2015年6月26日、ベルギー・ブラッセルにあるレクサス・ヨーロッパは、新開発の2.0Lのダウンサイジングターボを搭載した「IS 200t」を、9月からヨーロッパ地域で発売すると発表した。
さらに同じエンジンを搭載するクロスオーバーモデルの「RX 200t」も年内に発売する予定だという。
新開発の2.0L直噴ターボエンジン(8AR-FTS型)は「D-4ST」シリーズに属し、優れた燃費性能と、鋭いレスポンスと強力な低中速トルクを狙って開発され、出力は245ps、最大トルクは350Nmを発生する。トランスミッションはレクサスRC-Fと共通のダイレクトシフト式8速ATを組み合わせ、0-100km/h加速は7.0秒、最高速は230km/hとされる。もちろんこの8速ATはパドルシフトを装備している。
このエンジンはシリンダーヘッド一体型でしかも4-2集合式エキゾーストマニホールドを採用し、ツインスクロール・ターボを組合わせることでターボのレスポンスを最大限に追求。特性としては低速型とスロットル・レスポンスを重視しており、パワー、トルクの絶対値は2.0Lの過給エンジンとしては標準的だ。
排気カムは通常のVVT-i、吸気カム側はVVT-iW、つまり中間ロック式広角・連続可変バルブタイミング機構を装備し、通常燃焼と低負荷時のアトキンソンサイクルを切り替えることができる。アトキンソンサイクル運転では吸気遅閉じとなる。
インタークーラーは水冷式で、吸気マニホールド直前部にダイレクトに装着されている。またターボの過給圧制御は、可変ウエイストゲートバルブ制御を採用し、ターボの抵抗を最小化した。
D-4ST(Direct injection 4 stroke gasoline engine Superior version with Turboの意味)を持つ直噴システムは、高圧直噴と低圧ポート噴射を組み合わせたシステムとしている。さらに吸気ポートは、最近のトヨタ・エンジンのトレンドとなっている「ハイ・タンブルポート」を採用している。
この新型エンジンは薄肉鋳鉄ブロック製とし、樹脂製吸気システムなどを採用し、エンジン重量は160kgと軽量に仕上げられている。また、クランクシャフトはオフセット式、ボアの真円加工処理、ピストンスカートの低摩擦処理、ピストンリングの張力低減など、内部抵抗も大幅に低減されている。
動弁系は、軽量なロッカーアーム式で低摩擦タイミングチェーンによりバルブは駆動される。エンジン冷却では、燃焼室回りのジャケットの水流コントロールを行なうことで燃焼室冷却性能と急速暖機を両立させ、同時に暖機時にはピストン・オイルジェット冷却も停止させるようになっている。
振動対策として、樹脂ギヤ駆動式のサイレンとシャフトも装備し、上級モデル用エンジンにふさわしい滑らかさを実現している。
なおこのIS200tは、5月に開催されたニュルブルクリンク24時間レースにGAZOOレーシング(木下/佐藤/蒲生/松井組)として出場し、実戦テストを行なっている。
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