Porsche 911 Carrera × Carrera S × Turbo S Cabriolet × Carrera 4 Cabriolet
ポルシェ911カレラ × カレラS × ターボS カブリオレ × カレラ4 カブリオレ
ハイエンドオープンカーの頂点! アストンマーティン DB11 ヴォランテ vs BMW M850i カブリオレ 【Playback GENROQ 2019】
Type 992の真実を4モデルの試乗で詳らかにする
デビューからまもなく2年。最新の911であるタイプ992は着々とそのバリエーションを増やしつつある。911はエンジンや駆動方式によって異なる個性を持つのが常。カレラからターボSまで4台のタイプ992を連れ出し、それぞれのベクトルの違いを大谷達也と吉田拓生が確かめる。この前編では試乗インプレッションを、後編はふたりのモータージャーナリストによる「ポルシェ911進化論」を対談形式でお届けしよう。(インプレッション編/対談編)
大谷達也「私はいまだに“タイプ992像”を明確には描ききれていない」
タイプ992は難解だ。なぜなら、スペイン・ヴァレンシアの国際試乗会で初めて触れてから間もなく2年になるのに、私はいまだに“タイプ992像”を明確には描ききれていないからだ。
断片的でよければ、わかっていることはいくつかある。
たとえばタイヤのグリップレベルは大幅に引き上げられ、スタビリティが格段に向上した。これ自体は正常進化といえるが、スポーツカーとしてはやっかいな側面もある。
「991から992への進化はコミュニケーションの質的変化だ」
なぜか。
私にとってスポーツカーを操る楽しみとは、タイヤの限界に近い領域でクルマと対話することにある。限界領域でクルマがなんと語りかけてくるか。それに耳を傾けるとともに、自分の四肢を駆使して私の言葉をクルマに伝える。このコミュニケーションこそが、スポーツカーを操る醍醐味だと私は考えている。
しかし、少なくとも公道に限っていえば、タイプ992の限界に迫ることは難しい。これは前述のとおりグリップレベルが改善された影響だが、この結果、ステアリングを通してのコミュニケーションの密度は薄まったように思う。
いや、これもまた正確な表現とはいえない。なぜなら、旧型に比べてタイプ992は操作に対する反応の精度が格段に向上しており、「より精密にクルマをコントロールする」という喜びにおいてはタイプ991を確実に凌いでいるからだ。その意味でいえば、タイプ991からタイプ992への進化は「クルマとのコミュニケーションの量的ではなく質的な変化」ともいえる。
「カレラSはハンドリングでも乗り心地でもカレラに対して優位に立った」
個々のグレードの位置づけも微妙に見直されている。
これまで私がもっとも好きな911は、いわゆる“素のカレラ”だった。ソフトなサスペンションは大きな挙動の変化を許したが、このためクルマの状態を把握するのは容易で、自在にステアリング特性をコントロールできた。足まわりがソフトであるがゆえに乗り心地が良いことも大きな魅力だった。
しかし、単純なサスペンションの硬さでいえばカレラとカレラSの差がなくなったように感じるのに、路面へのしなやかな追従という面ではカレラSがカレラを上回っている。結果としてカレラSはハンドリングでも乗り心地でもカレラに対して優位に立った。まあ、端的にいってカレラSのほうがカレラよりも価格帯は上なので、様々な性能でカレラSが上位にあるのは当然かもしれない。これに伴い、私の好みもカレラからカレラSへと移行した。問題は、それを支える経済力があるかどうかということになるだろう。
「タイプ992のカブリオレ・ボディが、小さいながらも進化を遂げていた」
嬉しい発見もあった。タイプ992のカブリオレ・ボディが、小さいながらも見逃せない進化を遂げていたのである。
ボディ剛性でいえば、タイプ991のカブリオレですでに十分なレベルに到達していた。ただし、本当に限界的な領域に近づくと、ステアリングに微振動が伝わる機会が増えて、それ以上ペースを上げるのがためらわれた。あれほど高いレベルにあったステアリング支持剛性に、かすかな弱点があったのだ。ところが、タイプ992のカブリオレではこれが完全に消え、最後の最後まで自信を持ってステアリングを握っていられる。「上から目線」でいえば、これでカブリオレも本物のスポーツカーになったといえるだろう。
一方でターボのキャラクターはタイプ991までと大きく変わった。これまでは快適な乗り心地を基軸とするグランドツアラー的な色合いが濃かったが、新型はそれよりも明らかにスポーティ方向に振られたのだ。結果としてアンダーステアをほとんど感じないシャープなハンドリングを手に入れたが、従来のターボのような快適性は薄れたともいえる。この辺は、好みの分かれるところかもしれない。
