■なぜ今BEV化を加速する?
スバルが思い切って、BEV(電気自動車)に舵を切りました。
2023年8月2日に同社の第1四半期決算説明会が開催され、そこで発表された「新体制による方針」のなかで、その詳細を明らかにしたのです。
それによると、2030年にBEVの販売比率をグローバルで50%とする新たな目標が掲げられました。全てのスバル車で同年販売台数を120万台程度と見込むため、BEVは60万台ということになります。
従来の目標では、2030年にBEVとハイブリッド車を合わせてグローバルで40%を目標としていたので、今回の方針転換はかなり思い切った決断だといえるでしょう。
【画像】えっ、スバルが新型SUVを先行公開!? ウワサの「レイバック」の画像を見る(23枚)
また、2028年までのBEVモデルラインナップとして、これまでの発表で明らかにしていた2026年末に「ソルテラ」を含めたSUV4車種を導入することに加えて、2028年末に4車種を導入するといいます。
この4車種については、SUV以外のカテゴリーが含まれているとのことです。
さらに詳しく見てみると、日本市場ではガソリン車の販売を当面存続するほか、ハイブリッド車については、トヨタとの協業技術による「THS(トヨタハイブリッドシステム)」を使った次世代e-BOXERを2025年に投入します。
BEVについては2系統あり、ひとつは2025年頃の群馬県矢島工場での混流ラインでのBEV生産で、年間の生産能力は20万台、もうひとつが、2027年以降に大泉工場で新設するBEV専用ラインです。こちらも生産能力は20万台です。
さらに、アメリカでも日本とほぼ同じ時期にBEV専用ラインを立ち上げます。その場所や提携先については現在検討中とのことです。
こうした、スバルのBEVシフト前倒しの背景には何があるのでしょうか。
もっとも大きな理由は、スバルの主戦場である北米市場の変動です。
北米のBEVといえば、テスラの存在が大きく、販売台数ではすでにスバルを大きく引き離している状況で、その差は大きくなっていくばかり。それだけではなく、米連邦政府が掲げるIRA(インフレ抑制法)による縛りがスバルに対して大きく影響していることは間違いありません。
ユーザーへの補助金対象となるためには、アメリカ国内でのBEV生産やアメリカと通商関係のある国との部品調達など、海外自動車メーカーにとっては複雑な調達対応および財務処理が必要なのです。
アメリカ重視戦略をこれからも続けるスバルにとっては、このタイミングでアメリカを見据えたBEVシフトに一気に動いたものといえるでしょう。
今回の会見で、スバルの大崎篤社長は同社におけるIRAの重要性を強調しています。
IRAに限らず、今の自動車産業はグローバルで100年に一度の大変革期の真っ只中にあります。
大崎社長は「非連続な変化があり、従来にないスピード感で世界市場が動いており、市場の先行きは不透明」と自動車産業界の現状とこれからを表現しました。
だからこそ、スバルは今、大きな変革をしなければならないというのです。
そのため、スバルのBEVシフトの大事な分岐点となる「2028年に向けた決意」を示しました。
たとえば、「モノづくり革新」と「価値づくり」で世界最先端を狙うこと。そのためには、BEVへ一気に舵を切り、資源の集中先をBEVとすることで変革を早期に実現するとしています。
その達成に向けて、組織体系を製造、開発、サプライチェーンがより高密度化させる形に刷新します。
具体的には、商品企画、設計、生産という3つのプロセスをリレー式で進めてきた従来のクルマづくりの方式を刷新。これら3つのプロセスほぼ同時に行い、さらに製造工程も大幅に見直すことで、「開発手番半減」、「部品点数半減」、そして「生産工程半減」を目指します。
これを、スバルは「ひとつのスバル化」と呼びます。
「生産工程半減」は、トヨタが準備を進めている次世代BEVでも同じような話を聞きました。
そのなかで重要なのが、「ギガキャスト」と呼ばれる車体の一部を大型の鋳物で成型する手法です。
スバルもギガキャスト採用をひとつの選択肢として、次世代BEV開発を進めていることが分かりました。
■「スバルらしさ」BEVでどう実現する?
