KTM X-BOW GTX
KTM クロスボウ GTX
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大幅なスペックアップを果たしたX-BOW GTX
いよいよ2021年シーズンがスタートしたスーパー耐久。3月20・21日に開催されたラウンド1「もてぎスーパー耐久 5Hours Race」を皮切りに、ラウンド2はスポーツランドSUGOでの3時間耐久を2レース、ラウンド3は富士スピードウェイの24時間耐久、ラウンド4はオートポリスでの5時間耐久、ラウンド5は鈴鹿サーキットで5時間耐久、ラウンド6は岡山国際サーキットで3時間耐久を2レースの、全6戦で競われる。
2021年シーズンはハンコックタイヤを公式サプライヤーに迎え、この新しいタイヤにどう対応するかもシーズンの行方を左右する大きな要素になっている。その試練は早速ラウンド1で訪れた。予報通り決勝はウェットコンディションでレースは進み、コースアウトやスピンを喫するマシンが続出する荒れた展開のなか、残り1時間を残してレースは終了した。
この2021年シーズンの第一戦では、ポルシェやアストンマーティン、メルセデスAMG、マクラーレンなどのGT3マシンが覇を競うなか、ホワイト×グリーンのマシンがひと際衆目の関心を集めていた。2020年スーパーGTで活躍したSGT エヴォーラを彷彿とさせるカラーリングを纏い、チーム「シンティアム・アップル KTM」からエントリーしたKTM X-BOW GTXだ。市販車ベースのST-1クラスに参戦し、他を圧するスピードで見事初陣を飾ったこのユニークなモデルを、モータージャーナリストの山田弘樹氏がシーズン直前に取材。2020年シーズンのX-BOW GT4から大幅な進化を遂げたX-BOW GTXの速さの秘密について迫った。
ボディのサイズアップに合わせてエンジンパワーをアップ
2月26日(土)、富士スピードウェイで今季スーパー耐久の公式テストが開催。ここに、KTMが新たに開発したスーパースポーツ「XーBOW GTX」が姿を現した。2月7日のプライベートテストでは、まだカーボン地が剥き出しだったそのボディは、今回チーム「SYNTIUM APPLE KTM」として鮮やかなカラーリングをその身にまとっていた。
このマシンを持ち込んだのは、KTMカーズジャパンチーム。Aドライバーに飯田太陽選手、Bドライバーに高橋一穂選手、Cドライバーに加藤寛規選手というプロ・アマ混合の布陣である。
さて肝心なX-BOW GTXだが、その外見を見るとこれまでのX-BOW GT4とは、その印象が大きく異なっているのが分かる。まずそのボディサイズは、全長×全幅×全高は4626×2040×1140mm、ホイルベースは2850mmと、GT4のディメンション(4112×1933×1140mm、ホイルベースは2599mm)に比べて大幅にサイズアップを果たている。ちなみにその乾燥車重は、GT4の975kg(レース時はここにBoPウェイトが追加される)に対して、1048kgとアナウンスされている。
530hpを発生するアウディ製2.5リッター直5を搭載
そしてこのサイズアップに合わせ、搭載エンジンにもポテンシャルアップが施された。サプライヤーがアウディであることはこれまで通りだが、その中身は2.0リッター直列4気筒TFSI(360hp/500Nm)から、アウディ TT-RSやRS 3/RS Q3に搭載される2.5リッター直列5気筒TFSIにスイッチ。その出力は530hp/6500rpm、最大トルク615Nm/2500-4500rpmにまで高められたのである(共にレース用燃料使用時。またこの出力も各レースのBoPによって調整)。
ただしX-BOWのコアとなる、カーボンモノコックはこれまで通りで、ボディサイズの延長はリヤ・サブフレームの追加で行っているようだ。そしてなんとも面白いのは、この直列5気筒が、GT4と同様に横置きでミッドマウントされていることだった。というのもエンジンルームを見てみると、その延長されたホイールベースに対して、エンジンはかなり後方に搭載されている。言い換えればバルクヘッドからエンジンまでのデッドスペースが、かなり大きいのである。
本来ならばこの有効スペースを使って重量マスを車体中央に集中させ、運動性能を高めるのが常套手段のようにも思える。しかしそれにはエンジンの縦置き・横置きに限らず専用のギヤボックスが必要となるし、ロードカー用のパワートレイン制御としても、アウディのノウハウを使える方が何かと便利だからではないか? と筆者は感じた。そう、このGTXはロードカー「GT2」が、本来の姿なのだ。だから今回のエントリーでKTMカーズジャパンは、市販車ベースとなるST-1クラスにGTXをエントリーしているのである。
ロードカーに近いマシン特性になったGTX
チーフエンジニアを務める渡邊信太郎氏も、X-BOW GTXはかなりロードカーの性格が強いと語っている。
