今年のF1トルコGPは、週末を通じて変わりやすい天候に見舞われている。決勝レースは今の所ドライコンディションになると見られているが、ウイリアムズのビークル・パフォーマンス責任者のデイブ・ロブソンによれば、戦略は非常に難しくなるという。
昨年、久々の開催となったトルコGPは、各チームが舗装が完了したばかりの滑りやすい路面に翻弄される形となった。そのためピレリは、昨年よりも1段階柔らかいタイヤを用意。しかしサーキット側は路面を高水圧で処理するなどしたため、グリップが完全に増している。そのため今季持ち込んだタイヤは柔らかすぎているということを、ピレリも認めている。そもそもこのコースは、高速で回り込むターン8が存在するため、特に右フロントタイヤには厳しいサーキットなのだ。
■角田裕毅、トルコGP決勝は上位陣唯一のソフトスタート。アルファタウリ代表がQ2でのタイヤ戦略を説明「彼をQ3に行かせたかった」
そのため各ドライバーとも、決勝レースでソフトタイヤを使うのを避ける傾向にある。予選Q2のトップ10は、最速タイムを計測した際に履いていたタイヤで決勝レースをスタートすることが義務付けられるが、アルファタウリ・ホンダの角田裕毅を除く9台が、ミディアムタイヤでのアタックを選択した。この予選トップ10以外のマシンも、決勝レースでソフトタイヤを使うことはないだろうという見方が強い。
ただ、トルコGPの舞台となるイスタンブールパーク・サーキットのピットストップロスタイムは20秒以下と小さいため、2ストップ戦略を構築することも十分に可能。ピレリの推奨では、ミディアムでスタートし、ハードタイヤを2セット使うのが最速であるとしている。
一方で、タイヤマネジメントに自信のあるドライバーは、ミディアムとハードを使う1ストップで走り切ることを狙ってくるかもしれない。そうすれば、2ストップを選択したドライバーに対して、トラックポジションの面で優位に立つことができる可能性もある。
「レースでは非常に厳しいことになるだろう」
タイヤのマネジメントとデグラデーションについて尋ねられたウイリアムズのロブソンは、そう語る。
「コースは金曜日と比較してリセットされている。今晩(土曜日の夜)にはもう少し雨が降るようだが、レース自体はドライになるように見える」
「だからタイヤがどのように機能するかを正確に把握すること、そしてドライバーがターン8にどうアプローチするかを見るのは、ちょっとした発見の旅ということになるだろう」
「我々のマシンがどう振る舞うか、そして他のマシンがどう振る舞うか、それについての考えがある」
「そこから計画を立てて、その時々の状況を見ながら修正して行く必要があるだろう。しかし、予選で角田以外の誰もがソフトタイヤを避けたということは、ほとんどの人がどう考えているかということを教えてくれると思う」
「だから、レース終盤を除いて、それを使う人はいないだろう。誰かがファステストラップを獲ることを目指す以外にはね」
「そして使う必要があるプライムタイヤのセット数、そしてオプションタイヤのセット数を判断するには、少し待たねばならないだろう」
「コーナーのいくつかで、特に右のフロントタイヤのラバーを労り、ラバーが完全に摩耗してしまうのを避けるためには、どれだけのタイムを諦める準備ができているかによると思う」
「それは、大変な作業になると思うよ」
「午前中のコンディションを見て最終的な戦略を立てるが、レース中の状況に応じた決断が必要な1戦になると思う」
「自分たちのクルマに対してだけではなく、他のチームがしていることにも対応しなければならない。とても楽しいレースになるはずだ」
「適切な戦い、適切な形の”ゲーム理論”を組み立てることができるかという問題になるはずだ。そういうレースは、常に面白くなる」
ただ今回のグランプリは、戦略的に難しいというだけでなく、グリッド降格ペナルティを受けるルイス・ハミルトン(メルセデス)がどんな追い上げを見せるかという注目点もある。
メルセデスはロングランペースでも力強い走りを披露しており、タイトル争いのライバルであるレッドブルよりも優位に立っている。レッドブルのマックス・フェルスタッペンは予選後、メルセデスには太刀打ちできないだろうと語っている。
しかし一方でメルセデスも、ハミルトンが中団グループのマシンを抜いて、追い上げていくのは簡単なことではないと考えており、チームはハミルトンをサポートするためにも、確実な戦略を組み立てることを強いられる可能性もありそうだ。
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