12月8日、全日本スーパーフォーミュラ選手権の合同テストの2日目午前のセッション3が三重県の鈴鹿サーキットで8時30分から行われたが、その走行終了後メインストレート上で、スーパーフォーミュラに参戦するチーム、ドライバーたちが集まり、2021年限りでの現役引退を発表した中嶋一貴に、ドライバーたちからの発案で、感謝の花束を贈呈するセレモニーを行った。
東京・お台場のMEGA WEBで12月6日に行われたTOYOTA GAZOO Racingの2022年体制発表会のなかで2021年限りで引退を発表した一貴は、12月7日にスタートしたスーパーフォーミュラ鈴鹿合同テストにROOKIE Racingから請われるかたちで参加。7日午前のセッション1、そして8日午前のセッション3がスーパーフォーミュラでの“ラストラン”となった。
SF鈴鹿合同テストで中嶋一貴が“ラストラン”へ。「乗れる機会をいただけたのはありがたいこと」
F1参戦を終えた後の2011年から当時のフォーミュラ・ニッポンに参戦を開始した一貴は、2012年、2014年にチャンピオンを獲得しており、これまで二度の王座に輝いた実績をもつ。その後もWEC世界耐久選手権、スーパーGT等の活動とともにスーパーフォーミュラへの参戦を続けていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2021年は2戦の参戦に留まり、ツインリンクもてぎでの第6戦が最後のレースとなっていた。
そんな一貴は、ROOKIE Racingのパフォーマンスアップに協力するために12月7~8日の鈴鹿合同テストに参加し、8日午前のセッション3がスーパーフォーミュラSF19でのラストランとなった。コース上に雨が残るハーフウエットでスタートしたこのセッションでは、途中からドライに転じるなかで46周をこなし、1分38秒112というベストタイムをマーク。16番手で国内最高峰フォーミュラのステアリングを置いた。
走行後、鈴鹿のストレートでは一貴の実戦での最後のレースカーとなったKuo VANTELIN TEAM TOM'Sの36号車がジュリアーノ・アレジのドライブでそのままストレート上に停止。それを囲むようにスーパーフォーミュラをともに戦ったライバルたち、そしてチーム関係者、ヨコハマのスタッフが集い、Kuo VANTELIN TEAM TOM'Sから2022年を戦う宮田莉朋、アレジから一貴に花束が贈呈され、宮田とアレジ、そしてドライバーを代表してFRDA会長の山本尚貴から感謝の言葉が伝えられた。
そして一貴はサプライズで多くの関係者が集った光景に驚きながらも、「最後にこうしてテストの機会をいただき楽しめましたし、改めて挨拶する機会をいただき感謝しています。走行が終わったばかりの忙しいタイミングなのにこうして集まっていただき感謝しています。現役生活に悔いはなく送れたと思っていますし、これからもモータースポーツ界に貢献していきたいと思います」と挨拶。珍しくうっすらと涙を浮かべた。
写真撮影の後はドライバーたちによって胴上げも行われ、一貴はテストに訪れたファン、そして仲間たちとともにラストランを締めくくった。
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