「このマシンはKTMが、純粋なレーシングカーというよりもハイパーカーやスーパースポーツカーと呼ばれる高級スポーツカーを市販したくて作った結果なのだと思います。エンジンの搭載位置は確かに独特ですが、これはアウディのシステムをそのまま使いたかったからでしょうね。そしてバルクヘッドからエンジンまでの床面には、燃料タンクが低く搭載されています。オイルの潤滑方式はドライサンプではありません」
「その空力特性も実戦的なレーシングトレンドからは外れていて、量産車に近いキャラクターです。純粋なレースカーのようには車高も下げられないですし、キャンバーもあまりつかない。エンジニアとして一番気になるのはダンパーですね。特にフロントはサイズが細くて、減衰力調整も伸び側メインの、単純なものが着いています。ワンメイクレースであればそれもいいのですが、一般的なレースで走らせるとなると、ちょっとポテンシャル不足ですね。そして汎用のレーシングパーツがすんなり使えない。いまはこうした部分を洗い出して、クルマの理解を深めている最中です」
なるほど超ワイド&ローな車体、ドアを持たない奇抜なキャノピー構造など、素人目にはLMPカーやCカーを彷彿とさせるX-BOW GTXだが、その成り立ちはあくまでロードリーガルを前提としたハイパースポーツだったというわけだ。
「とはいえそれは、レーシングカーじゃないから当然なんです。そして実際にこういうスポーツカーを販売するのであれば、カッコいいことは大切だと思いますよ! それに車体の軽さやパワーなど基本の特性は良いですから、スーパー耐久のような量産車のレースであればいい戦いができると思います」
マクラーレンやポルシェに乗っているフィーリング
となると気になるのは実際の走りだが、これをドライブした加藤選手も、予想以上にその操縦性が穏やかだったと語った。
「これ本当にナンバー付くの!? という見た目なんですけれど、実際に乗ると全然ピーキーじゃない(笑)。そういう意味では、プロとアマチュアの差がすごい少ないマシンんじゃないかな。普通にポルシェとか、マクラーレンに乗っている感じですよ」というのである。では、少なくともGT300の、SーGTエヴォーラのような感じでは・・・。
「いやいや、全然違います。昨年まで走らせていたX-BOW GT4と比ても、ボディが大きくなった分動きはややだるめ。だから耐久レースには向いているでしょうね。セッティングの方は去年からのデータやKTMからのデータがあるし、渡邊チーフも既に方向性をつかんでいるので、割と早く詰めることができました。KTMが乗用車として売りだそうとしているので、このレース活動がいいプロモーションになるように、がんばりたいと思います。でもこれがコンビニにいたら・・・ビックリしますよね」
と、その見た目にも好感度を抱いていた。
乗りやすさは際立つがコーナーの立ち上がりに注意
ではジェントルマンドライバーにとって、その性能はどう映ったのだろう? まず高橋一穂選手は「思ったよりも乗りやすいですよ! でもタイムは出ないけど(笑)。ターボの低速トルクが太いから、立ち上がりでアクセルワークを丁寧にしないといけないですね。マシンが軽いからタイヤのライフや燃費で、ライバルよりも取り分があると思います。そういう意味では去年と戦い方は変わらないかな」と、その印象を語った。
かたや飯田太陽選手は「去年のマシンと比べてパワーが上がっている分、乗りやすさが増しました。ただ立ち上がりはターボのトルクが盛り上がるので、タイヤがたれた時は気をつけないといけないですね。そして進入も、詰め過ぎるとまだリヤが不安定な部分もあります」と、そうは言っても詰めていくほどに難しさと走り甲斐があることを教えてくれた。
またコクピット環境については「まだ視界が慣れないですね。あとこのクルマはサイドミラーがモニターなんですよ。だから実際の距離感をつかむのに、ちょっと苦労しています」と、X-BOW GTXの独特な雰囲気を伝えてくれた。
ライバルとの差は僅かであり好バトルを期待
ちなみにこの日の走行は、セッション1で1分46秒825のタイムを出してST-1クラスのトップ、全体でも5番手に。ライバルである♯38 TRACY SPORTS トヨタGRスープラ(セッション3:1分47秒316)との差は僅かであり、シーズンは好バトルが期待できそうだ。
そして総合では、ST-Xクラスの♯290 Floral Racing With ABSSA マクラーレン720S GT3が1分39秒742をマークしてトップに立った。
スーパー耐久の開幕は「もてぎスーパー耐久 5Hours RACE」。そして今シーズンは国内主要サーキットにおいて、全6戦の開催が予定されている。
REPORT/山田弘樹(Kouki YAMADA)
PHOTO/エルシーアイ、GENRO Web
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