F1マイアミGPでは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンは予選でポールポジションを獲得。しかしそれが精一杯で、決勝レースではマクラーレン勢にまったく太刀打ちできず、さらにメルセデスのジョージ・ラッセルにも先行され、4位フィニッシュとなった。
それから2週間。エミリア・ロマーニャGP(イモラ)でフェルスタッペンが駆るレッドブルのマシンは、まるで別物のような速さを見せた。マクラーレン勢の2台を、まったく寄せつかなかったのだ。
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フェルスタッペンはこれで今季2勝目。1勝目は日本GPだったが、あのレースは戦略の自由度が乏しく、オーバーテイクも難しいという中での逃げ切り……フェルスタッペンの腕だけで奪った勝利であるとも言えた。しかし今回のエミリア・ロマーニャGPでは、1周目に首位に立つとその後は影をも踏ませず。1年前の同グランプリと比べて持ち込まれたタイヤが1段階柔らかい状況であったものの、タイヤのデグラデーション(性能劣化)も、マクラーレンより小さかった。タイヤへの攻撃性の強さは今季のレッドブルの弱点と言えたが、それも解消されたように見える。
では、一体何が起きたのだろうか? イモラでのレッドブルの活躍は、ただ予想外だったと片付ければいいのだろうか……それとも、マクラーレンが単に狙いを外しただけなのか?
マクラーレンとレッドブルは共に、欧州連戦の初戦であるエミリア・ロマーニャGPにアップデートを投入した。マクラーレンはマシン後部で発生するダウンフォース量を増やすため、イモラ専用のリヤウイングを持ち込んだ。またレッドブルは、リヤコーナーの空力とサイドポンツーンを最適化……これはマイアミGPでフェルスタッペンのマシンに搭載された新しいフロアの効果をさらに高める狙いがあった。
レッドブルがイモラに持ち込んだアップデートは、ダウンフォースの増加に加え、タイヤの温度をコントロールするのにも役立ったようだ。
これまでフェルスタッペンは、スタート直後こそ好調なペースで走るものの、徐々にマクラーレンに引き離されていってしまうというのが常であった。しかし今回のイモラでは逆。ピアストリの方が先に失速し、わずか14周目でピットインすることになった。
「マシンのパフォーマンスは間違いなく向上し、より良いコンディションに持ち込むことができた」
そうホーナー代表は語った。
「マシンがスライドしないようになれば、タイヤの温度を管理するのもるはるかにうまくできるようになる」
「金曜日、マクラーレンのロングランは非常に速そうに見えた。しかしマクラーレンを引き離し、デグラデーションの面でも優れていたのは、随分と久しぶりのことだ。これは非常に励みになるし、舞台裏で積み重ねてきた努力が実った素晴らしい結果だ」
■コース特性の違いが影響?
ホーナー代表はさらに、「マクラーレンのパフォーマンス不足に驚いた」とも語ったが、マクラーレンのアンドレア・ステラ代表も今回のパフォーマンスに困惑している
「レッドブルの今回のペースには少し驚いた。非常に競争力があったからね」
ステラ代表はそう認めた。
「今回のようなパフォーマンスを発揮したマックスとレッドブルを賞賛したい。スタート直後にオスカー(ピアストリ)とマックスのポジションが入れ替わったことで、今回のレースがほぼ決まってしまった。その後、彼を追いかけようとしたが、結局マックスに勝つだけのレースペースはなかった」
ステラ代表は、イモラのコースレイアウトが今回のパフォーマンスに繋がった要因のひとつであろうと指摘した。イモラのサーキットには高速コーナーが多く、それがレッドブルRB21のマシン特性に、これまでよりも向いていたと考えているのだ。
予選でのGPSデータを見ると、リバッツァの高速左コーナーとほとんどのストレートの後半では、フェルスタッペンはピアストリよりもわずかに速かった。一方でマクラーレンは、コーナーからの立ち上がりでのトラクションと加速の面で、レッドブルよりも優れていた。結果、ピアストリがフェルスタッペンに0.034秒の差をつけ、ポールポジションを獲得したのだ。
「コーナーの速度をマイアミと比べると、全く状況が異なる」
そうステラ代表は説明する。
「マシンの空力マップは、全く異なる領域で作動している。マイアミ、バーレーン、中国といったコースレイアウトでは、我々のマシンが強いことは分かっている。ここイモラのような高速コーナーでは、特にアドバンテージを得られるとは思っていない。だからコースレイアウトとレッドブルの進歩、そのふたつの要因が、我々に大きなアドバンテージをもたらさなかった理由だと思う」
■今後の勢力図は一体どうなる?
ただ今年のエミリア・ロマーニャGPは、路面温度が比較的高かった。こういうコンディションも、マクラーレンが得意としてきた部分。逆にレッドブルは苦手としていたはずだ。しかも前述の通り、今回持ち込まれたタイヤは、C6を含む最も柔らかい組み合わせであった。
その差が解消された理由も、まだ解明されていない。ステラ代表は次のように語った。
「良い質問だね。データを確認し、タイヤの挙動と熱の挙動を確認する必要がある」
レッドブルは、リヤタイヤの温度をコントロールするためのパーツとセットアップを見出すことができたということなのだろうか?
「1週間後にお伝えするよ」
そうホーナー代表は言う。
「全体的な理解が深まっており、技術チームもその点に懸命に取り組んできた。マクラーレンに勝つのは非常に難しいだろうと本気で思っていたのだが、実際に我々のデグラデーションが彼らよりも優れていたことは、非常に安心感を与えてくれた」
「ようやく理解し始めたと思う。アップグレードは、最終的なダウンフォースではなく、特性という部分に集中していた。いくつかの特性については、微妙ながらも、今後のレースに向けて励みになるような修正に成功していることを願っている」
昨年レッドブルはモナコで苦戦した。次戦はそのモナコである。モナコや、その次のスペインGP(カタルニア・サーキットは、高いダウンフォースレベルが求められる)でレッドブルがイモラのような速さを見せれば、2025年のタイトル争いは、マクラーレンの圧勝にはならないだろう。
ただし、スペインGPからはフロントウイングの変形検査が厳格化される予定。これにより、各マシンのパフォーマンスに影響が及ぶ可能性も否定できない。今後の行方を見るには、このスペインGPの結果を見る必要があるだろう。
「いや、自信はどこにもない」
レッドブルの技術責任者であるピエール・ワシェはそう語った。
「日本では競争力があったが、バーレーンとマイアミでは惨敗した。この業界では、当たり前のことなんてないのは明らかだ。彼らは開発を続け、非常に優れたマシンを持っている。我々は、懸命に努力し続けなければいけない」
「今回は大きな改善だったかどうかは分からない。でも、正しい方向に向けた改善だったのは確かだ」
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