現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > トヨタ「プリウス」なぜ人気復活? 飽和状態のハイブリッド市場で“先駆者”が再び注目を集めるワケ

ここから本文です

トヨタ「プリウス」なぜ人気復活? 飽和状態のハイブリッド市場で“先駆者”が再び注目を集めるワケ

掲載 304
トヨタ「プリウス」なぜ人気復活? 飽和状態のハイブリッド市場で“先駆者”が再び注目を集めるワケ

■全面刷新で販売台数が3倍に爆上げ!

 トヨタのハイブリッド専用車「プリウス」は、現行モデルが2023年1月に発売された5代目です。
 
 2023年には1か月平均で8262台を登録しており、この販売実績は前年(2022年)の約3倍となっています。

【画像】「えっ…!」 これがプリウスの「斬新すぎるホイール」です! 画像を見る

 新型車とあって登録台数が増えるのは当然ですが、それにしても非常に多く売れているといえるでしょう。

 しかも現行プリウスの売れ方を見ると、その約10%をPHEV、つまり充電可能なプラグイン方式のハイブリッドが占めています。現行プリウスは、なぜ販売が好調なのでしょうか。

 プリウスが好調な理由について、トヨタの販売店スタッフに聞いてみました。

「現行プリウスは、従来型に比べて、外観が明らかにカッコ良くなりました。エンジンの排気量も従来型は1.8リッターでしたが、現行型は2リッターが主力となり、動力性能も向上しています。

 これらの影響で、今までプリウスを選ばなかったクルマ好きのお客さまも現行型を購入するようになりました。

 下取り車も、例えばフォルクスワーゲン『ゴルフ』などの欧州車が入っています。先代型からの乗り替えも含め、いろいろなお客さまから選ばれて売れ行きを増やしています」

 初代プリウスは、世界初の本格量産ハイブリッド車として1997年に発売されました。その後もハイブリッド専用車として進化を続け、特に2009年に発売された3代目は、トヨタの全店が扱うようになった影響もあり、登録台数が大幅に増えました。

 ところが2015年に登場した4代目は売れ行きが低下。内外装のデザインも不評でしたが、それ以上に災いしたのは、ほかのトヨタ車にもハイブリッドが増えたことです。

 2011年にはコンパクトなハイブリッド専用車の「アクア」が発売され、法人ユーザーを中心に売れ行きを伸ばしました。「カローラシリーズ」や「ノア/ヴォクシー」、「シエンタ」など、トヨタの大半の売れ筋車種でハイブリッドを選べるようになったのです。

 そうなるとハイブリッド専用車のプリウスを買う必要性は薄れます。その結果、ユーザーがいろいろなトヨタ車のハイブリッドに分散され、4代目の先代プリウスは売れ行きを下げたというわけです。

 この時に、ハイブリッドを普及させるというプリウスの使命は果たしたと考えて、廃止する方法もあったでしょう。

 しかしプリウスは伝統あるハイブリッド車ですから廃止は避けたいです。そこで現行プリウスは、もはや当たり前になったハイブリッドの低燃費ではなく「ハイブリッドの付加価値」に注目して開発されました。

 最も重視したのは、機敏に反応するモーター駆動を生かした滑らかで力強い加速です。

 そこで販売店スタッフが話す通り、主力グレードのエンジン排気量を2リッターに拡大しました。エンジンとモーター駆動の相乗効果に基づくシステム最高出力は、2リッターの2WDが196馬力ですから、1.8リッターの140馬力に比べると1.4倍に強化されています。先代型の1.8リッターと比較すれば1.6倍です。

 外観も大きく変わりました。全高は40mm低い1430mmに抑えられ、全幅は20mmワイド化されて1780mmに拡大されています。リアゲートを寝かせた5ドアクーペ風のスタイルへとカッコ良く進化しました。

 全高を40mm下げたことで低重心化され、全幅の拡大と相まって走行安定性も向上。

「滑らかで速い走り」というハイブリッドの付加価値が、カッコいい外観と併せて訴求され、現行型プリウスは、従来型に魅力を感じなかったクルマ好きのユーザーも取り込んだというわけです。

■最上級のPHEVがハイブリッドよりも安く買えるカラクリ

 プリウスは価格も注目されます。2リッターエンジンを搭載する主力グレードの「G」は320万円ですから、1.8リッターを搭載する「X」の275万円に比べて45万円高いです。

 その代わり8インチディスプレイオーディオを始めとするセットオプション(Xのオプション価格は22万7700円)や19インチアルミホイール(同11万2200円)、上級ファブリックのシート表皮(7万2600円)など41万円相当の装備が加わります。

 そうなると価格差の45万円から41万円を差し引いた4万円となり、さらにGは動力性能の高い2リッターエンジンを使ったハイブリッドを搭載していますから、余裕のある走りや充実した装備の割に、価格を抑えて買い得なのです。

