生産わずか209台の日本専用モデル、ホンダ「NSX type S」の驚くべき世界評価
日本が世界に誇るミッドシップスポーツカーがホンダ「NSX」である。その中でもわずか209台のみの生産にとどまった1999年式のNSX type Sが欧州のオークションに登場し、熱い視線を集めてた。最終的な落札価格は、当時の新車価格(1035万7000円)の約3.6倍以上となる20万7000ユーロ(邦貨換算約3745万円)を記録した。これほどの高値で取引されるに至った背景には、極上のスペックとType Sのヒストリーが関係していた。
1200万円以上かけたホンダ純正レストアで最高約1.7億円に挑んだホンダ「NSX-R」が迎えた結末
快適性は保持したまま、ワインディングを極めるため45kgの軽量化を施す
1990年に登場したホンダ「NSX」は、世界初のオールアルミ・モノコックボディを採用した画期的なミッドシップスポーツカーだ。世界最高峰の運動性能を備えながら日常域での扱いやすさを両立させ、フェラーリやポルシェをはじめとする世界の競合たちに多大な衝撃を与えた。
そのNSXの進化の過程で、1997年に日本市場専用モデルとして追加されたのが「type S」だ。快適装備を削ぎ落としたレーシングスペックの「type R」に対し、ワインディングロードでの走りの歓びと実用性を高レベルで融合させたスペシャルグレードだった。生産台数はわずか209台にとどまり、NSXの歴史の中でも一目置かれる希少な存在となっている。
1997年に導入されたType Sは、日本のワインディングロードを走ることを念頭に設計された軽量アップデートモデルだ。BBS製の専用アルミホイールをはじめ、軽量化されたリアガラスやスポイラーを採用している。さらにマニュアルステアリングや、レカロ製のカーボンケブラー素材フルバケットシート、チタン製シフトノブなどを装備している。これらの妥協なき軽量化策により、標準モデルから45kgもの軽量化を達成している。
鮮やかなブルーが映える極上コンディションを保つ3.2リッター6速ミッションの凄いヤツ!
今回俎上に上がったモデルのエクステリアは、見る者を惹きつけるモンテカルロブルーパールで仕上げられている。インテリアはブラックとブルーのレザーおよびアルカンターラでコーディネートされる。スパルタンな中にも高い質感が漂っている。
リアミッドに搭載されるパワーユニットは、最高出力294PSを誇る3.2リッターV6エンジンである。6速マニュアルトランスミッションを介して後輪を駆動する仕様だ。さらにこの個体は、チタンエキゾーストやNSX-S用のMomo製ステアリングホイールなど、センスの良いアップグレードが施されている。オークションカタログの画像からも、美しく保たれた極上のコンディションが確認できる。
「熊谷ナンバー」から海外に渡り、素性の良さ/47000km弱/整備記録の三拍子が高評価
特筆すべきは、この個体が歩んできた歴史である。1999年8月に日本で初度登録された後、17年間にわたり日本国内で大切に所有されていた。日本での最終登録地は熊谷であったことが記録されている。
その後、2017年1月にイギリスへ輸出された。同年7月にはスウェーデンのオーナーの手に渡っている。走行距離は現在でもわずか46830kmにとどまる。日本のスペシャリストによって整備されてきた膨大な記録が残されているという。
オークションに先立ち、事前予想落札価格(エスティメート)は20万ユーロから25万ユーロ(邦貨換算約3620万から4525万円)と発表されていた。最終的に20万7000ユーロ(邦貨換算約3746万円)で競り落とされた結果を見る限り、事前予想の範囲におさまる妥当な評価を裏付けている。
現在、世界的なJDMブームを背景に、希少な国産スポーツカーの相場は高い水準を維持している。とくに日本国内専用モデルとして市場に投入された、生産わずか209台の「type S」は、今後もグローバル市場において実物資産としての価値を高めていくはずだ。熊谷ナンバーを掲げていたこの個体は、日本の名車が世界基準のコレクターズアイテムとして確固たる地位を築いた事実を如実に示している。
生産わずか14台のNSX S ZEROを始め、まだまだ日本専用モデルの希少車はあるのだが……
そしてこれが、1997年から2001年まで生産されたNSX type S ZEROになるとさらに希少で、わずか生産14台にとどまるのだ。エアコン/オーディオ/防音材/パワーステアリングなどを拝した結果、標準モデル比約96kgもの減量を果たしたスパルタンモデルだ。S ZEROについても国内専用モデルなだけに海外への流出は避けたいところだが、昨今のJDMブームと北米25年ルールが解かれるタイミングを考慮すれば、致しかない流れなのかもしれない。
■ 1999年式 ホンダ「NSX type S」の注目ポイント
◇徹底した軽量化と専用装備:標準モデルから45kgの減量を達成している (重ステやカーボンケブラー製レカロシートなど、純粋な走りを追求した専用装備がコレクターの心を掴んで離さない)
◇奇跡のヒストリーとコンディション:熊谷ナンバーから欧州へ渡った素性の良さを持つ (日本国内で17年間丁寧にメンテナンスされ、走行距離も46830kmに留まるという客観的な整備記録が価値を裏付けている)
◇新車価格の約3倍となる落札額:20万7000ユーロ(約3745万円)で取引された (新車価格1035万7000円の個体が海を渡り、JDM人気と209台という希少性があいまって驚異的なプレミア価格を記録した)
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