日本人の日常の生活を支え足となってくれる身近なクルマ、軽自動車とコンパクトカー。長年、これらのモデルをメインに世に送り出してきた代表的企業がスズキとダイハツだ。そしてこの2社はまた、飽くなき戦いを繰り広げてきた2社でもある。
スズキに伝統と独自性のジムニーがあれば、ダイハツはタントという新発想のモデルを開発。燃費競争もあった。互いに切磋琢磨するなかで、ユーザーに応える魅力あるモデルを作りだしてきた2社だ。
【庶民派価格に実力車大集結!】 今買いのSUV 価格帯別 ベスト3
下の表、2012年の軽自動車の項目を見ていると、両社の軽自動車の販売台数の差は10万台以上も開いていた。が、2017年は差をつめてきている。互いにしのぎを削る様が滲み出る数字といえる。
現行軽自動車のカテゴリー5種で、魅力度、そして「買うならどっち?」を判定。両社の“今”を見てみよう。
※本稿は2019年2月のものです
文・判定:渡辺陽一郎/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年3月10日号
【5ドアハッチバック対決】 スズキ アルト対ダイハツ ミライース
この2台は「低燃費と低価格」が特徴で、軽自動車の本質を貫く商品だ。
両車とも軽量化に力を入れ、売れ筋グレードの車重とJC08モード燃費は、アルトS(106万1640円)が650kgで37km/L。ミライースX・SA3(108万円)は670kgで34.2km/L。アルトがややリードしている。
車内の広さは互角で、後席の足元にも相応の余裕がある。長距離移動でなければ、大人4名の乗車も問題なし。
また自動ブレーキを作動できる安全装備は、アルトが単眼カメラ+赤外線レーザー、ミライースは2個のカメラで対象物を検知。両方とも歩行者に対応する性能を持つ。
そして動力性能面ではボディの軽いアルトに余裕がある。最大トルクもアルトの6.4kgmに対し、ミライースは5.8kgm。燃費と走りの違いでアルトの魅力が強いといえる。
【買うならどっち?】……スズキ アルト
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【ハイトワゴン対決】 スズキ ワゴンR対ダイハツ ムーヴ
両車ともに軽自動車界の主力車種。全高は1600mm~1700mmと高く、後席も広い。軽自動車を買う時はこの2車種を検討して、不満が生じた時にスペーシアやタントを考えると合理的だ。
車内の広さは互角だが、後席の座り心地は異なる。ワゴンRは快適だが、ムーヴは床と座面の間隔が不足し足を前方へ投げ出す姿勢になりやすい。座面の柔軟性も乏しい。
さらに後席のアレンジも異なり、ワゴンRは背もたれを倒すと座面も下がって平らな荷室になるが、ムーヴにこの機能はない。背もたれが単純に倒れるだけだ。
気になる走行性能は、ワゴンRがスタビライザーを装着したハイブリッドFZ以上であれば互角だ。乗り心地はムーヴが少し快適に感じる。
JC08モード燃費は、ワゴンRハイブリッドFZが33.4km/L、ムーヴは31km/Lで、機能と価格のバランスは同等だ。総合的に判断するとワゴンRが買い得になる。
【買うならどっち?】……スズキ ワゴンR
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【スーパーハイトワゴン対決】 スズキ スペーシア対ダイハツ タント
軽の販売総数のなかで、現状スーパーハイトワゴンが40%以上を占める。
車内は後席の頭上や足元の空間を含めて抜群に広く、大人4名が乗車しても快適。ヒットの理由もわかる。このカテゴリーの代表がスペーシアとタントだ。
シートアレンジは両車同様の機能を持ち、後席を畳むと自転車も積めるほどの広さ。
まず使い勝手のよさはタント。左側のピラーをドアに埋め込み、最大開口幅が1490mmと広い。右側はスペーシアと同様にピラーが残るが、左側の乗降性のよさは驚くほどだ。乗り降りしやすいためのグリップも備わり、お年寄りに優しい。
居住性、前席は互角。が、後席はスペーシアのほうが快適だ。タントは座面の柔軟性が不足している感じがある。加えてスペーシアは収納設備も豊富で、助手席の前側には、上から引き出し式を含めて収納ボックスが3つ並ぶ。この点もアドバンテージだ。
車重は標準ボディで見るとスペーシアハイブリッドXが870kg、タントX・SA3は930kgだから、加速力はスペーシアに余裕がある。燃費も若干優れる。走行安定性もスペーシアが勝り、価格はほぼ同額だから、総合評価はタントよりも高い。
SUV風のスペーシアギアも加わり、時代を読む感覚もスズキのほうがリードといえそう。ワゴンRの評価同様スペーシアも設計が新しく、タントより有利な判定となった。
【買うならどっち?】……スズキ スペーシア
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【商用バン対決】 スズキ エブリイバン対ダイハツ ハイゼットカーゴ
ハイゼットカーゴの発売は2004年と古いが、2017年に改良を行った。
2個のカメラをセンサーに使う自動ブレーキのスマートアシスト3が採用され、歩行者の検知も可能だ。商用バンでこれを採用した点はかなり高評価。インパネも刷新され、トレイなどが使いやすい。
エブリイバンの発売は2015年で設計は新しいが、自動ブレーキは旧型で車両しか検知できない。作動速度の上限も時速30kmと低い。
最後に走りの面。NAエンジン同士で比べると、エブリイバンはハイゼットカーゴに比べて実用回転域の駆動力が高く、ここはリード。しかし自動ブレーキを含めた総合評価では、ハイゼットカーゴを押したい。
【買うならどっち?】……ダイハツ ハイゼットカーゴ
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【軽トラック対決】 スズキ キャリイ対ダイハツハ イゼットトラック
荷台の広さは互角だ。運転姿勢はハイゼットトラックが自然に感じる半面、キャリイはハンドルの角度が水平に近くトラック的。慣れが必要になってくる。
一方、乗降性はキャリイが優れる。ドア開口部の前端とホイールハウスの間隔が広く、足が通過しやすい。
乗り心地の面では、ハイゼットトラックが改良され柔軟になった。操舵感は少し鈍いが、乗用車から乗り替えてもあまり違和感を感じない(ホントです)。自動ブレーキもスマートアシスト3だからキャリイに差をつけた。
【買うならどっち?】……ダイハツ ハイゼットトラック
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