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【現行BMW製モデルのベスト】BMW M2 CSへ試乗 F87型のグランドフィナーレ

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【現行BMW製モデルのベスト】BMW M2 CSへ試乗 F87型のグランドフィナーレ

M2コンペティションと明確な差別化

text:Lawrence Allan(ローレンス・アラン)

【画像】BMW M2とライバル ケイマンGT4 全92枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


初めにうち明かそう。今回ご紹介するBMW M2 CSは、現在のBMWが生産するモデル群で、最高のドライバーズカーだと思う。ただただ、素晴らしい。

丸1日、ドイツのサーキットでF87型のM2 CSをドライブすることが許された。新車で手に入るBMW製モデルの中で、M2 CSに匹敵するパフォーマンスとバランス、純粋さを融合させたものはない。断言できる。

初代M4にもCSが存在した。このクルマも同じ哲学を備えている。2021年には第2世代となるM2の登場が予定されている。M2 CSは、F87型のグランドフィナーレを飾るにふさわしい。

生産台数は限定ではないそうだが、現行のF87型のM2は2020年9月に生産を終了してしまう。英国での価格は7万5320ポンド(994万円)。標準のM2コンペティションより2万3895ポンド(315万円)も高い。

決して安い金額ではない。でも、最大のライバルとなるであろう、ポルシェ718ケイマンGT4は、7万5348ポンド(994万円)の値札が付いている。

上乗せされた価格が、進化した運動性能だけに投じられたわけではないことが、実車のM2 CSを見ればわかる。M2コンペティションと明確な差別化を図る、高そうな部品が惜しみなく装備されている。

例えば、カーボンファイバー製のスプリッターを備える、新デザインのフロントバンパー。大きなエアインテークが口を開く、カーボンファイバー製のボンネット。ルーフもカーボンファイバー製。これらは、レースマシンのM2 GT4と共有する部品だ。

エンジンは名機、ストレート6のS55型

大きなカーボンファイバー製リアスポイラーにリアディフューザー、軽量な鍛造19インチホイールもわかりやすい装備。タイヤはミシュラン・パイロット・スーパースポーツか、今回の試乗車のようにサーキット前提のパイロット・スポーツカップが選べる。

見た目のバージョンアップでアグレッシブさを増しただけでなく、ダウンフォースもしっかり増えている。BMW M部門の開発を率いるディルク・ヘッカーによれば、走行時のリフトは200km/hでゼロになるという。

「高速域での落ち着きに優れる品質」 とディルクが表現するモデルに仕上がっている。一方で車重は軽くなっていない。M2 CSの車重は1575kgで、M2コンペティションと同値だという。

搭載される直6エンジンは、新しい動的性能を構成する核の部分。基本的にはかつてのM3や初代M4と同じ、S55型と呼ばれるユニットで、エギゾーストシステムが新設計になっている。

ツインターボで加給される3.0Lのストレート6は、最高出力450ps/6250rpmと最大トルク55.8kg-m/2350-5500rpmを発生。M2コンペティションと比べると最大トルクは同値だが、最高出力は40ps増強された。

組み合わされるトランスミッションは6速MTか、試乗車のように7速デュアルクラッチATが選べる。どちらも後輪駆動だ。M2 CS専用設定の、電子制御アクティブMディファレンシャルを搭載する。

デュアルクラッチATの場合、パワーウエイトレシオは285ps/tになる計算。M2コンペティション比で24ps/tのプラスだが、ケイマンGT4の場合は、269ps/tとさらに上。4.0Lの水平対向6気筒は、420psと42.7kg-mに留まるのだが。

ザクセンリンク・サーキットで実力を解く

筆者がM2 CSのドライブを許されたのは、サーキットのみ。しかし、M2 CSの動的性能を解き放つには、サーキットが丁度いい。場所はドイツ中東部のザクセンリンクだ。

ここは、バイクレース、モトGPのドイツ戦が開かれるコースとして有名。朝に激しい雨が降り、チャレンジ度合いは増している。クルマを思う存分振り回せる。

長いストレートと緩いコーナーで結ばれた優しいセクションもあれば、急な減速からのS字コーナーと、180度以上向きを変えるループもある。全開で抜けるダウンヒルの先には、高速コーナーが待っている。

BMWは、M2 CSのオーナーの多くがサーキット走行を楽しむと期待している。この場所は、試乗評価にはうってつけといえそうだ。

車内に乗り込むと、コクピットも手直しされていることがわかる。全体的にはM2コンペティションと同じデザインだが、アームレストが省かれた、カーボンファイバー製のセンターコンソールが付いている。

フロントはM4 CSと同じスポーツシートで、アルカンターラ仕上げ。もちろん、贅沢な雰囲気を漂わせているわけではない。かといって、レーシングマシンほどのスパルタンさもない。リアシートもちゃんと残っている。

運転席の位置調整は手動。着座位置は低く、素晴らしい運転姿勢が取れる。ステアリングホイールはMスポーツのもので、アルカンターラ巻き。かなり肉厚なリムだが、コブが付いていて掴みやすい。

信じられないほど柔軟で扱いやすい

エンジンをスタートさせる。明確なタービンノイズが、ドライバーを挑発する。こんなサウンドに調律するのは、BMWくらいだろう。M2 CSだから許されるとも思える。

低回転域から中回転域まで、スムーズで筋肉質。レブリミットまで切れよく吹け上がり、レスポンスも鋭い。迅速な中間加速を披露する、サーキット走行に適した動的性能を獲得している。Mブランドとして差別化を強め、確固とした個性を放つ。

追加された40psは、すぐには体感できない。最高出力の発生回転域が1000rpm上乗せになっていて、M2 CSは従来以上に熱く走らせなければならない。エンジンは極めてスムーズで、回転上昇とともに聴覚的な満足感も高まるから、むしろ積極的に熱くなれる。

BMWによれば、0-100km/h加速は4.0秒。M2コンペティションより0.2秒速く、ケイマンGT4より0.4秒も速い。Mドライバーズ・パッケージが標準装備で、最高速度のリミッターは280km/hまで高められている。

超高速域まで到達するのに、必死になる必要はない。最大トルクは2350rpmから5500rpmまで湧き出るから、信じられないほど柔軟で、とても扱いやすい。

回転数を引っ張らずにシフトアップしても力強さは充分で、低速コーナーの脱出加速に不足はない。シフトパドルはステアリングホイール側に取り付けられ、シフトアップの反応は素早く、シフトダウン時はレブマッチ機能でスムーズ。

ただしマニュアル車的な、操る実体感は乏しい。M2 CSの価値は、ドライバーとマシンとの強い一体感にある。例えラップタイムが数秒遅くなったとしても、6速MTを検討するべきだと思う。

この続きは後編にて。

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