日常不満なしのマイルド 対応力増すプラグイン
3代目へモデルチェンジした、フォルクスワーゲン・ティグアン。このクラスのSUVにはディーゼルターボが好適といえ、市場によっては存続されることを歓迎したい。しかし実際は、マイルドかプラグインの、ハイブリッドが選ばれる率は高いだろう。
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1.5L 4気筒マイルドHVのeTSIは、150psと充分なパワーを発揮するが、ややトルク不足。7速デュアルクラッチATは、それを補うべくショートレシオ側へ調整されている。0-100km/h加速は9.4秒と、悪くないダッシュ力ではあるが。
普段使いなら、基本的に不満なし。市街地でも高速道路でも、小さくないボディを活発に牽引してくれる。強めの加速を求めても、若干気張っているような印象はあるものの、回転数が過度に上昇することはない。満員・満載状態では、余裕に乏しいけれど。
1.5LプラグインHVのe-ハイブリッド272なら、明らかに対応力が増す。駆動用モーターは発進時のトルクが太く、フル充電で右足を優しく傾ければ、電気だけで現実的に約90km走れる能力も魅力。なお渋滞時は、電気の消費量が増えるようだ。
ブレーキとDSGはもう少し磨き込める
e-ハイブリッド272は、市街地をほぼ駆動用モータだけで賄える。他方、郊外を活発に走ると、エンジンが頻繁に介入する。総合で271psが主張されるものの、そこまでのパワフルさは感じにくい。濡れた路面での加速時は、トラクションが不足気味でも。
気になったのが、摩擦と回生を協調させるブレーキペダルの感触。高速域での踏み心地には、若干の違和感が伴う。またデュアルクラッチATは、発進時にギア選びに迷う場面があった。他のユニットを鑑みると、走行中の変速もより滑らかにできるはず。
試乗車は、いずれも20インチ・ホイールを履くRライン・グレード。アダプティブダンパーと可変レシオのステアリングが組まれる、ダイナミック・ドライビングパッケージが装備されていた。かくして姿勢制御は優秀で、回頭性もシャープといえる。
SUVらしい重量感を巧みに隠しつつ、高速コーナーを滑らかに処理。重心を低く感じさせるような、安定感がある。グリップ力も充分以上だろう。
正確で落ち着いた操縦性が強み
シャシーは安定志向。身のこなしは軽快ながら、運転の楽しさを求める向きには若干物足りないかも。ステアリングは重み付けが一定でも、アシスト量が強く感触が薄い。
それでも、正確で落ち着いた操縦性は明確な強み。アダプティブダンパーは15段階に調整でき、乗り心地か姿勢制御のどちらを優先するか悩める。18インチ・ホイールなら、効果を得やすいはず。車重のかさむe-ハイブリッド272の方が、快適性は増すようだ。
Rラインの試乗車は20インチ・ホイールで、細かな揺れを抑えきれず、期待する衝撃吸収性に届いていなかった。走行ノイズの音量も、肉薄なタイヤでは不利になりがちだ。
燃費は、1.5LのeTSIで平均14.9km/L。高速道路では僅かに伸びるが、2025年の水準では、驚くほどの高効率とはいえない。e-ハイブリッド272では、こまめに充電した平均で31.9km/Lと優秀。ガソリンスタンドへ立ち寄る回数は、かなり減るだろう。
フォルクスワーゲンらしい合理的な仕上がり
3代目でも、多様なパワートレインに優れたシャシーで、成功を予感させるティグアン。特にマイルドHVのeTSIは、英国での主力になるだろう。正確な操縦性と落ち着いた走り味、不足ないパワフルさで、少なくない人を惹き付けるはず。
プラグインHVのe-ハイブリッド272は価格が上昇するものの、日常的にはバッテリーEVのように使える、電気だけでの航続距離が大きな魅力。電動化への過渡期のファミリーSUVとして、リスクの少ない1択といえる。どちらも実用性は間違いない。
内装や乗り心地、走りの楽しさなどは、もう少し磨けるかもしれない。ライバルモデルは少なくない。それでもブランドらしく合理的な仕上がりには、確かな訴求力がある。なんともフォルクスワーゲンらしい。
◯:広々として快適・利便性の高い車内 大きさを感じさせない姿勢制御や正確な操縦性 扱いやすい最新のインフォテインメント・システム
△:マイルドHVは郊外でやや物足りない プラグインHVの動的な磨き込み Rラインの乗り心地は今ひとつ 運転支援システムの介入が気になることも
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