■トヨタも市場参入へ 電動車いすが売れ行き好調
「恐竜の街」としても知られる福井県・勝山市。その市街中心部で2019年10月27日に、12台の「ハンドル形電動車いす」がパレードをおこないました。歩道や横断歩道を通過して、約1.4kmの行程を約20分間かけて走りました。
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最近、高齢者が免許返納した後の移動手段としても注目が集まっていて、売れ行きも伸びているというハンドル形電動車いすですが、じつは意外な課題も存在するといいます。いったい、どういうことなのでしょうか。
ハンドル形電動車いすは、最高速度が時速6キロで、道路交通法では歩行者扱いであることから、運転免許が無くても運転することができる乗り物です。
電動車いす安全普及協会によると、ハンドル形電動車いすの販売台数は、2013年に直近10年間ではもっとも少ない1万2663台を記録したものの、その後は上昇傾向となり、2018年の販売台数は1万8763台を記録しました。販売台数のうち、約半分をスズキのモデルが占めています。
そして、2019年はより売れ行きが好調になっているといいます。スズキ本社の関係者に話を聞くと、「池袋での高齢ドライバー事故などがあった2019年の春過ぎから、一気に販売が伸びました。2018年より3割増のペースで生産が追い付かないほどです」と話します。
また、福井のスズキ販売店関係者は「新規需要は80代後半が中心です。免許返納するまでクルマに乗って、その後にこれに乗り換える人が多くいます」と地域の実情を教えてくれました。
さらに、注目されるのがトヨタの動きです。東京モーターショー2019でも出展されていましたが、歩行領域EVというカテゴリーとして、立ち乗り形、車いす脱着形、そしてハンドル形電動車いす、という3種類を2020年から2021年にかけて市場投入することが決まり、公道での実証試験も始まりました。
このように、いま注目されているハンドル形電動車いすですが、前述のようにまとまって公道でパレードをおこない、しかも、老若男女が一斉に乗るという試みは全国で初めてです。なぜ、全国初なのでしょうか。
もっとも大きな理由は、ハンドル形電動車いすが、法的にも、また社会的な認識においても宙ぶらりんな存在だからです。
元々は、身体に不自由がある人の移動をサポートすることを目的として考案されましたが、後に、少し足腰が弱ってきた高齢者も対象に含むようになりました。
そして、健常者が観光目的で使用することや、今回のパレードにも参加したような学生や子どもなどが使用することについては、現行の道路交通法では明確に禁止とも許可するとも触れていません。
そもそも、道路車両運送法では車両として扱われません。製造者に向けた規定としては、日本工業規格(JIS)で、全長、全幅、全高や、登坂走行性能などが決まっているだけです。
ということで、ハンドル形電動車いすは、高齢者向けとして需要は高まっているにもかかわらず、法的な面や、また社会における立ち位置などにおいて宙ぶらりんな存在なのです。
だから、地元警察や自治体に対してしっかりと説明をしたとはいえ、公道で老若男女がハンドル形電動車いすでパレードをおこなうことは、前代未聞の出来事なのです。
■女子高校生や元議員も電動車いすを体験! 異例ずくめのパレードが開催
福井県・勝山市でおこなわれたパレードには、12台のハンドル形電動車いすが持ち込まれました。車種は、スズキやホンダの新旧モデル、ベンチャー企業が開発した車両などさまざまです。
パレードには元県議会議員、地元の女子高校生、自動車メーカー関係者、地元銀行関係者などが参加しました。筆者(桃田健史)も勝山市内のホンダ販売店で個人的に購入したホンダ「ML100」を持ち込んでいます。
今回、パレードをおこなった勝山市は高齢化が深刻な社会問題になっています。いまから5年後の2025年には、働き手と高齢者の数はほぼ同じになると推測されていて、高齢者に対する介護、または高齢者の普段の足について、本気で考えなければならない状況にあります。
そうしたなかで、地元の開業医・深谷憲一氏が中心となり「ケア・ブレイクかっちゃま」という活動の一環でパレードを企画しました。高齢者になる前にハンドル形電動車いすに乗ることに慣れておこう、そしてそうした乗り物が町中を走ることを市民に認識してもらおう、という試みです。
筆者は、勝山市に隣接する永平寺町で特命任務のエボリューション大使を務めており、ハンドル形電動車いすの社会受容性について、鉄道・バス・物流・観光・介護などの関係者と議論を進めていることもあり、パレードに参加しました。
また地方における動きがあるだけではなく、経済産業省は2019年夏から、ハンドル形電動車いすや電動アシスト自転車など、小さな移動体について「多様なモビリティ普及推進会議」として有識者会議を開催して、規制緩和や社会受容性について議論をしています。
筆者は、今後も次世代のパーソナルモビリティの在り方について考え続けていかなければならないと感じます。
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