 PHEV(プラグインハイブリッド)の機能と価格も注目されます。「PHEV Z」の価格は460万円で、ハイブリッドZの370万円に比べると90万円高いです。

 しかしPHEVでは、申請を行うと補助金が交付され、国からの交付額は55万円です。90万円の価格差の内、半額以上が交付され、実質価格差は35万円に縮まります。

 さらに東京都では、国とは別に55万円(10万円のメーカー別上乗せ額を含む)の補助金も交付しており、合計110万円です。

 補助金交付額が価格差の90万円を上まわり、東京都ではPHEV ZをハイブリッドZよりも20万円安く手に入れられます。

 このように自治体によっては、ハイブリッドとの実質価格が逆転することもあり、PHEVはさらに買い得度を強めたのです。

 しかもプリウスPHEVは、1回の充電により、エンジンを始動させずにWLTCモードで87kmを走行できます。システム最高出力も223馬力ですから、2リッターハイブリッドの196馬力と比べて14%の上乗せです。

 このようにプリウスPHEVは高機能で、なおかつ補助金の活用により、割安に手に入れられます。PHEVの機能と買い得度も、プリウスの人気を高めた秘訣です。

 このほかプリウスは、定額制カーリースのKINTOにも力を入れています。KINTO専用グレードの「U」も用意され、契約後に安全装備などを追加(アップグレード)できるサービスも展開されています。

 こうしたKINTOのアップグレードサービスも、プリウスの登録台数を増やす要因でしょう。

※ ※ ※

 新型プリウスは「ハイブリッド=低燃費」の図式から脱して、外観をほかの車種よりもカッコ良く仕上げ、走りは楽しく、価格は割安に抑えました。

 KINTOなどの利用方法も含めて、知恵と工夫を凝らすことで売れ行きを増やしました。

 今の売れ筋カテゴリーは、実用重視の軽自動車/コンパクトカー/ミニバンで、趣味性を強めても好調に売るにはSUVが限界です。

 全高が1500mmを下まわるセダン/ワゴン/ハッチバックは、全般的に販売が低調ですが、このカテゴリーで成功するには、さまざまな観点から魅力を身に付けることが不可欠で、プリウスはその代表でしょう。

(プリウスは2024年4月17日に後席ドアハンドルの開スイッチの防水性能が不十分とのことでリコールを届け出ており、生産が中止されています)