「今回試乗した中でどれを選ぶかといえば、答えは911カレラSとなる」
では、今回試乗した中でどれを選ぶかといえば、答えは911カレラSとなる。車高を10mm落とした効果は明らかで、コーナリング中の安定感はカレラを大きく凌ぐ。しかも、足まわりのしなやかさも良好で、荒れた路面での試乗が中心となった今回の取材で、ワインディングロードを走行中にスポーツモードを選びたくなった唯一のモデルがカレラSだった。裏を返すと、それ以外のモデルではアンジュレーションのきつい路面に足まわりが追随せず、瞬間的にグリップが途切れる傾向が見受けられたのだ。その点、ロードホールディングが最も良好で、いちばん安心してステアリングを握っていられたのがカレラSだった。
もっとも911には今後カレラGTSやGT3の追加が見込まれる。最終的な結論を下すのは、それらが登場してからでも遅くないだろう。
吉田拓生「4台を同じ条件で走らせ、比較する。クルマ好きとしては夢のような話だ」
乾いた空気で覆われた晩秋の霧ケ峰。「この駐車場を中心にして試乗しましょう」と編集長に促され、ポルシェ911の試乗がはじまった。理想的なワインディングが広がっていて、時間もたっぷりとあったので、今回はいつもより入念に試乗した。4台を同じ条件で走らせ、比較する。クルマ好きとしては夢のような話だが、気の利いた原稿を書かなければと思っている自分にとっては随分厄介なお題といえる。
そもそも相手が911だと、妙に理屈臭くなったり、求道的になってみたりするクセがある。新型のトピック云々よりも「ポルシェ911とは果たして何なのか」という大前提が立ちはだかって邪魔をする。
いつもの邪念を振り切るには、頭ではなく感覚的にドライブするに限る。可能な限りペースを上げるのだ。
「911ターボSは一見安楽に、しかし実際は手の届かない領域まで逃げてしまった」
今回の新たな発見という意味では、カブリオレ・ボディが印象に残った。特にカレラ4カブリオレは、991型でも感じたオープンボディ特有の局所的な振動が感じられず、また前輪の駆動が出しゃばることがなく、ステアリングフィールにも透明感があった。メーターの表示を前後のトルク配分に切り替えて見ても、フロントの駆動はいつも10%そこそこしかなくて、体感と符合していた。
同じカブリオレでも今回初めて試乗できたターボSでは随分と勝手が違った。4000rpmあたりで大きく、5500rpmあたりから突き刺すように入るターボキックは600ps以上のマクラーレンに似て強烈。タイトめのコーナーを勢い込んで抜けようとすると、ボディに緩さは感じなくてもステアリングからのインフォメーションが微かに濁り、クルマ任せにしたくなる。650psと僕のウデ、そして公道という条件が重なったところに無理があると思う。フロントのトレッドが増し、ステアリングの応答性が格段にアップしたことで、911ターボSは一見安楽に、しかし実際は手の届かない領域まで逃げてしまったように思う。
「変化してきた911の立ち位置が素のカレラに影響を及ぼしている」
4台を比べたことで、これまでカレラSクーペに抱いていた印象が確信に変わった。パワーやハンドリング、ディメンションのバランスが優れたモデルは、ペースを上げるほどにボディが引き締まり、車重も軽く感じられる。今回のカレラとカレラSの最もわかりやすい違いは385ps対450psというパワーと、それに見合ったアシのセットだ。サーキットではタイムに現れるであろうこれらの違いが、公道では気持ちよさの多寡に繋がっている。
だから結果的に今回はカレラの印象が芳しくなかった。パワーとの兼ね合いでシャシーというか、特にタイヤの主張が強く、路面の不整や粗さがそのまま伝わってくるように感じられた。走行距離からくる個体差も無視できない。けれど1960年代に誕生した当初は2.0リッターのスポーツカーに過ぎなかった911が、現在ではスーパースポーツを射程に入れている。徐々に変化してきた911の最新の立ち位置が、素のカレラに影響を及ぼしているようにも思えた。
「300kmを走りカレラ4 カブリオレから降り立った時、少しも疲れを感じていなかった」
もう1回、あと1回といつになく試乗が長引いたのは、原稿を締めくくる一言がついぞ思い浮かばなかったからだ。帰り道のロングドライブは特に理由もなくカレラ4 カブリオレを選んだ。霧ケ峰から遠回りをして駒ケ根にある友人のカフェを訪ね、そこから一気に自宅に戻った。距離にして300km、正確な時間は覚えていないのだが、本当にあっという間だった。2日かけてワインディングを走り回り、疲れ果てていたはずだが、途中で休みを取ることすら忘れていた。腰が痛くなるようなこともなく、ACCで安楽にドライブしようという気も起きなかった。
