札幌中心部と札幌道をつなぐ「創成川通」とは
2030年度末に北海道新幹線が開業することで、駅前で再開発が進行するなど、中心部で激動を見せる北海道の主要都市「札幌」。中心部では壮大な道路計画「国道5号 創成川通(そうせいがわどおり)」も進行中だ。2021年に事業化を果たしたこのプロジェクトの詳細を見ていこう。
札幌市中心部は縦と横の道路が規則的に配置され、巨大な「碁盤の目」のような構造。そのため信号交差点も各方向に連続し、信号待ちによる渋滞が長年の課題になってきた。
特に国道5号(創成川通)は、縦軸のなかでも札幌駅や大通・すすきのエリアに一番近いほか、道央自動車道や石狩方面へとつながる貴重なメインストリートであり、交通集中が目立っている。
そこで1971年、札幌駅前にある大通や南5条通の混雑緩和や都市空間の有効利用を目的として、大通の北側と南側にそれぞれアンダーパスが完成。さらに2009年には大通をくぐる形で両者がつながり、北3条通~南5条通を地下でスキップできる「創成トンネル」となって現在に至る。
この創成トンネルをさらに北へ延ばし、JRを越えて札樽自動車道までノンストップの地下バイパスとしてつなげる計画が「国道5号 創成川通」事業なのだ。
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「創成川通」の計画と開通効果は?
国道5号 創成川通の延長は4.8km。札樽道「札幌北IC」の千歳方面からランプでそのまま地下へもぐりこみ、トンネルを抜けて札幌駅前や中心部へ信号ゼロでつながる道路だ。
南行きの入り口は、札幌北ICの直結ランプに加え「北36条入口」「北32条入口」を設置。そこから地下トンネルを経由して「北10条出口」で札幌駅前へ出られる。もちろん北10条出口で地上に出なければ、創成トンネルへ直通して「南5条出口」まで通過可能だ。
北行きの入り口は、札幌駅前に「北8条入口」を設置。そこから地下トンネルを経由して「北24条出口」「北36条出口」で札幌北IC付近の地上へアクセスできる。札樽道への直結ランプは設置されない。
地下トンネルは片側2車線ずつ。つまり現在ある地上の片側3車線とあわせて片側5車線が確保される。この事業にともない、北37条~北23条の区間で創成川通は暗渠(あんきょ)化される計画だ。
完成すれば、生活交通と通過交通が分離・分散され、通過交通はノンストップで移動できるようになり、地上の混雑も緩和される見込みだ。
現在の北34条~北3条の所要時間は夏で6~20分、冬になれば8~44分と、いずれも時間差が激しい。朝昼晩を問わず、ひとたび渋滞にはまればとことん動かない区間で、生活や物流、緊急輸送に支障をきたしている。交通事故発生件数も4年間で323件もあり、死傷事故率は北海道全体平均の約7倍にも達する。
札幌北IC~創成トンネルがつながることで、同区間の所要時間は、ピーク時でも夏は11分、冬は14分に抑えられると想定されている。いくら混雑しても5、6分の影響しか出ない計算だ。新幹線開業後、札幌駅を起点として観光バスや路線バスで各地へ移動する場合も、定時制が確保されることになる。もちろん渋滞が減ることで、追突などの交通事故も減少し、医療施設への搬送もスムーズ化されるだろう。
地上道路も空間が再配分され、両側で十分な歩道幅が確保される。
事業化から5年目、現在の進捗は
創成川通の事業はどこまで進捗しているのだろうか。
2021年の事業化から5年目となり、事業の全体進捗率は8%(2025年3月末時点)で、主に測量設計が進められているところだ。基本的に既存道路の下にトンネルを通す事業ため、用地取得も最小限となり、比較的スムーズに着工へ進められる点が強みだ。
なお2025年の事業計画では、創成川地区で物件補償が行われるほか、改良工事にも着手する計画だ。
北海道開発局の発注見通しによると、年明け以降に北9条通周辺でボックスカルバート設置などの工事発注が予定され、河川切り回しなどを含め4年弱の工期を見込んでいる。
この北9条通周辺は、札幌駅北口から地下への出入口が設置される地点だ。つまり、創成川通の壮大な計画がいよいよ目に見えて動き出すのは、この「JR高架のすぐ北側あたり」からになるだろう。この先行工事のスタートを注視しながら、今後の進捗を見守っていきたい。
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