加速:7.1秒
燃費:12.2km/L
車両重量:1086kg
パワートレイン:直列4気筒1999cc 自然吸気 DOHC
最高出力:160ps/6700rpm
最大トルク:19.1kg-m/6700rpm
ギアボックス:6速マニュアル/後輪駆動
この続きは、お値打ちオープンカー12選(2)にて。
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