オートモーティブワールド2020内「第12回 国際カーエレクトロニクス技術展」のamsブースに展示されているLiDARについて、エンジニア氏に詳細をうかがった。※ 本展は業界関係者のための商談展です。一般の方のご入場はできません。
本LiDARは上述の記事にもあるとおり、ams/ibeo/ZFの3社による共同開発。amsはレーザ光源チップと、そのチップを駆動する回路のチップセットを担当している。ibeoは本機を「4D Solid State LiDAR」と呼称、その理由は距離とレーザ反射の強さの双方で測距していることによるという。レーザの返り方の強弱を測ることで、それが人なのかクルマなのか路上の構造物なのか路面の樹木なのか——といったことまで細かく把握できるというわけだ。
ams:超高感度NIR画像センサを発表、モバイル3D光学センシングシステムで大幅な節電効果を実現
そして「4D Solid State LiDAR」の何よりの特長はソリッドステート型、かつ可動部がないこと。屋根の上でくるくる回るヴェロダイン製のメカニカルスキャン型の3D LiDARはもちろんのこと、ソリッドステート型でもMEMSミラー式は可動部が存在する。レーザを広範囲で照射する構造にするためだ。
「もともとピクセルレーザというのは小さい発光エミッタの集合体で、それがアレイ状に配置されています。通常のピクセルレーザはそれがすべて一斉に発光して、たとえばフラッシュライダーだとか、そういった光源として使われますが、この『4D Solid State LiDAR』向けのチップはある特定の、行単位あるいは列単位に発光させている。例えば一列なら一列をスイープさせるようなかたちで、レンズと組み合わせることでビームをステアリングさせる仕組みとしています。だから機械的な動作を伴わずに電気的にスキャンができるのです」
amsに限らずピクセルレーザを製造するメーカーは存在するが、同社の強みは電力変換効率。つまり電費に優れていることから、省電力回路にすることができるほか低発熱とすることもでき、より小型軽量なLiDAR設計が可能。ヘッドランプユニット内に収めるという検討もあるらしく、設置スペースの制約は確実に減りそうだ。課題はやはりコスト。しかしこればかりは数に左右される要件で、今回の小型軽量化実現が普及のきっかけになってくれればうれしいと、エンジニア氏は話してくれた。
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