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

【カブリオレ対決】BMW対メルセデス 6気筒エンジンを搭載するオープントップのM440i xDriveとCLE450のガチンコ勝負!
【カブリオレ対決】BMW対メルセデス 6気筒エンジンを搭載するオープントップのM440i xDriveとCLE450のガチンコ勝負!
AutoBild Japan
トヨタ「和製スーパーカー」がスゴイ! 約500馬力「直6」風エンジン搭載&“スケスケ”な超ロングノーズ仕様! ワイドでカッコイイ「FT-1」とは?
トヨタ「和製スーパーカー」がスゴイ! 約500馬力「直6」風エンジン搭載&“スケスケ”な超ロングノーズ仕様! ワイドでカッコイイ「FT-1」とは?
くるまのニュース
2025年は車を買う! でもどれにする?…スライドドア付き軽自動車・予算別ガイド、3ゾーン48車種
2025年は車を買う! でもどれにする?…スライドドア付き軽自動車・予算別ガイド、3ゾーン48車種
レスポンス
いつ見てもかわいいレトロデザイン!! 超小型車 フィアット新型「トポリーノ」は欧州で大人気! ネットに続々寄せられる熱い思いとは
いつ見てもかわいいレトロデザイン!! 超小型車 フィアット新型「トポリーノ」は欧州で大人気! ネットに続々寄せられる熱い思いとは
VAGUE
ラリージャパンで国沢光宏が躍動! 二つの顔を持つ紳士がルーテシア ラリー5で激走
ラリージャパンで国沢光宏が躍動! 二つの顔を持つ紳士がルーテシア ラリー5で激走
ベストカーWeb
『危ねぇ知らなかった!』危険回避! 知らないと怖いブレーキパッドの交換タイミング~カスタムHOW TO~
『危ねぇ知らなかった!』危険回避! 知らないと怖いブレーキパッドの交換タイミング~カスタムHOW TO~
レスポンス
ソニー、移動をエンタメに変える「MR Cruise」事業化…あらゆる車両に搭載可能に
ソニー、移動をエンタメに変える「MR Cruise」事業化…あらゆる車両に搭載可能に
レスポンス
「前を走るパトカー」“追い越し”て大丈夫? 抜かす派VS抜かない派で賛否両論!? 「やっちゃダメ」な要注意項目とは
「前を走るパトカー」“追い越し”て大丈夫? 抜かす派VS抜かない派で賛否両論!? 「やっちゃダメ」な要注意項目とは
くるまのニュース
日本人初の快挙! moto2チャンピオン小椋藍がトライアンフ トリプル トロフィーを受賞
日本人初の快挙! moto2チャンピオン小椋藍がトライアンフ トリプル トロフィーを受賞
バイクのニュース
【10年ひと昔の新車】ボルボ V60 オーシャンレース エディションは、世界一周ヨットレースを記念したスペシャルバージョン
【10年ひと昔の新車】ボルボ V60 オーシャンレース エディションは、世界一周ヨットレースを記念したスペシャルバージョン
Webモーターマガジン
孤高のミニバンSUV、デリカD:5に「BLACK Edition」新登場、定番の「CHAMONIX」には新たに8シーターを設定
孤高のミニバンSUV、デリカD:5に「BLACK Edition」新登場、定番の「CHAMONIX」には新たに8シーターを設定
カー・アンド・ドライバー
ダイハツの「“すごい”コペン」登場! 軽規格超えた「ワイドフェンダー」×770ccエンジン搭載! 2L並みパワーでめちゃ速い「デカいコペン」 どんなマシン?
ダイハツの「“すごい”コペン」登場! 軽規格超えた「ワイドフェンダー」×770ccエンジン搭載! 2L並みパワーでめちゃ速い「デカいコペン」 どんなマシン?
くるまのニュース
トヨタの「高級スポーティミニバン」がスゴい! 「走りが楽しい」反響多数!? 王道「アルファード」と異なる「個性」に注目! ヴェルは何が違う?
トヨタの「高級スポーティミニバン」がスゴい! 「走りが楽しい」反響多数!? 王道「アルファード」と異なる「個性」に注目! ヴェルは何が違う?
くるまのニュース
「スゴい事故」発生も…「夏タイヤ履いてるなんて信じられんッ!」 批判の声多数! 夏タイヤで雪道走ると違反? 正しい交換時期の目安とは
「スゴい事故」発生も…「夏タイヤ履いてるなんて信じられんッ!」 批判の声多数! 夏タイヤで雪道走ると違反? 正しい交換時期の目安とは
くるまのニュース
ついにその瞬間がやってきた!!!!! シビックベースの70年代風GTカー[ミツオカM55]が限定100台800万円で販売!!!!! 即売必至か?
ついにその瞬間がやってきた!!!!! シビックベースの70年代風GTカー[ミツオカM55]が限定100台800万円で販売!!!!! 即売必至か?
ベストカーWeb
「富士山登山鉄道」断念、でも代わりは“トラム”なの!?  後継には「電動連節バス」しかない3つの理由
「富士山登山鉄道」断念、でも代わりは“トラム”なの!? 後継には「電動連節バス」しかない3つの理由
Merkmal
入場無料! [レクサスRZ]に[新型アウトランダーPHEV]も!! 千年の都が舞台[京都モビリティ会議]が12月7日(土)にやってくる
入場無料! [レクサスRZ]に[新型アウトランダーPHEV]も!! 千年の都が舞台[京都モビリティ会議]が12月7日(土)にやってくる
ベストカーWeb
FIA F2参戦のロダン、最終戦でFIA F3王者フォルナローリを起用。フォーミュラE参戦のマローニの代役
FIA F2参戦のロダン、最終戦でFIA F3王者フォルナローリを起用。フォーミュラE参戦のマローニの代役
AUTOSPORT web

みんなのコメント

304件
  • ********
    roo********って人、自作自演で嘘ばっか書いて
    セルフポチで負けそうになると消しては書き込み。
    可哀想な人生だよねぇw
  • ド田舎の底辺リーマン君へ^ ^
    『クラウンスポーツはフェラーリプロサングエの劣化コピー』説を躍起になって否定する人は間違いなくど田舎の人間だろう。

    幼少から祖父や父親に「やっぱトラクターはクボタ、車はトヨタが一番だべ」とか「いつかはクラウンってのが夢だべなぁ」などと叩き込まれているので、トヨタや、フラッグシップであるクラウンが最高と信じて疑わない。
    (所得が低いので実際に所有しているのはヤリスやライズ等だが)
    都心5区では普通に走っているアストンマーティンやマセラティ等は生まれてこのかた一度も見た事もなく、中流程度の世帯なら独プレミアム3の所有は当然という状況など想像もつかない環境だから、仕方ないと言えば仕方ないのだが。

    そんな「オラがトヨタ様」が他社デザインをパクるなど死んでも認めることは出来ないのだろう。

    狭い世界の中で田舎ナンバーをぶら下げたトヨタ車を最高と信じて疑わない人生を送る********が哀れでならない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

275.0460.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

0.0789.0万円

中古車を検索
プリウスの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

275.0460.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

0.0789.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村