創設2年目の今季よりFIA格式のカップ戦に昇格し、前年パイロットシーズンの“ピュアETCR”改めFIA ETCRに改称されたeツーリングカー・ワールドカップは、日時と開催地が未定となっていた2022年最終戦の詳細をアナウンス。先日開催されたFIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)によって承認された後、9月23~25日の週末にドイツのザクセンリンクでシーズンフィナーレを迎えることが決まった。
シリーズは当初、トルコのイスタンブール・パークと韓国のインジェ・スピーディウムを訪れる全7戦のカレンダーを策定していたものの、前者は開催直前になって急きょのキャンセルと延期が決まり、その代替戦が11月にも開催される予定となっていた。
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しかし最新のWMSC会合での協議を受け、トルコ・ラウンドは契約上の理由で正式にキャンセルが確定し、韓国のレースも会場への機器輸送に関わるロジスティクスのためにキャンセルされることとなった。
「ご存知のとおり、世界中のどこへ行っても現在は物流が混乱しているため、韓国戦をキャンセルする必要に迫られた」と説明するのは、ETCRのシリーズディレクターを務めるチェビー・ガヴォリ。
「現状、我々のコンテナが韓国に行くには中国を通過する必要があり、そのエリアはまだ実質的にロックされている状況だ。現実的に5~10週間の遅延に直面しているため、我々としてもリスクを冒すことはできないと判断した」と続けるガヴォリ。
「我々はここまで非常に懸命に取り組んで来たこともあり、この現実には非常にフラストレーションが溜まるが、何も起こらないようすべてのリスクを排除するべく、シリーズをそこに持ち込むことは『安全ではない』との結論に至ったんだ」
この決定により、シリーズに参戦するヒョンデ・モータースポーツNにとっては地元韓国での凱旋レースを戦う可能性が失われたことになるが、代替となるザクセンリンクでのイベントは、ドイツのアルツェナウを拠点とする同モータースポーツ部門にとってのホームイベントとして機能することが期待されている。
■最終戦の前倒しは「チームにとってもメリットになる」
「このザクセンリンクがFIA ETCRとして最初のドイツ上陸となり、シリーズとしてもこの巨大な自動車市場を訪れるのは初だ。ヨーロッパ最大の電気自動車生産施設の目と鼻の先で、新時代のエレクトリック・モータースポーツを披露する絶好の機会にもなる」と付け加えたガヴォリ。
「このような重要な市場を訪問できることは素晴らしいことだし、イベントを実現するための積極的なアプローチに関して、地元のADAC(ドイツ自動車連盟)には特別な感謝を捧げたい」
この結果、今季のETCR最終戦はADAC GTマスターズとTCRドイツ・シリーズとの併催イベントとなり、シーズンフィナーレも2カ月前倒しされる形となるが、その点に関してもガヴォリは「シリーズに参加するチームにとってもメリットになる」と考えている。
「すべてのチームが合意したシーズンの早期終了により、メンバー全員が来季に向けた充分な準備期間を確保し、その作業に集中することができるようになる。2023年にはグリッドが拡大され、すべてのチームがより大きなコミットメントを果たすことになり、未来は明るいと感じている」と続けたETCRシリーズディレクター。
「我々は皆、最初のFIA ETCRシーズンをシリーズの素晴らしいショーケースで締めくくることを決意しており、ザクセンリンクがそのための完璧なプラットフォームになると確信している」
7月末開催の前戦イタリア・ヴァレルンガでは、ヨーロッパを覆う熱波による酷暑も影響し、WTCR世界ツーリングカー・カップと同様にタイヤのパンクやトレッド剥離が頻発。アルファロメオ・ジュリアETCRを走らせるロメオ・フェラーリ陣営は、ブルーノ・シュペングラー(アルファロメオ・ジュリアETCR)のクラッシュを受け、最終的にファイナルを棄権する事態となっていた。
幸い、救急の医療処置を終えたシュペングラーは脊椎骨折と診断された術後の経過も良好で、本人も意欲的にリハビリへ臨み「最終戦には必ず間に合わせる」と語っていたが、本来は11月開催予定だったそのリードタイムが短縮される形ともなっている。
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