京都にオープンしたゴールドウイン関西初のフラッグシップショップは「風」の寓意性に富んだユニークな店舗になっている。設計を担当した新素材研究所の榊田倫之のコメントとともに、本店を案内しよう。
自然と都市を循環する「風」を空間から想像する学者ライアル・ワトソンは著書『風の博物誌』の中で、「風」を表すアラビア語「ruh」は「息」や「霊」、ヘブライ語の「ruach」は「創造」や「神性」、ギリシア語の「poeum」になると魂をかたち作る「物質」をも暗示することを示し、風の寓意性、そしてそれが長く人間の文化や社会、自然観に大きな影響を与えてきたことを述べた。
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先日オープンしたゴールドウイン 京都も、まさに「風」へのイマジネーションを豊かに喚起させる空間になっていて興味深く、そして何より心地良い。
設計を手掛けたのは、現代美術作家の杉本博司と建築家の榊田倫之が率いる新素材研究所。今回は、榊田がプロジェクトチームを率いた。
「もともとこの建物は、1、2階が経師屋(きょうじや)の工房として使われていたもの。間口は狭く奥へと長く、まさに京都特有の“鰻の寝床”のような作りで、奥には典型的な坪庭がある、採光や風通しに配慮された構成になっていました。この建築的な特徴を活かすことが、まず店舗づくりとしては大切であると考えました」と榊田は述懐する。
驚くのは、「見立て」を含む、意匠的な工夫を施しながら、この“鰻の寝床”のように細く長い建築空間を、風の寓意性に富んだ新しい空間へと変えてしまったことだ。
入り口の前庭から坪庭までは、正方形の花崗岩を連続して敷き詰め、一本道のように。その石畳の道を風がすっと通り抜けていくようなイメージを空間が呼び起こす。坪庭に置かれた、斜めに切り取られた庭石は、スキーのジャンプ台を見立てたもの。入り口から坪庭までやってきた風がここで空へとジャンプし舞い上がる、そうやって風が、都市と自然をつなぎ、循環していくーーそんな風の物語をフロア全体で表現した。
「風」というコンセプトは、言葉遊びのように「風化」へと転じ、本店の細部に反映されているのも面白い。石や木、竹や紙といった自然素材、またファサードを飾る銅板やショップ前の目隠しに使われているコールテン鋼など、時間の経過とともに味わいを増す素材が、ショップ空間を彩る。
国内では初の試みとして、2階はゆっくりと買い物が楽しめるサロンスペースに仕上げた。「その床に敷かれたカーペットも、風に柳が揺れるさまをイメージしてデザインしたもの。ハンドタフテッドで織られたカーペットは厚みがあり踏み心地が良く、歩くことで視覚的に揺らぎを感じ、風を意識したデザインであることを感じ取ってもらえると思います」(榊田)
また、節をあえてランダムに配置した坪庭の竹垣や、同様に節を見せるようにデザインした格子戸も、こうした風の揺らぎを暗示させる。
こうした設えの中で、榊田が「本店の象徴の1つ」と語るのは、店内に入ってすぐの場所に置かれた本御影石の蹲(つくばい)だ。
通常は目玉商品を並べる重要なスペースに、こうした商品ではない蹲を据えたのは、榊田のアイデア。「その提案をした時、ゴールドウインのみなさんが驚き、また喜んでくださったことが特に記憶に残っています。この時に、改めて単なる洋服店をつくっているわけではない、協業するパートナーとして日本的な美や文化的な価値を共有できるという喜びを感じることができました」と振り返る。
なお、この蹲は、ゴールドウインという企業にとっても象徴的な存在になっている。というのもゴールドウインは、創業の地・富山にネイチャーパーク「Play Earth Park Naturing Forest」を作るプロジェクトを進めているが、蹲に植栽されているのは、建設予定の富山の森から運んだ植物。風が循環し、都市と自然をつなぐこのショップで、小さな森がゆっくりと育っていくのである。
京都という場所性、風というコンセプトをどうデザインに落とし込んだのか。榊田に改めて問うと、こう答えた。
「京都らしい空間構成を残すこと、それは自然の光や風を空間に取り込むことだと考えています。坪庭に光が溜まるとお店のフロントから奥への期待感が湧いてきます。また、風は空間を清らかに感じさせるし、またお客様を店内へと導いてくれます。蹲に施された植栽は、風によって揺らぎ、緑が室内へ潤いを与えてくれます。まさに自然の現象が店内を心地よく保ち、うまく作用してくれているのです」(榊田)
アート作品やオープン記念の限定アイテムもなお、1階の坪庭を抜けたスペースはギャラリーに。現在は、写真家・顧剣亨の作品が飾られている。顧は、森や都市を定点撮影した何枚もの写真を、縦横1ピクセルの幅に切り出し、それらを編むように配置しイメージを生み出していく独自の技法「デジタルウィービング」で知られる若手作家のひとりだ。
また、1階のレジカウンターには、同じく今後の活躍が期待される作家・木村亜津の作品も。自然の麦の穂を素材にした木村の立体作品は、風をコンセプトにした空間に優しくマッチする。
京都の「履物 関づか」とコラボレーションした京都店限定の雪駄も注目した。これは、海外からのビジターも多い京都で、日本人が履物文化の中で育んだ素足の快適さを世界の人に知ってもらおうと企画されたもの。疲れた足をリラックスさせる旅中のアイテムとしても喜ばれている。
なお、6月21日(土)には丸の内店も移転リニューアル。以降、ロンドン、ソウル、ニューヨークにも直営店をオープンする予定だ。それらも新素材研究所が設計を手がける。
ゴールドウイン 京都住所:京都府京都市中京区坂井町460番 営業時間: 12:00~19:00(月~金曜)、11:00~19:00(土・日曜、祝日) TEL:075-222-2228 IG:@goldwin_kyoto https://www.goldwin-global.com
文・松本雅延
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