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優雅で精悍なグランドツアラー! アストンマーティン DB11 ヴォランテはクールな細マッチョ【Playback GENROQ 2018】

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優雅で精悍なグランドツアラー! アストンマーティン DB11 ヴォランテはクールな細マッチョ【Playback GENROQ 2018】

ASTON MARTIN DB11 Volante

アストンマーティン DB11 ヴォランテ

優雅で精悍なグランドツアラー! アストンマーティン DB11 ヴォランテはクールな細マッチョ【Playback GENROQ 2018】

降っても晴れても

アストンマーティンの次の100年の幕開けを飾ったDB11が美しさを備えたグランドツアラーであることを疑う余地はない。そのオープントップ版のヴォランテが早くも日本に上陸。美しいカブリオレ、その走りも美しいのか、試した。

「外の血を巧妙に取り入れながら新しい伝統を生み出す英国流儀」

アストンマーティンの新しいオープンモデルはまさに「ヴォランテ」の名に相応しい。空気の壁を突き抜けるように疾走する姿はまさしく「空を飛んでいる」ようだ。今一番伊達でクールなコンバーチブル、いやヴォランテだろう。英国流にこだわるならばドロップヘッドクーペと呼ぶべきかもしれないが(実際昔はそう呼ばれていた)、その美しくクールな姿にはちょっと古風すぎる。

もっとも、アストンマーティンは1960年代からイタリア語のヴォランテの名称を受け継いでいるから、何が何でも英国風というわけでもない。というより外の血を巧妙に取り入れながら新しい伝統を生み出すのが昔から英国が得意としてきたことである。ちなみに、アルファロメオのディスコ・ヴォランテ(空飛ぶ円盤)も同様の意味である。

「迫力満点のエンジンベイはまるでレーシングカー」

新世代のアストンマーティンDB11シリーズに昨年秋、追加された最新オープンモデルがヴォランテだが、先にデビューしたDB11クーペ同様、新しい血は前ヒンジでガバリと開くアルミニウム製ボンネットの下に見つけることができる。バルクヘッドにめり込むようにフロントミッドシップされた4.0リッターV8ツインターボエンジンはメルセデスAMGとの共同開発と言われている(今のところヴォランテはV8ツインターボのみ)。

Vバンクの谷間に2基のターボチャージャーが収まるエンジンのどの程度が共通なのかはつまびらかにされていないが、トランスミッションはZFの8速ATを例によってトランスアクスル配置していることもあり、独自の適合開発が行われたのは間違いないだろう。510ps(375kW)と675Nmを生み出すV8ツインターボが収まるエンジンルームの眺めがまた、私にすれば外観に劣らず魅力的だ。ボンネットはフェンダーもろとも(ちなみに英国流ではフェンダーではなくウイングと呼ぶが)開くため、フロントタイヤもほぼ剥き出し。

エンジンベイ前半分はかなり隙間があるせいで、接着剤を多用して組み上げられた新世代のアルミスペースフレーム、いわゆるVH(バーチカル・ホリゾンタル)プラットフォームのアルミ部材があちこちに覗き、ただモノではない雰囲気が横溢している。ストラットタワーとバルクヘッドを結ぶ三角形のブレースも含めて、迫力満点の光景はまるでレーシングカーのようだ。流麗なボディの下に、これほど逞しい機能美が隠されていることこそアストンマーティンの真髄である。ただ優美なだけでなく、単に野性的であるだけでなく、それらを融合した洗練された精悍さがアストンマーティンの醍醐味であり、さらにちょっとだけ鼻につく“気どった雰囲気”をトッピングすれば完成である。

「最新のアストンマーティンは身だしなみのいいクールな細マッチョ」

そう考えると、ボンドカーとしてのアストンマーティンはジェームズ・ボンド役とともに実に的を射たキャスティングだったと改めて感心する。排ガス規制や安全性などを気にしなくてもよかった時代はショーン・コネリーが相応しかったが、現代は多面的で複雑で影のあるダニエル・クレイグがぴったりだ。ただ腕っぷしの強さを誇示するのではなく、紳士の教養と礼儀に野性味が程よく同居している身だしなみのいいクールな細マッチョが最新のアストンマーティンなのである。