このように、スバルのBEVシフトがこれから一気に進むことが確実になったわけですが、果たして「スバルらしいBEV」とはどのようなクルマになるのでしょうか。
スバル車の特徴であり魅力といえば、低重心の水平対向エンジンやシンメトリカルAWD、先進安全機能のアイサイトなどがあります。
一方のBEVは電池を床下に置くレイアウトが主流のため、そもそも低重心なクルマです。また、モーターの配置によって四駆を設定することはガソリン車などに比べると、比較的容易です。
つまり、水平対向エンジンを特徴とするスバルの優位性は相対的に低くなるかもしれません。
その上で、大崎社長は「モーター制御技術にはスバルの知見が大きく役立つ」として「スバルらしいBEVを作っていく」と断言しました。
そうした力強い言葉を聞いても、今回の記者会見に参加した筆者(桃田健史)としては「スバルらしいBEV」の姿と形、そして走り味がまだはっきりと想像できませんでした。
現在スバルのBEVとして販売されている「ソルテラ」はトヨタ主導での製品企画で生まれた「bZ4X」の兄弟車であり、その縛りのなかで開発陣は「スバルらしさ」を模索してきました。
しかし、それは誰が乗っても素直に「スバルらしいBEV」と言い切れるレベルにはまだ達していないと思うからです。
スバル側にも、ソルテラを出発点として「スバルらしいBEV」を目指す険しい旅路が始まったという認識があります。その上で、スバルとしては先行き不透明なBEV市場において、柔軟かつ勝負どころでは一気に動けるBEVづくり体制の構築を急いでいるところです。
例えば、トヨタとのBEVにおける協調領域と競争領域を今後、さらに明確化されるでしょう。
また、トヨタとの協業とは別枠で、先に発表があったパナソニックエナジーからの円筒型リチウムイオン電池の採用など、スバル独自のBEVに向けた動きも加速します。
スバルは今、同社史上最大の分岐点に立っていることは間違いありません。日本のみならず、グローバルでスバル車を愛する人たちが心から歓迎できる「スバルらしいBEV」の登場を大いに期待したいところです。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
「すごい多重事故…」 関越道で「トラックなど3台が衝突」発生! 2車線が一時通行規制で「通過時間70分」の大渋滞 圏央道も混雑
“45年ぶり”マツダ「サバンナGT」復活!? まさかの「オープン仕様」&斬新“レトロ顔”がサイコー!ワイドボディも魅力の「RXカブリオレ」とは?
「運転席の横に“クルマが踊っている”スイッチがありますが、押したら滑りますか?」 謎のスイッチの意味は? 知らない「使い方」とは
「すごい衝突事故…」 東富士五湖道路が一時「上下線通行止め!」 ミニバンが「横向き」で“全車線”ふさぐ… 富士吉田で国道も渋滞発生中
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
「ノーマルタイヤで立ち往生」に国交省ブチギレ!?「行政処分の対象です」2年連続で大量発生…「スタックの7割が夏用タイヤ」今年も緊急警告
トラックの頭と積荷が載ったトレーラーの知られざる接続部! 最後のロックはあえて「手動」にしていた
まるで「“ミニ”フェアレディZ」!? 全長4.1mの日産「コンパクトクーペ」が斬新すぎる! 短命に終わった「NXクーペ」とは?
スバル新型「プレオ」発表に期待の声! “約100万円”の「コスパ最強」軽セダンは実用性バツグン! スバルらしい「水平対向エンジン×MT搭載」を求める声も!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
全部トヨタ製です。
EVプラットフォーム、電池、車載OS…
それともこれらを自主開発するの?
残りはデザイン、組立、チューニング
ホンダでさえGMのEVシステムを使ってる。
トヨタからしたらスバルはライバル、競合ではなくて自分達の開発したものを買ってくれる大切なお客様だよな。
スズキ、ダイハツ、マツダも同じ。
スバルはEVの販売経験があるから難しいことが一番わかってるかもね。