1980年代のクルマといえば、ハイソカー、街道レーサー、そしてボーイズレーサーが人気を博していた。この連載では、ボーイズレーサーと呼ばれた高性能でコンパクトなハッチバックやクーペたちを紹介していこう。今回は「ダイハツ シャレードGTti(G100)」だ。
ダイハツ シャレードGTti(G100型・1987年1月発売)
1977年(昭和52年)に誕生したシャレードは、量産乗用車として世界初の4ストローク直列3気筒エンジンを開発して注目された。3気筒特有の偶力振動をクランクシャフトと平行に配置したバランスシャフトで解消する技術は画期的で、当時高い評価を得ている。
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1983年のフルモデルチェンジ時には、量産車用エンジンとしては世界最小排気量の1L ディーゼルやターボを追加して直3シリーズの充実を図った。また、日伊共同開発モデルともいえるデ・トマソ ターボは、コアなファン層を生んだ。
そして1987年(昭和62年)、3代目へのフルモデルチェンジで真打ちともいえる「GTti」が登場する。エンジンは直3 DOHC12バルブに空冷インタークーラーとターボをドッキングしたCB-70型。ショートエキゾーストマニホールド直結型の小型ターボや、過給圧を常時電子制御するダイハツ独自の過給圧コントロール頭脳を備え、EFIによる燃料供給と7.8の圧縮比で、最高出力105ps/6500rpm、最大トルク13.3kgm/3500rpmという驚異的なパワースペックを発生した。当時の1Lターボエンジンといえば、最高出力は80~85ps程度だったから、まさに圧倒的な数値と言えた。
モーターマガジン誌の実測テストでは、最高速度は197.53km/h、0→400m加速は15.36秒を叩き出し、文字どおりクラス最速を実証する。これは1986年に登場した1.3Lのスターレットターボと比べても、最高速度で約16km/h速く、0→400m加速で約0.5秒上回るという実力だった。
翌1988年にはインタークーラーを水冷化し、グレード名をGT-XXに変更した。最高出力などのパワースペックは変わらないが、1Lカーのレベルを超えた快速ぶりは衰えを見せず、国産ホットハッチの最右翼の座を堅持していく。
こうしたクルマの例にもれず、トルクステアは強く、コーナーでアクセルを踏めばアンダーステア、戻せばタックインでフロントは巻き込むというハンドリングはFFの癖をもろに出したが、それをわきまえて左足ブレーキなどのテクニックを駆使すれば、しっかりついてくる懐の深さもあった。
当然ながらモータースポーツでも活躍し、CB-70型で最後の挑戦となった1993年のサファリラリーでは、大排気量車を向こうに回して総合5-6-7位に入る快挙を成し遂げている。
ダイハツ シャレードGTti(1987年)主要諸元
●全長×全幅×全高:3610×1615×1385mm
●ホイールベース:2340mm
●重量:790kg
●エンジン型式・種類:CB70型・直3 DOHCターボ
●排気量:993cc
●最高出力:105ps/6500rpm
●最大トルク:13.3kgm/3500rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:175/60R14
●価格:137万3000円
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