部分的に8層構造というソフトトップを閉じた姿も非の打ち所がない。非常に小さなルーフを閉じた状態でも頭上のスペース(少なくとも前席は)には問題ないが、ただしリヤウインドウはまるで覗き窓のように細長く、トップを閉じた状態での後方視界は限られている。だがそのおかげでプロポーションは素晴らしく軽快である。“ヴォランテ”だもの、それはみなさん納得の上だろう。もちろんルーフはコンソールのスイッチひとつで作動し、およそ50km/hまでなら走行中でも開閉操作が可能である。

「内装はしっとりした感触のレザーで覆われたさすがの仕立て」

インテリアはザラザラした年輪の木肌をそのままに残す流行のウッドパネル(アッシュウッドというのだろうか?)と、しっとりした感触のレザーで覆われたさすがの仕立てである。ウッドトリムをシートバックレスト背面にもあしらっている点などはため息がでるほどだが、それに対してインストゥルメントパネルはこれまでのアストン流にメルセデス譲りのコントロール類を加えたものだ。使い勝手には不満はないものの、ただし、細かいスイッチ類や樹脂トリムなどについては、おや、と思うものも少なくない。Aクラスと同じパーツを使っていることはすぐわかる。そしてほんのちょっとだけど、がっかりする。

今どきそれほど細かいところを気にするのは、ないものねだりかもしれないが、何しろアストンマーティンだからさらに上を求めたくなるのだ。せっかくのお揃いのレザーで覆われたステアリングホイール上のダンパー切り替え、パワートレインのモード切り替えボタンなどもちょっとお手軽な造りの樹脂製だ。ヴォランテならばそうそう頻繁に使うものではないので、どこかもっと目につかないところにまとめてくれたほうがアストンらしいのではないだろうか。

「高速になるにつれ高まるフラット感。そしてステアリングはより正確に」

全開にすれば0-100km/h加速4.1秒、最高速300km/hというヴォランテだから、普通に走るぐらいではまったく不満がないのは当然。AMG由来のエンジンは本家よりも明らかにラグジュアリー志向だが、たとえ山道で思い切り鞭を入れても、レスポンスもパワーについても十分以上に応えてくれる。乗り心地は、ガシガシと路面を踏みつけるのではなく、船に乗っているようなゆったりとした上下動が残るもので、思い起こせばDB9も似たような傾向を持っていた。

いささか頼りない感じもするのだが、スピードが増しても不安感が大きくなるわけではないのがアストンの特徴、むしろ高速になるにつれてフラットさを増し、さらにステアリングもより正確に研ぎ澄まされていくようで、自信を持ってコーナー内側の白線ぎりぎりに目標を定めることができる。優雅で精悍なグランドツアラーとして実に相応しい出来栄えだと思う。海辺のプロムナードやショッピング街をゆるゆると流すのに気を遣う必要はまったくないが、乗っているうちにスコットランドの荒野まで飛ばしたくなる。たとえヴォランテでもそう感じさせるのがアストンマーティンである。

REPORT/高平高輝(Koki TAKAHIRA)
PHOTO/森山俊一(Toshikazu MORIYAMA)

【SPECIFICATIONS】

アストンマーティン DB11 ヴォランテ

ボディサイズ:全長4750 全幅1950 全高1300mm
ホイールベース:2805mm
車両重量:1870kg
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3982cc

最高出力:375kW(510ps)/6000rpm
最大トルク:675Nm(68.8kgm)/2000-5000rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:RWD
ステアリング形式:パワーアシスト付きラック&ピニオン(電動式)
サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前255/40ZR20 後295/35ZR20
CO2排出量:230g/km(EU複合)
最高速度:300km/h
0-100km/h加速:4.1秒
車両本体価格:2423万2276円

※GENROQ 2018年 6月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

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みんなのコメント

1件
  • いやDB11は「細」マッチョじゃないだろう、堂々とした体躯だよ。細マッチョはDB9までだと思う。
    と言いつつ憧れるけどね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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