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試乗 パナメーラ「ターボS E-ハイブリッド」スポーツ・ツーリスモ

掲載 更新
試乗 パナメーラ「ターボS E-ハイブリッド」スポーツ・ツーリスモ

もくじ

どんなクルマ?
ー GT2 RSのパワーまであと少し

価格が上昇するかもしれない47台のクルマたち 後編

どんな感じ?
ー 「予想以上に、不気味で動揺するほど」
ー PHEV ほかのポルシェ同様「意図通り」

「買い」か?
ー すべての最高を求めるひとへ

スペック
ー ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド・スポーツ・ツーリスモのスペック

どんなクルマ?

GT2 RSのパワーまであと少し

楽しい週末旅行のためのすべてを兼ね備えた、流麗な4ドア・エステートが、ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド・スポーツ・ツーリスモ。

ハイスペックな911並みに速く、SUVに劣らぬ実用性を備え、通常のパナメーラと変わらないラグジュアリーさを併せ持っている。

このクルマが叶えてくれる可能性や、ドライバーの要求に対しての許容力などは、スペックを見ただけでは想像しにくいかもしれない。

ターボS E-ハイブリッドは、従来のポルシェが持っていた以上のものを詰め込みながら、驚異的な動力性能を実現している。

システム出力680psは、GT2 RSよりもわずか20ps少ないだけで、86.5kg-mのトルクは911を凌駕。そのうえ33.2km/ℓという低燃費は、これほど速いクルマでは聞いたことのない数字だ。

ただ、140,000ポンド(2087万円)というスターティング・プライスは、正気を取り戻すきっかけにはなる。

どんな感じ?

「予想以上に、不気味で動揺するほど」

要約すると、予想していた以上に、不気味で動揺するほど、見事だ。

ほぼ何でもこなせる。エグゼクティブのための長距離移動手段そしても、パナメーラなら対応できる。改良がくわえられたゴージャスなインテリアに、チャンバーを3つも備えたエアサスペンションの乗り心地は快適そのもの。

スピードが欲しければ、ポルシェの名に恥じず、0-200km/h加速を12秒以下でこなす。2525kgの車重を持つパナメーラだが、山のように湧き上がるパワーとトルクで、その程度の加速なら軽い準備運動程度。

スポーティなエステートがお望みなら好適。貨物船並みというのは大げさながら、巨大な収容力を持ちつつ、ダイナミック性能はヨットのように軽快だ。

アクティブ・アンチロールバーがボディをフラットに保ち、PTVプラス・トルクベクトリング、PTMトラクション・コントロールにくわえて、セラミックブレーキは標準装備。テスト車両にはさらにオプションの四輪操舵システムも搭載していた。ちなみに鮮やかなブレーキキャリパーの色は、変更も可能だ。

フロント275、リア325とワイドなタイヤに、四輪駆動が組み合わされる。路上でのパナメーラは目をみはる走りを披露し、グリップ力は極めて高く、挙動を乱すこともほぼない。

ただしクルマとのコミュニケーションの濃さという点では今ひとつで、アウディRS6と近似した感覚を受ける。パフォーマンス性能に関しては、素晴らしく高いのだけれど。しかし、その点に関しての判断はさまざまだろう。

EVとなる「Eモード」を選べば、最大49kmを電気のみで走行できる。電気モーターは135psと40.7kg-mを供給するので、V8ツインターボ・エンジンを始動しなくても、140km/hまで加速する。バッテリーは運転中にエンジンによって充電もでき、標準の充電機を使用すれば6時間以内でフル充電が可能となっている。

そのEVモード、走りはどうだろう?

PHEV ほかのポルシェ同様「意図通り」

EVとしての運転も極めてシンプルなもの。当たり前のことだが、スロットルペダルはスイッチのように機能し、エンジンはスロットルとはあまり関係なく始動/停止する。

しかしリニアで漸進的なレスポンスを持っており、他のポルシェのモデルと同様に意図しやすい。ブレーキも同様だ。

ドライバーにとってフレンドリーでありながら、最先端の技術を惜しみなく投入され、完成度は極めて高い。EVとしての都市部でのコミューターから、家族全員が乗れるスーパーカーまで、1台でシームレスにカバーしてしまう。

ハイブリッド・システムは期待に応える内容で、「ハイブリッド・オート・モード」なら最も効率的なドライブを提供してくれるし、「Eホールド・モード」なら、必要になるまでエンジンを始動せず、充電量を減らしたEV走行を提供。

「スポーツ」と「スポーツ・プラス・モード」では、エンジンとモーターのふたつのパワーソースを組み合わせて、可能な限りのダイナミックな走行を楽しませてくれる。

上質なインテリア、突出した品質など、標準のパナメーラが持つ完成度の高さにくわえて、このパフォーマンスがくわわるのだ。そしてスポーツ・ツーリスモでは特に、上品なスタイリングも魅力のひとつ。

つまり、ターボS E-ハイブリッド・スポーツ・ツーリスモは、まさに完璧なモデルといえるだろう。 

「買い」か?

すべての最高を求めるひとへ

完璧なモデルとは言えるものの、より安価に、極めて高性能なエステートを手にすることも可能ではあることも事実。

例えば、メルセデス-AMG E63エステートは、アウトバーンではターボS E-ハイブリッドで敵わない場面もあるかもしれないが、極めて高速で、素晴らしいドライビング性能を持っている。RS6は、高いカリスマ性を持ちつつも、数万ポンドも安価だ。

それに、標準のパナメーラ・ターボも負けてはいない。

ハイブリッドという免罪符はないが、117247ポンド(1748万円)で購入が可能だから、浮いた23000ポンド(343万円)は、かさむであろうガソリン代や、税金に回すこともできる。

このように見ていくと、ターボS E-ハイブリッドの技術的な成果は見事だが、価格も踏まえた正当性という面では、理解しにくい部分もある。

パナメーラの場合、多くのユーザーにとって、ターボエンジンだけでも十分満足できる性能を持っているし、6気筒エンジン・モデルにハイブリッド・システムが搭載されても良いはず。

とはいえ、常にすべての最高を求めるひとにとって、この際立ったパナメーラは、強く望まれる1台となるに違いない。

ポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド・スポーツ・ツーリスモのスペック

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