さらに驚いたのは、自宅に着いてカレラ4 カブリオレから降り立った時、少しも疲れを感じていなかったことだ。これまでもポルシェ911には数多く試乗しているが、300kmもの距離を一気に走るような経験はなかったかもしれない。
「初めて本気で911が欲しいと思った。4台の中ではカレラSが個人的なベストだ」
今回の帰路と同じペースで走れるクルマは簡単に思いつくし、疲れないクルマだってもちろんある。けれどそれら2つの条件を呑み込めるクルマは911以外には思いつかない。これこそ「ポルシェ911とは何なのか」という僕自身の長年の問いに対する答えなのかもしれない。
ノイズや乗り心地といったロングドライブに重要と思われる箇所をポイントごとに注視していくと、992型でもなお決して褒められたものではないと思う。そして実際に僕がオーナーになろうと思ったら、車両価格と同じくらい維持費も気になる。だがこれだけの高性能をまざまざと見せつけられると、ポルシェ911に対する疑念も霧散する。
初めて本気で911が欲しいと思った。今回の4台で言えば、やはりカレラSが個人的なベストといえる。
REPORT/大谷達也(Tatsuya OTANI)、吉田拓生(Takuo YOSHIDA)
PHOTO/平野 陽(HIRANO Akio)
【SPECIFICATIONS】
ポルシェ911カレラ
ボディサイズ:全長4519 全幅1852 全高1298mm
ホイールベース:2450mm
車両重量:1580kg
エンジンタイプ:水平対向6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2981cc
最高出力:283kW(385ps)/6500rpm
最大トルク:450Nm(47.9kgm)/1950-5000rpm
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:RWD
サスペンション:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前245/35ZR20 後305/30ZR21
最高速度:293km/h
0-100km/h加速:4.2秒
車両本体価格:1398万円
ポルシェ911カレラ4 カブリオレ
ボディサイズ:全長4519 全幅1852 全高1297mm
ホイールベース:2450mm
車両重量:1650kg
エンジンタイプ:水平対向6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2981cc
最高出力:283kW(385ps)/6500rpm
最大トルク:450Nm(47.9kgm)/1950-5000rpm
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前245/35ZR20 後305/30ZR21
最高速度:291km/h
0-100km/h加速:4.4秒
車両本体価格:1729万円
ポルシェ911カレラS
ボディサイズ:全長4519 全幅1852 全高1300mm
ホイールベース:2450mm
車両重量:1590kg
エンジンタイプ:水平対向6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2981cc
最高出力:331kW(450ps)/6500rpm
最大トルク:530Nm(47.9kgm)/2300-5000rpm
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:RWD
サスペンション:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前245/35ZR20 後305/30ZR21
最高速度:308km/h
0-100km/h加速:3.7秒
車両本体価格:1729万円
ポルシェ911ターボS カブリオレ
ボディサイズ:全長4535 全幅1900 全高1301mm
ホイールベース:2450mm
車両重量:1785kg
エンジンタイプ:水平対向6気筒DOHCツインターボ
総排気量:3745cc
最高出力:478kW(650ps)/6750rpm
最大トルク:800Nm(47.9kgm)/2500-4000rpm
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク(カーボンセラミック)
タイヤサイズ:前255/35ZR20 後315/30ZR21
最高速度:330km/h
0-100km/h加速:2.8秒
車両本体価格:3180万円
【問い合わせ】
ポルシェ カスタマーケアセンター
TEL 0120-846-911
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