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見ずには死ねないモンテカルロ! 華々しきお祭りと真剣勝負が入り混じる「唯一無二」のラリーの中身

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見ずには死ねないモンテカルロ! 華々しきお祭りと真剣勝負が入り混じる「唯一無二」のラリーの中身

酷寒のチュリニ峠で開催される伝統のラリーイベント

 モータースポーツ業界において、年の初めのビッグイベントといえば「ラリー・モンテカルロ」。2022年はWRCが1月20日~23日にかけて開催で、その翌週の1月27日~2月2日にはクラシックカーの祭典「ラリー・モンテカルロ・ヒストリーク」も行われる。今年も日本から見物に行ける状況ではないが、ネットを通じて楽しむことはできる。主催の「Automobile Club de Monaco」のTwitterアカウント「@ACM_Media」などをチェックするといいだろう。

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 現地へ何度も取材に行ってきたラリーカメラマン・山本佳吾氏に、モンテカルロの楽しみ方を案内してもらおう。

2022年はWRC新レギュレーションで注目度大

 毎年WRCの開幕戦として開催されている「ラリー・モンテカルロ」。1911年に初開催された歴史あるラリーです。モナコ公国でスタート&フィニッシュすることもあって、モナコだけで開催されていると思われているかもしれませんが、実際にはお隣のフランスの山の中に設定されたスペシャルステージ(SS)で開催されています。今年からトップカテゴリーである「ラリー1」は車両のレギュレーションが変更され、ハイブリッド化されたラリー車がデビューするということもあり、例年以上に注目が集まる一戦です。

とにかく移動が辛いラリー・モンテカルロ

 以前はヨーロッパ各都市をスタートしてまずはモナコを目指す、「コンサントラシオン」と呼ばれる長距離移動があったのですが、1996年から廃止されました。最近はラリーのベースをモナコから約300km北西にあるフランスの「ギャップ」に置き、木曜夜のスタートのためにモナコまで移動。ナイトステージをふたつ走ってギャップまで戻るスタイルになっています。

 金曜と土曜の午前中まではギャップ周辺の山岳地帯がステージとなり、土曜夜にモナコの「パルクフェルメ」にマシンを入れ、最終日は有名な「チュリニ峠」を含むステージを走ってモナコでフィニッシュ。

 地図を見るとわかりますが、モナコ~ギャップって距離以上に遠く感じるんです。選手たちはSSがあるからほぼ下道を走るんですが、延々と続く山道で、走っても走っても着かないのが辛い……あまりに辛かったので、ボクは高速で移動することが多いのですが、高速だとマルセイユの手前まで走って北上するのでかなり遠回り。下道よりはペースが速いので楽ではあるんですけど。

 最近のWRCでこのような長距離の移動区間(リエゾン)があるのは珍しく、ラリー・モンテカルロの特色のひとつとも言えます。今年のWRCはギャップではなくモナコにサービスパークが設置され、辛い移動は少しだけ楽になったみたいです。

紳士淑女の「ラリー・モンテカルロ・ヒストリーク」

 ラリー・モンテカルロにはもうひとつのラリーがあることをご存知でしょうか? WRCがフィニッシュした翌週から開催される「ラリー・モンテカルロ・ヒストリーク」が、1997年から開催されているんです。こちらはWRCのようなSS方式ではなく、「ZR」(レギュラリティ区間)を主催者から与えられる指示速度で走り、いかに時間に正確に走るかを競う競技。

 建前として法定速度よりも低い指示速度なんですが、WRCのように道が占有されているわけではないので、一般車はうじゃうじゃいるし、つづら折れの峠だったりすると指示速度で走るのが困難だったり。ましてや圧雪やアイスバーンなど路面状況にも左右されるので、結果として全開で走らざるを得ない場面も見られます。

 対向車とあわや正面衝突なんて場面に遭遇したこともありましたが、この危険と背中合わせな雰囲気もこのラリーの魅力のひとつ。通過する町や村はお祭りのような感じで、WRCなどのイマドキのラリーにはないのんびりした雰囲気も魅力です。

多彩なエントラントのなかには日本からの参加者も!

 このラリーには日本からも多くのエントラントが参戦していて、ボクが初めて取材した2018年は、「伊香保おもちゃと人形自動車博物館」の館長であり、数多くのヒストリックイベントに参戦している横田正弘氏が「240Z」で参戦。憧れ続けたモンテカルロに初参戦で完走を果たしました。

 もちろんヨーロッパ各国からも腕利きのドライバーが参戦していて、ギ・フレクランやジャン・ラニョッティ、ブルーノ・サビー、ワルター・ロールといったラリーで名を馳せたドライバーや、エリック・コマスのような日本でも活躍したレーシングドライバーも参戦しています。ですが、それ以外の多くはいわゆるジェントルマンドライバー。ワークス並みの体制で参戦する人もいれば、家族や仲間達と参戦している人もいます。

ワイン片手にのんびり観戦がオススメ

 WRCから「ヒストリーク」まで続けて取材となると約3週間の滞在になるので大変で、取材するたびに「辛いから来年はもう来ない!」って思ったりもするのですが、モンテカルロってやっぱり特別な雰囲気なんです。この空気を一度味わってしまうと、年末あたりからソワソワしだして、早く行きたいなあって思ってしまいます。

 さすがにふたつのラリーをハシゴするような観戦を万人にはオススメできないので、ボクがもし友人から観戦してみたいって相談を受けたら、まずは「ヒストリーク」をオススメします。理由はいつでもどこでも観戦できるから。WRCだとSSで観戦しようとすると、何時間も前から行かないと見られなかったりと、修行に近い部分もあるんです。

 その点、「ヒストリーク」は占有してないから、ZR区間であってもいつでも出入りできるので楽ちん。もちろん中には全開で走ってくるクルマもいるので、安全管理は自己責任で。道沿いの空き地でBBQやワインで盛り上がるギャラリーも多く、日本のイベントとはまったく違う雰囲気を楽しめると思います。

車検からお祭り気分

 なかでもオススメは車検場の見学です。その年によって変わりますが、ヨーロッパ各地からスタートするこのラリーは、車検場とスタートも各国に分散しています。ボクはフランスのランスしか行ったことがないですが、ランスの車検場にはパーツやミニカーなどの出店があり、これを見るだけでも楽しいはず。

 車検の様子を見学することも可能なので、昼は車検場、夜はスタートを見学するのがオススメかな。ただし、ZRやラリーのベースが置かれるヴァランスの街まではランスから約600kmあるので、移動を考えるとワインはほどほどに。

世界が元に戻ったらまた行きたい!

 いずれにせよ、パンデミックが収まらないことには海外渡航は難しい状況。ボクも去年に引き続いて今年の取材は諦めました。いつの日か観戦できるようになる日が戻ってくることを願ってます。

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みんなのコメント

1件
  • クレイジーケンバンド『太陽のモンテカルロ』で勘違いしていたけど、冬なのか…
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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