韓国から上陸したヒョンデのインスターは、5ナンバーサイズに収まるミニマム&スモールサイズのEV(電気自動車)だ。WLTCモードによる航続距離は最大458km(49kWhバッテリー搭載のボヤージ、ラウンジ)を誇っている。
そんなインスターの概要、詳細については、すでにこの@DIMEで報告しているが、今回は横浜みなとみらい周辺の一般道と高速道路で試乗することができた。
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トヨタ・ライズ、ダイハツ・ロッキーよりもコンパクト
試乗したのはベースグレードの「カジュアル」(42kWhバッテリー、97ps、15.0kg-m。284.9万円)、「ボヤージ」(49kWhバッテリー、115ps、15.0kg-m。335.5万円)、「ラウンジ」(49kWhバッテリー、115ps、15.0kg-m。357.5万円)と揃うラインナップの中で、最上級グレードとなるトムボーイカーキと呼ばれるボディカラーを纏った「ラウンジ」(駆動方式はすべてFF)だった。ボディサイズは全長3830×全幅1610×全高1615mmと、トヨタ・ライズ、ダイハツ・ロッキーよりもコンパクトで、最小回転半径5.3mと小回り性、駐車性も日本の道に合っている。
ステアリングコラム右側に生えたシフトレバーをDレンジに入れ、韓国の右側通行、左ハンドル仕様から改められ、日本仕様として右側に移されていたウインカーを操作して走り出せば、もちろん、EVらしく静かで滑らかに速度を上げていく。ボディの剛性感はけっこうしっかりしていて、205/45R17サイズのタイヤを履く乗り心地は、足回りなどを日本向けにチューニング(乗り心地重視)していることもあって、良路ではもちろん、荒れた路面、段差の乗り越えでもなかなか快適だ(前席の印象)。
市街地走行でまず試したのは、回生ブレーキコントロールパドル/スマート回生ブレーキの右側パドルの1秒長押しで操作できる回生AUTOモード。左右のパドルシフトではコースティングから完全停止までの回生ブレーキ強度が段階的に選べるのだが、AUTOでは先行車が停止するとこちらも速度を落とし、停止する、高速走行での追従型ACCのような走行が可能で(先行車の急ブレーキなどでは対応してくれないので、注意が必要)、これは極めて便利だと思えたのも本当だ(電子パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能あり)。
走りはコンパクトなボディ、EVとしては軽量な車重(1400kg)、モーターによるアクセルレスポンスの良さを生かした軽快感あるもので、みなとみらい周辺の道をスムーズにスイスイと走ることができた。ウインカーを出して右左折、レーンチェンジを行う際には、ブラインドスポットモニターによる、メーター左右の画面に死角となりやすい後方視界を映し出してくれる先進機能に注目で、新鮮かつ、とくに左折時の巻き込み事故低減に直結してくれるに違いないと思える(高速走行のレーンチェンジ時でも有効)。
乗り心地重視=ライドコンフォートのセッティング
高速走行に入れば、厚みのあるウインドーガラスや二重ウェザーストリップ、ラゲッジボード追加などの遮音対策もあって、強風のベイブリッジを通過したときの風切り音はほぼ気にならなかった。ただし、その上屋が静かなぶん、下から入ってくるロードノイズはやや気になるレベルと言えるかも知れない(もっとも筆者の愛車の静音タイヤを履いた2020年型VWゴルフ7.5ヴァリアントハイラインよりロードノイズは小さい)。一方、高速走行ではフラットライドが際立ち、路面のジョイントを通過した時のショックも無視できるほど。日本向けの足回りの設定、つまり乗り心地重視=ライドコンフォートのセッティングが功を奏している印象だ。首都高速のカーブでの安定感もなかなか。常識的な速度であれば、路面に張り付くような安定感のまま走り抜けることができた。
ドライブモードはエコ、ノーマル、スポーツ、スノーの4種類が備わり、エコモードで走り始めても、アクセルペダルを深々と踏み込めば加速力に歯がゆさはない。ノーマルでは必要十分な加速力を示すし、スポーツにセットすれば、あくまで115psのミニマム&スモールサイズのEVとしては・・・という但し書き付きながら、心地よいレスポンスで機敏に走ることもできたのである。なお、ドライブモードを変更すると、助手席前トレイ部分などの照明も色が同調。スポーツモードにセットすると赤に変化するという具合だ。
