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「オープンスタイルが素敵すぎるZ32コンバーチブル」30年近く経っても色褪せないその魅力!【ManiaxCars】

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「オープンスタイルが素敵すぎるZ32コンバーチブル」30年近く経っても色褪せないその魅力!【ManiaxCars】

ワイド&ローフォルムと豪快なフィーリング。個性ぶっちぎりな2シーターオープン!

VG30DEのみのラインアップは日産の良心! 最終的に4速ATだけ残したのも賢明な判断

「オープンスタイルが素敵すぎるZ32コンバーチブル」30年近く経っても色褪せないその魅力!【ManiaxCars】

今から30年前、バブル景気に沸いた平成初期は数多くの国産スポーツカーが登場した。中でも一線級のパフォーマンスと、未だに秀逸と思えるスタイリングを兼ね備えるのは、NA1型NSXとFD3S型RX-7、そしてZ32型フェアレディZの3台に集約されると思う。

とりわけZ32は2シーターと2by2、標準ルーフとTバールーフ、NAとターボなど広く展開。そのバリエーションをさらに拡げたのが、遅れて登場したコンバーチブルだったのだ。

まさに日本がバブル景気のピークを迎えつつあった1989年7月、国産車の自主規制馬力上限となる280psに初めて到達したクルマとして4代目Z32型フェアレディZが登場した。基本的に、ホイールベースが異なる2タイプのボディと2種類のエンジンを掛け合わせた計4モデルでの展開だったけど、92年8月に追加されたコンバーチブルはNAのVG30DE型を搭載する2シーターがベースとなった。

エンジンルームに収まったVG30DE。Vバンク角は60度とされ、左右バンクそれぞれで吸排気が独立したツインインテーク・ツインエキゾーストシステムを採用する。また、両バンク脇にタービンを抱え込むVG30DETTでは熱の問題が発生しがちだけど、その心配をしなくて済むのもNAのメリットと言える。

初代から海外にも輸出されてたフェアレディZは日産を、そして日本を代表するスポーツカーだ。とすれば当然、コンバーチブルであっても走りに妥協は許されないわけで、ボディ剛性の確保は至上命題だった。そこで徹底的に構造解析を行ない、インナーシルを新設するなど各部に専用構造を採用。ボディの曲げ剛性とねじれ剛性の低下を極力抑えることに成功した。

一方、補強による重量増を軽減するため、コンバーチブルでは軽量化にも力が注がれた。ボンネットに加え、トランクリッドやその前方にあるソフトトップ収納用ストレージリッド、ソフトトップのフレームにアルミ材を採用。車重はNA2シーターの300ZX標準ルーフに対して60kg増に抑えられている。

また、ミッションは当初5速MTと4速ATが用意されてたけど、コンバーチブルで5速MTの需要は少ないと踏んだのか、94年10月のマイナーチェンジで4速ATに一本化。それから従来モデルを300ZXとし、本革シートやオーディオ、キーレスエントリーなどを省いたバージョンSが設定され、2グレード構成となったのも、この時だ。

しかし、97年1月には300ZXがカタログから落ちてバージョンSのみに縮小。生産終了はクーペよりも約2年早い、98年10月のことだった。

取材車両は特別塗装色ホワイトパールをまとったバージョンS。ポリッシュ仕上げの輸出用ホイールを組み合わせるだけで、途端にアメリカンな雰囲気を漂わせるからオモシロイ。先代Z31までのロングノーズ&ショートデッキから、ワイド&ローへと大きくスタイリングを変えた目の前のZ32は2シーターってこともあって、思いの他コンパクト…というより、塊感がスゴイ。

意外なのは、日産でスカイラインと双璧をなすスポーツカーなのに、ソフトトップの開閉が手動式ってこと。S13シルビアですら電動開閉式なのに…そんなことがチラッと頭をよぎったけれど、慣れてしまえば1分足らずで開け閉めできそうだし、電気的なトラブルの心配もない。さらに言えば重量増を嫌ったこともあって、あえて手動式にしたのではないかと思うことにした。

ソフトトップを開ける際に操作する、運転席側Bピラー部に付く2つのスイッチ。まず下のスイッチを押してリヤロックを解除し、ソフトトップ後端を持ち上げる。続いて、上のスイッチを押すとストレージリッド(ソフトトップ収納部のパネル)のロックが解除。

