大注目の新型ムーヴはスライドドアで大躍進か?
2025年上半期の軽自動車販売台数1位は、ホンダ「N-BOX」。2024年は前年比89.1%とややその販売台数に落ち込みが見られたものの、2025年4月のマイナーチェンジで外観に磨きをかけ、上半期前年比102.7%(10万3435台)まで押し戻した不動のトップランカーだ。
【試乗】かっこいいスライドドア軽できました! 新型ダイハツ ムーヴは「走りよし」「使い勝手よし」の「こんな軽ほしかった」なクルマだった
ちなみに2位はスズキ「スペーシア」(8万4322台)で、3位はダイハツ「タント」(6万5632台)。こうして見るとトップ3はすべてスーパーハイトワゴンだが、なんと4位には今回の主役ダイハツ「ムーヴ」がランクイン。
ここにはもちろん新型車発売の勢いが後押ししており、冷静に見れば5万864台という数字がN-BOXの半分にも満たないとも言えるが、それでも6月の発表からわずか1カ月で約3万台の受注を獲得し、1万2765台を売り上げた勢いは見逃せない。
果たしてこの人気は一過性なのか? それともムーヴ初のスライドドアを得たことで、ハイトワゴンの魅力が際立ったか。今回はハイトワゴン、スーパーハイトワゴンそれぞれのライバルと比較しながら、その魅力に迫ってみたい。
素性の良さを感じるムーヴとセッティングの妙が光るデイズ
新型ムーヴを走らせてまず感じるのは、ボディのしっかり感だ。ついに投入された新世代プラットフォーム「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)」は高いシャシー剛性と軽さを備えており、スライドドアの弊害もほぼ感じられない。
そしてこのボディのおかげで、適度に引き締まったアシがよく動く。ターボモデルならもう少しパワステを落ち着かせてもよい気はするが、ターンインにおける姿勢変化は極めて自然。ブレーキのタッチも今回のなかで一番明確だから、旋回姿勢が作りやすい。段差を乗り越えれば入力を素早く減衰し、じつに気持ちよく走ってくれる。
対する日産デイズは、2019年の登場ということもあってか、比較すれば剛性感は軽自動車の水準だ。しかし必要以上にバネ・ダンパーを固めず乗り心地を確保しながら、ロールスピードの速さを利用してスムースなハンドリングを実現しているのはさすがであり、ハイトワゴンの重心の低さも上手に使って走りをまとめている。
パワーユニットはどちらも64馬力/100Nmと出力は同数値だが、各々キャラが違う。ムーヴは低速域で静粛性が高く、3000rpmを超えてからスカッ! とまわるタイプ。対してデイズは低速からトップエンドまでの全域で滑らかで、こうした部分にマイルドハイブリッドのアシストが効いているのかもしれない。ちなみに燃費は、電動化されていないムーヴもほぼ変わらない。
しっとり上質なN-BOXとキビキビした走りのムーヴ
N-BOXを運転すると、その広々とした車内空間と、軽自動車らしからぬどっしりとした乗り味にいつも驚かされる。電動パワステの操舵感は適度に重たくしっとりしており、ストローク感たっぷりな足まわりとの連携も素晴らしい。段差を乗り越えれば路面からの突き上げをブレなく吸収し、カーブでは高いルーフの動きを初期で確実に抑え込みながら、その後はゆっくりとロールさせていく。もはやその質感は軽自動車の枠を飛び越えて、乗用車然としている。
とはいえハンドリングの気持ちよさでは、ムーヴに軍配が上がる。ホンダ仕込みのシャシーは確かに恐ろしいほど懐深く安定しているけれど、旋回Gが高まるほどにロールも深まるN-BOXに対し、切り返しも含めムーヴは身軽だ。
そしてエンジンも、ムーヴのほうがメリハリがある。N-BOXは全体的には静かだが、常用域から低音がうっすら鳴っており、アクセルレスポンスも若干もっさりしている。ただしパドルシフトがあるから、とっさの加速やエンブレの得やすさといった、トータルバランスで肩を並べている。
こうした走りの違いには135mmにもなるルーフ高の差と、50kgの車重差が少なからず関係している。ちなみに燃費性能もムーヴRSが21.5km/Lと、わずかだがN-BOXの20.5km/Lよりいい(ともにWLTC値)。走りにおいては、しっとりした上質感が欲しいならN-BOX。キビキビ感を楽しみたいならムーヴがオススメだ。
「高いルーフは正義」という常識を覆す新型ムーヴ
ターボエンジンとマイルドハイブリッドを搭載し、スライドドアとルーフ高以外のユーザーが求める要素をそつなく満たす日産デイズ。そして電動化以外のすべての条件を高水準で揃え、走りの質感とともに軽自動車トップの座に君臨するホンダN-BOX。この2台と比べてわかったムーヴの魅力は、「シンプル・イズ・ベスト」だ。
ターボエンジンを搭載する上級グレードのRSを指してシンプルかという意見はあるはずだが、電動化を見据えた骨太なDNGAプラットフォームの重量増を考えれば、これがハイスタンダードなチョイス。もし今後「eスマートハイブリッド」がムーヴに搭載されたとしても、むしろ価格・速さ・軽さのバランスがさらに際立つだろう(それよりターボがディスコンにならないことを願うばかり)。
そんなムーヴRSは、ズバリ「子育て世代」以外のユーザーにオススメだ。子育て世代でも車内での子どもの着替えや、塾帰りの自転車を積む必要がなく、「背が高いほうが広くていいかな?」というふんわりした理由でスーパーハイトを選ぼうとしているなら、ぜひ一度運転してみてほしい。しっかりしたボディと”スーパーじゃない”ルーフのおかげで、ムーヴはキビキビ走る。カーブでも安定していて、横風にも強い。普段は静かで踏めば応えるエンジンは、21.5km/Lの燃費性能を発揮する。そして「本当に高いルーフ、必要だったのかな?」と感じてもられるのではないかと思うのだ。
※本記事は雑誌「CARトップ2025年10月号」の記事を再構成して掲載しています
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みんなのコメント
ウェイクは子育てというよりも軽1BOXのエヴリイワゴンからの乗り換えで、まさに「高いルーフは正義」でバカみたいに荷物が積めます。FFだから荷室が低く積みやすいし、FRのエヴリイワゴンより格段に燃費がいい!スーパーハイト軽は貨物として絶対必要だと思いますね。
ガラス面も大きくバイザー下ろしても眩しく夏は輻射熱が入り込み暑い