高速走行ではACCも試したが、レーンキープ機能は文句なく、前車に接近した時などの減速感のスムーズさも悪くない。ただし、再加速性能は持てるパワーなりで緩慢。アクセルペダルの踏み増しが必要だった(追突されないように)。
というわけで、前席の乗車に限れば、想定外にしっかり軽快かつ静かで快適に走ってくれるインスターだが、試乗途中で後席に乗り換えてみると、停車時であれば足元はフラットで前席下につま先が入り、なにより身長172cmの筆者のドライビングポジション背後で265mmもの膝周りスペースがあることから(ZR-V245mm ハリアー200mm フロンクス210mm エクストレイル235mm。すべて筆者のドライビングポジション基準)、「ラウンジ」のサンルーフ付きだと頭上方向にこそ余裕はないものの(150mm)、2人掛け(定員4名)であれば足元は想定外に広いという印象を持つことができる。もっとも、同行した身長180cm級の乗員になると、助手席では車幅・室内幅の狭さから右膝がセンターコンソールに干渉するとともに、後席では頭上方向が窮屈・・・とのことだった。
後席に乗車して走行した印象を述べれば、座面がフラットアレンジを優先したのか平板で、ドイツ車のように先端に角度が付いているわけでもないため(ヒール段差約320mm。一例として日産サクラ330mm。スズキ・スペーシア360mm)、やや落ち着き感に欠けるかけ心地を示す。併せて、市街地での乗り心地は日本向けサスペンションチューニングによる前席の快適さとは異なり、路面によっては前席で感じられないゴツゴツしたタッチが気になるシーンもあった。前席優先のカップルズカーとして割り切って乗るなら問題はなさそうだが、想像以上に後席が広いことから、後席を頻繁に使う用途であれば、ここは改善してほしいポイントになると思える。未試乗の「カジュアル」「ボヤージ」の16インチタイヤだとどうなるのかは、気になるところだ。
ところで、運転しながら、前方視界で「おやっ」と思ったことがある。それはルームミラーの奥、フロントウインドー上端中央に、4つの黒い物体が縦にドーンと並んでいることだ(カメラ×2、ドラレコ×1、その他らしい)。なんだか後付け感ムンムンで、走行中に視界に入る部分だけに、うざったく、残念に思えたのだ。運転支援機能として必要不可欠なものであるのは分かるが、もっとコンパクトにすっきりとした処理を施してもらいたいものである。
とはいえ、この「ラウンジ」と「ボイジャー」グレードであれば、いち充電でのEV航続距離はWLTCモードで458km。エアコンを使うなどして走っても満充電なら300km台後半ぐらいは走れる可能性があり、シティコミューターとしてのボディサイズ、キャラクターながら、EVとしてそこそこのロングドライブにも使える実力を備えていると言っていい。荷室~後席だけでなく、前席までフラットにアレンジでき(テーブルにもなる)、全グレードにAC1360Wコンセントが装備されていることもあり、アウトドアや車中泊カーとしても活躍してくれるミニマムサイズのEVの1台になりうるだろう。「ラウンジ」はシート表皮が合皮ゆえ(前席はなんとシートヒーターとベンチレーション完備)、後席に愛犬を乗せた時の抜け毛、臭い対策にも向いていそうだ。
今回の試乗、取材時点で補助金額は明らかになっていないものの、補助金を差し引いた価格は「ボヤージ」で300万円をギリギリ切り、「ラウンジ」でも320万円弱でいけると予想。東京都であればさらに補助金が上乗せされることもあり、価格対運転支援機能&先進運転支援を含む装備の充実度、実用性、コンパクトなボディを生かした取り回し性、駐車性という点で、注目すべきEVの1台になりそうだ。なお、インスターは2025年ワールド・カー・アワードの「ワールドエレクトリックビークル」を受賞している。
文/青山尚暉
写真/ヒョンデ 青山尚暉
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