ストレージリッドを全開にしたところに折りたたんだソフトトップを収めてフロントをロックし、最後にストレージリッドを戻せばオープン状態となる。

また、オープン時に風の巻き込みを軽減するポップアップ式ディフューザーも装備される。

シート後方に収納されたソフトトップはストレージリッドで覆われるから、その存在を完全に消す。トノカバーのような“異物”がどこにも見当たらず、全面ボディパネルで構成されるスタイリッシュにしてプレーンな外観は、オープンカーであっても“フェアレディ=貴婦人”の名に恥じないよう、あつらえられたに違いないと推測する。

手前に大きくスラントしたダッシュボードがスペシャリティ感を演出。メータークラスター両端にサテライトスイッチを設けることで、センターコンソールは上からエアコン吹き出し口、1DIN×2のオーディオスペース、時計が並ぶだけのシンプルなレイアウトとなる。メーターパネルにはスピードメーターと油圧計を内蔵したタコメーターが並び、右側に燃料計、左側に水温計が配置される。

メータークラスター左右にはサテライトスイッチを配置。右側は上からフォグランプ、メーター照度調整、スモール&ヘッドライトを完備する。

左側は上面にハザード、上にマニュアルエアコン、下にワイパーの各スイッチが配置される。

コンバーチブルに装着されるのはラグジュアリーシート。前後スライド、リクライニング、リフターともに電動調整式となる。また、助手席にもパワーシートが標準装備されるのはコンバーチブルのみ。

シート間のアームレスト兼コンソールボックスを開けると現れるトランク&フューエルリッドオープナー。いずれも電動式で、トランクオープナーにはマスターキーでのロック機構も付く。このあたりはイタズラ防止を考慮したオープンカーらしい装備といえる。

Z32シリーズで唯一、独立したトランクルームを持つのがコンバーチブル。限られたスペースを有効に使えるよう、トランクリッドの開閉リンクにはパンタグラフ式が採用される。

傾斜がきついフロントウインドウと、腕も脚も前に投げ出すようなドライビングポジションはZならではの世界。存在感たっぷりなVG30DEを意識させられながら、Dレンジを選んで走り出す。さすが排気量3.0L、2000rpm以下でダラダラ走っていてもトルク感に満ち溢れている。今となっては、ワイドレンジな4速ATとのマッチングも良い。

片側2車線の幹線道路に出たところで、信号待ちからアクセルペダルをペタンと底まで踏み付けてみると力強い加速が始まった。まずはトルクでドン! と押し出され、3000rpmからパワーを盛り上げてく。ちょっと粗削りなフィーリングだけど、6000rpmオーバーまで豪快に吹け上がるVG30DE、嫌いじゃない。

もちろん、230psあれば速さだって文句ナシ。ミッションも4速ATでかまわない。もしコンバーチブルにVG30DETTが載っていたとしたら、そのパワーやトルクを受け止めきれないような気がするし、逆にターボパワーを望むならクーペで楽しむ方が安全だ。

スタイリング、速さ、雰囲気、色気…どれもが今でも通用するフェアレディZコンバーチブル。バブル期の傑作車は、これからも魅力的であり続ける。

■SPECIFICATIONS

車両型式:HZ32

全長×全幅×全高:4310×1790×1255mm

ホイールベース:2450mm

トレッド(F/R):1495/1535mm

車両重量:1490kg

エンジン型式:VG30DE

エンジン形式:V6DOHC

ボア×ストローク:φ87.0×83.0mm

排気量:2960cc 圧縮比:10.5:1

最高出力:230ps/6400rpm

最大トルク:27.8kgm/4800rpm

トランスミッション:4速AT

サスペンション形式:FRマルチリンク

ブレーキ:FRベンチレーテッドディスク

タイヤサイズ:FR225/50R16

TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎

●取材協力:O&Tカートレーディング 神奈川県高座郡寒川町倉見814-4 TEL:0467-75-2755

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みんなのコメント

11件
  • 出た当初は、このスタイリングが大嫌いで「フェアレディーバン」とバカにしてましたが、今となっては希少車なんですね。

    でも、やはりZ32はコンバーチブルよりTバー派ですね。
    希少度で選ぶならコンバーチブルより鉄板ルーフの2シーター/5Fターボかな・・・

    実際乗っちゃったらZ32の何乗っても楽しいんですけどね。
  • この時代のデザインを今見ると、素直に「クルマ」という感じがする。良いな。
    このZ、日本人がデザインしている。日本デザインも捨てたもんじゃない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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